他のことはともかく、nationと歴史に深く興味を覚える私としては、こういうセリフに弱い。
ウクライナ東部ドネツクのリーダーの人がロシア連邦への帰属を求めて記者会見を開いた時に語った言葉。
「ドネツクの人間はずっと、いつでもロシア世界の一部にいるんです。私たちにとって、ロシアの歴史こそ私たちの歴史なんです。」
"The people of Donetsk have always been part of the Russian world. For us, the history of Russia is our history."
http://www.reuters.com/article/2014/05/12/us-ukraine-crisis-union-idUSBREA4B0HW20140512
いいですねぇ~。もちろん、だからといってロシア連邦がドネツク、ルガンスクの申し入れを受け入れるかどうかは現状不明だけど、この感じこそロシア系住民が訴えたかったことの根本にあると思う。ああ、nationだ~、って感じが非常にする。
でもって、それこそ、100年越しのプロジェクト「ウクライナ」はこっち側の人には効かなかったということなんでしょうねぇ。
でもって、そういう感情の高まりは、5月9日というロシアにとって非常に重要な日のすぐ後だということも関係があると思う。
5月9日は、ソ連がナチスを破った日で、ナチス側もソ連側も双方頭がおかしくなりそうなほどの甚大な被害を出した戦闘を戦った果てにこの日がある。だから、旧ソ連邦一般でこの日は今でも大事にされている。
この日が近づくと人々はこのシンボルを胸に付ける。
写真とかテレビで、ああ今年もやってるなと思って見てたけど、英語でSt. George ribborn(セントジョージ・リボン)、ロシア語では、ゲオルギー・レントチカとかいうらしい。
ところが、キエフ政権はVictory Dayを祝うことは祝うけど、このシンボルを廃止した上に、米国国務省ヌーランド氏が大統領に推していたことで有名なヤチェックは、5月9日に、今はロシアがウクライに戦争をしかけている、とか発言して危機感を煽っていた。
前から言ってる通り、そもそもキエフ政権の重要な要素らしい人々は一般のウクライナ人なんか代表してなくて、西の端っこの、ロシア人が大嫌いで、昔本当にナチスを支援した人たちの思想を受け継いでいるので、こうなることは不思議ではない。(参考:ウクライナ・ナチス・アメリカの隠しておきたい関係)
でも、ウクライナというのはナチスドイツによるロシア侵略の南部戦線が激しく戦われた地なわけで、セバストポリはもちろんだけど、ハリコフ、ドネツク等々歴戦の場を多数抱えるところ。ここでは、このキエフ政権の姿勢は受け入れられない人の方が大多数だろうと思う。伊達に「大祖国戦争」という名がついているわけではない。
ゲオルギーリボンを外せと言われたことによって、こいつら俺らと違うと目が覚めた、みたいな感じだったりするのかもしれない。何をバカなと言われそうだけど、いや、象徴というのは大事。
自己と密接に結びつく思い出を共有できる人の集団をnationというんだと思うのだが、それを忘れないためにシンボルに思いを込める。
とうことは、象徴的にいって、キエフのこの暫定政権はウクライナ地方を統べる資格を失ったという意味かもしれない。英霊はあなたを支援しないから。
■おまけ
大英帝国連邦の国々では、毎年11月11日(移動祝日の際はその近く)に第一次世界大戦の終結を記念して、胸にポピーをつける。Rememberance Dayという。そのころになると退役軍人さんたちが街角に立っていて胸につけてくれたりする。
キエフ政権はこのポピーのシンボルを付けることを廃止するのと同じことをしたわけで、それって相当に凄いことだと改めて思う。