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エルドアン、モスクワに行く;欧州勢テロ支援に触らず

2020-03-05 23:40:35 | 欧州情勢複雑怪奇

シリアのイドリブの4号線と5号線の合流地点あたりを巡って、トルコ&テロリストとシリア軍が衝突した事件を巡って、1週間トルコが、というよりエルドアン大統領が強硬姿勢を見せて騒ぎまくった。

 

預かってる移民を欧州に出すからなと脅しをしたりもした。それに対するドイツのお返事は、メルケルは「受け入れらない」とかいうフザケタことを言っていたが、基本的にはトルコをなだめにかかっている感じだった。

イギリスは国連に持って行って、ロシア非難に使った。

シリア:西側勢、厚かましくも国連に持ち込む

テロリストの養成に多大なる貢献のあったフランスはトルコが脅していると怒っていた。だから脅してるんだってば、という話なのだが。

 

結果的に、見えている限りでは、欧州各国はトルコに移民を出すなとはいうが、テロリストを使ったその騒動を止めろとは誰も言わなかった。

今般の事件の結果の1つですね。

つまり、欧州側は難民問題が発生しようとも、中東侵略構想なんか止めましょうよ、とは考えていない。

また、アメリカはトランプがISだけお終いにして、油田があるからとかいう理由でクルド地区に入ったまま動かないで知らん顔してる。

アルヌスラなどのアルカイダ勢に資金を供与している人たちは止めるとは言ってないんでしょうね。

 

で、これは結局、いわゆる新中東マップ問題を終わりにしたとは誰も言っていないという意味なのではなかろうか。

何度も出してるけど、ペンタゴンが構想していたと言われ2006年頃に出てきた、彼らの今後の予定の地図。トルコの東部がクルドになっちゃって、イラクも2分割。要するにペンタゴンの頭の中では、アラビア海から黒海、地中海に自分の子分の地面だけを通っていけるような恰好ですね。

「new middle east map」の画像検索結果

 

現状は

「new middle east map」の画像検索結果

 

基本的には、今米軍にそんなことをするリソースはないだろうとは思いますよ。

だがしかし、傭兵を終わらせないというのは不気味。クルド地区にトランプが居座ってることを見ても、世界中の主流メディアが、自分たちがテロ支援をしていることを知らん顔したままでいることを見ても、少なくとも主流メディアを仕切ってる人たちはこれを終わりにしてないってことでしょう。

アメリカの大統領なんて4年か8年したら変わるわけだから、それまで火種を残して話を作ればいい、と一応言えることはいえる。

 

ということで、エルドアン率いるトルコがロシアと敵対するということは、経済的にも地政学イベントの対応においても、まったくお話にならない。

Turkish President Recep Tayyip Erdogan and Russian President Vladimir Putin AP Photo/Pavel Golovkin, Pool

Putin highlights need for face-to-face conversation with Erdogan amid Idlib crisis 

https://tass.com/politics/1126971

 

では今後どうなるのか。

わかりません。わからないけど、トルコが動く中でイスラム同胞団系が負け戦から少なくなってくるんじゃないかと思う。リビアがまさにそう。

ってことは、エルドアンはテロリストを背負いながら自滅するんだろうか? でも、3年後、4年後、8年後を考えたらトルコ軍は強くなってないとダメでしょう。敵がNATOなのは自明。だからこそ出ないのもわかる。

長期的には、ロシア、トルコ、イランがこのあたりの秩序に責任を持てる存在にならんといかん、ってのは変わらずでしょう。

 

もちろん、短期的にはトルコはとっても大変な事態。シリアとこじらせるとハタイ県の問題なんかも出てきそう。

{{{image_alt}}}(下の方の、シリアよりで色が違うところ)

ハタイ県というのは、地中海側のトルコ領で、地図で見ると分けるけど微妙なラインになってる。近代トルコが確定したローザンヌ条約では含まれておらず、アレッポなどと同様フランス統治下のシリア領だった。

