北朝鮮のミサイルに対する反応として、ロシアも中国も、さてそれで一体アメリカさん、あなたは何をしたいんですかという方向に向けている。中国のGlobal Timesなんか、糞みそにアメリカの外交の失敗だとも言い放っていたが。
そんな中、毎年恒例の上海条約機構(SCO)の総会がロシアのソチで開かれている。
今回は、プーチンと習じゃなくて、メド首相と李首相が出席している。
プーチンは、FIFAワールドカップのグループリーグ抽選会で忙しい。
Russia will do everything it can to make World Cup 2018 a grandiose sports festival – Putin
https://www.rt.com/sport/411601-putin-fifa-2018-russia/
西側さんチームは、ソチ・オリンピックの時にウクライナでクーデターを仕掛け、次にはドーピングスキャンダルを作り上げ、ロシア孤立化のために盛大な努力をしているわけだが、FIFAはスポーツビジネスとして別系統なんだろうか? あるいは、サッカーは南米とかアフリカがいて、そこらへんはロシアに好意的だったりする国が多いので、工作しようにも失敗したとか?
で、去年の今ごろはどうったかと自分のブログを探すと、アレッポ陥落を目前にして、ロシア軍の広報のコナシェンコ少将が、アメリカは戦えないのならせめて邪魔するな、と、テロリストといちゃついている米を批判していた。
宴の始末(21) 「戦えないのなら、せめて邪魔するな」
そこから1年たって、シリアの領土は、西側がかくまってる武装した人たちの住処となっているポケット地域を除いて回復された。これで回復かよというところですが、何十万人もの一般人がテロリストという名の傭兵の人質になっていたところから考えれば、進歩はあった。ほんとに。
今回のSCOは、昨年正式メンバーとなったインドとパキスタンが初めて同じ席に着くというところも一応見もの。個別会談ができればそれに越したことはないが、今のところできなさそうな感じ。
それどころか、インドが中国とパキスタンに喧嘩を売る舞台に使ってるだろ、あんたという感じすらある。
とはいえ、この2国が加盟したことによって、2001年に始まったSCOは世界人口の半分が加盟国という状態で、この重みが出来たことを考えれば、喧嘩する舞台がうちわにあるならそれでいいじゃないか、というのもあるだろうなと思う。なんでかというと、こうしておけば、対話の機会が少なくとも確保できるから。むしろ、アメリカ、日本、オーストラリアとの同盟の方に傾いているインドを離さず、対話機会に入れておくことが重要だと、習&プーチンコンビは判断したんだと思う。
どういう枠組みであれ、対話の機会を減らすようなことをするのは、とても愚かなこと。
SCOの加盟国は、現在8カ国。
中華人民共和国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン
オブザーバーは、アフガニスタン、ベラルーシ、イラン、モンゴル
ダイアログパートナーは、スリランカ、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール
この中でイランとアフガニスタンが現在加盟国になるかも、という状態にある。イランは特に近いんじゃないかと言われてはいるが、今回、プーチン、習という元首が出席していないので、今回の加盟はないでしょう。
さらに、ゲスト参加という立場がある。
ASEAN
CIS
Turkmenistan
UN
CIAとトルクメニスタンは、要するにソ連仲間。トルクメニスタンは中立宣言をしているので、正式加盟はしないんだと思う(または矛盾するからできない?)。
■ 振り返ってみる
この巨大なブロックは、要するに「一帯一路」プロジェクトの安全面を担当している。というより、SCOが域内の安全を担保する枠組みを作れるから、インフラプロジェクトの安心感が担保できる、という順番ですね。なんせこの地域は、ムジャヒディーンからアルカイダが駆け巡っていたし、今も潜在的にはいる地域なわけですから。
そう考えると、明らかに、SCO+一帯一路というのは、911あたりをきっかけとした世界支配構造に対する、持続的な反抗であり、当初からそれなりにどこかでここまで構想されていたのではないのか、と改めて思う。
最初は、ソ連が崩壊した後の中央アジアのコントロールに困った中国が、という感じだったと記憶するのだが、それ以上の、いやそれよりもっと深い考えがあったもかと今更ながらそう思う。
このエピソードも重要でしょう。上海協力機構
2002年6月7日、対テロ戦争が始まった世界情勢を受け、サンクトペテルブルクにおいてSCO地域対テロ機構の創設に関する協定が署名された。SCO地域対テロ機構執行委員会の書記局を上海に、本部を当時米軍基地が開設されていたキルギスの首都ビシュケクに設置した。
また同時に、同年初頭のアメリカ合衆国のブッシュ大統領の悪の枢軸発言に始まる対テロ戦争拡大の動きを牽制した。対テロ戦争で中露と協調しようとしたブッシュ政権はSCOにオブザーバー加盟を申請したが、2005年にSCO理事会はこれを却下している[2]。
取り込まれなかった、ということですよね。
そこからふと思うに、プーチンの2007年ミュンヘン・セキュリティー・サミットでの、一極支配に抗すると言い切った名高いスピーチは、SCOの判断と同期するのでしょう。
西側はロシアを取り込んで弱いままで仲間にしようとしていた。つまり、NATOのジュニアパートナーみたいにしようとしていた。しかしロシアはその道を行かず、ユーラシアの仲間の方を選んだと。
ということは、メルケルとプーチンが時々いっていた、リスボンからウラジオストクまで、というEUとSCO空間の接合というのも、NATOがある限り話半分だったのかもしれない。どうだろう?
上のwikiの記事にリンクされていた記事を開けてみたら、思わぬところに日本の名前があった。
記事はガーディアンの2006年のもの。SCOがだいぶ大きくなる可能性があるという内容で、その最後に、
SCOの重要性と結合の高まりはワシントンとそのアジアで最も密接な同盟国日本を不安にさせている。「SCOは、米国の同盟に対するライバルのブロックになりつつある」「SCOは我々の価値観を共有していない。我々は注意深く見守っている」と日本の高官が最近語った。
The rising importance and coherence of the SCO worries Washington - as well as its closest Asian ally, Japan. "The SCO is becoming a rival block to the US alliance," said a senior Japanese official recently. "It does not share our values. We are watching it very closely."
https://www.theguardian.com/commentisfree/2006/jun/16/shanghaisurprise
とあった。
価値観があわんと(笑)。SCOを見ながらそんなことを言っていたんだなぁと改めて、この価値観外交なるアイデアほど馬鹿なものはなかったと、何べんも言ってますが、また言いたい。
アメリカと一体どんな価値観を私たちは共有しているというのだろう?
本当に文字通りの、考え方とか善悪の価値観でいえば、多分、ロシアとアメリカは相当近いと思う。文化背景的にも、リーダー存在から来る責任感や考え方からしても。また、金儲けの際の嗅覚や意外な(ごめん)フェアネスやプラグマティズムという点で多くのチャイニーズと多くのアメリカンは共有するものが多い。
しかし、実際それらは加味されないんでしょ。つまり、その価値観、the valuesの評価系は一体どんなものなんだよ、という話。
改めて、SCOそのものが、このポンコツの「価値観外交」というアイデアへのアンチテーゼだなと思う。隣人である限り、たとえどんなに異なる考え方を持っていても、お互いに共存しなければならないというアイデアこそSCOを支えているし、大きくしていった要因でしょう。
価値観外交こそ、近年の日本の凋落をもたらした主たる思想であると私は思う。そして、そもそも、私たちは価値観で相手を選べるほど、選り好みできるほど、自給自足的な国なのだろうか?
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171129/k10011239951000.html
原油は3年前のピーク時と比べてまだ半値近く安い水準。アベノミクスが無ければ今でもガソリンは70~80円くらいの水準だろう。逆に2014年度のピーク時の値段が続行していたら200~300円のレンジに入ってる。今の時点で147円だからこれから原油がジリジリ戻してきたら、物凄いインフレが起きて、レギュラー200円は軽く突破するんじゃない?だって、アベノミクスは止められない訳でしょう?
ハイパーインフレになるかは解らんが、直近数年の枠でここ20年くらいで経験したことのないトンでもないインフレ、スタグフレーションが起きると思う。
いやほんとに。異論を許さないリベラルとか、とんだ形容矛盾チームですんで、怖いですよほんと。リベラルより左派だった人目を覚まして!とかいう感じ。そっちの方が地政学的には身があるから。
蔵権さん、
極端なことにならないことを祈るばかりですが、まぁオペック減産合意しましたからね。大変。