その後トルコ側はプッシュしはじめ、いろいろあって最終的には1939年、フランスが第二次世界大戦前夜にトルコをつなぎ留めたかったため、一見手続きを踏んでいるようで実は・・・という手法で、トルコにあげちゃった。

イドリブというのはこの県のすぐ東なので、シリアから見た時には、トルコが再度アレッポまで取りに来てるという感じになってる。

 

■ 関連記事

2019年 「クルド&新中東マップ」のドン詰まりかなって感じ

2017年 サウジの混乱、多分「新中東マップ」プラン完全崩壊

2016年 「新中東」マップ再び+都議選

 

■ ぼんやり

露土戦争から150年ぐらいになるし、いろいろあったけど雨降って地固まる的になっていくといいですね、とぼんやりとしたことを言ってみよう。

考えてみると、150年前にはイギリスとフランス、ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国がロシア帝国と共に大きな役割を果たしてここらへんを仕切ったわけですが、今ロシア以外それが出来るのかと考えると欧州は確かに凋落したんだなと気づかされる。

また、150年前なら、今の情勢だったらロシア兵がコンスタンチノープルとアンティオキア(ハタイ県の首都)を「奪還」して正教徒世界を沸かせ、ロシアの第三のローマ派は狂喜乱舞しているであろう、などとも思えるが、現在そんなことをしたがってるロシア人は稀であろうと思う(面白おかしくは言うだろけど)。大人になったんだね、ロシアさん。

トルコちゃんも頑張って腐れ縁整理して自立しよう!


 


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4 コメント

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4000カ所の基地 (ブログ主)
2020-03-07 15:48:53
セコイアの娘さん、

バーニーがなろうがバイデンだろうが、別にあまり変わりはないと思います。世界展開してる米軍とその小姓の集合体の方が強い存在ですから。

単純に、バーニーが勝ったらオバマの時と同じように、新しい世界だわ!とかいうサーカスの出し物ができるだけでしょう。
返信する
IF (セコイアの娘)
2020-03-07 07:06:54
可能性は低いが、もし、バーニーがアメリカ大統領になったら、中東はどうなるだろう。
今回のバーニーは、前回とはちょっと違う。ネタニアフを「反動的レイシスト」ロビー団体を「パレスチナの基本的権利に反対し、偏見を主張するリーダーの集まり」と主張。応援演説にイルハンオマルを招く。
今まで、このロビー団体を敵に回す大統領候補がいただろうか。
トランプはイスラエルの要求を全て叶えてやった。それでも、ネタニアフは3度目の選挙でも過半数をとれなかった。アメリカがイスラエルの暴力的シオニズムを支え、自らの中東支配の駒として使ってきたスキームは、もう行き詰っているということなのではないだろうか。イスラエルの政治的膠着と、バーニーの暴力的シオニズムに対する対決姿勢とは呼応しているように思う。
アメリカの対イスラエル政策が転換したら、とんでもない激変がありうるのではないだろうか。
あるいは、ブログ主さんのおっしゃるとおり、アメリカ大統領なんてどうせ4年、8年。我慢すりゃってな話なのかもしれないけれど、私としては、この国で将来に希望のもてない若者達と共に齢78の政治家にわずかな期待を託したい。

返信する
今までは、全員でだんまりを決め込んでいたマスコミ (宗純)
2020-03-06 13:34:13
シリアのイスラム傭兵の後始末が出来ずに苦しむトルコが、切り札であるシリア難民(中身はイスラム過激派か?)を欧州に追放する。
ところがネットには記事があるが、マスコミが今まで一切沈黙。安倍晋三不祥事並みに隠し続けていたが、
とうとう隠しきれなくなったのか今朝の毎日新聞朝刊にはギリシャ国境に難民が押し寄せたと書いてある。赤旗もベタ記事だが外信として伝える。

するマスコミが連日大騒ぎする新型コロナ以上に、シリア情勢が新しいフェーズに突入したようです。
返信する
Unknown (ローレライ)
2020-03-06 09:45:32
西側の死刑宣告に右往左往するトルコ、脱西側の腹が座らない。
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