なにやら、雲行きがいっそう怪しい世界経済というか世界市場ですが、そんな中、日本で新しく首相となった岸田さんは、まず成長だ、とか言っている模様。
首相、経済政策「まず成長」 金融所得課税は優先せず
まぁ、安部もそんなこと言ってな、といった感想しか持てない。安部ぽんは、みずほの国の資本主義とかいうスローガンも作ってたと思うんだけど、みんな忘れちゃった?
成長もいいんだけど、しかし現状の世界環境は、むしろ、混乱に備えろといった趣なのだが、日本国内では全然それが共有されていないのはいかがなものかと驚く。
何の気なしにBloombergを開けたらトップ記事は、5人のトレーダーが指南する、混乱マーケットでの生き延び方、と来たもんだ。
Five Traders Tell Us How to Survive a World of Disrupted Markets
全体的にこんな感じなのが現在だと思うわけです。
特に問題なのは、このフェーズは資源相場を呼び起こしているってところでしょう。エネルギーの安定供給を無視して、政治と市場にゆだねたことが根本のところの問題だと思うけど、いずれにしてもその結果として、市場はぐだぐだになってる。
ぐだぐだだが、しかし、方向感はある。普通に先物が引っ張って、価格を上げるスキームが作られたと思う。そして、人為的なもんは崩れまっさ、と楽観できないのは、市場にはマネーが余り過ぎるほど余っている、実際問題、部分的に供給が不安定になるからそこでは需給による高騰は正当化される、という要因がリアルだということ。
したがって、これはつまり、原油、天然ガスの水準訂正になるのではなかろうかと思ってみたりする。
その場合、日本にとってはもちろん不利。そして、ただでなくても不利なところに、円安トレンドが見える。ここしばらく円安トレンドになっているけど、これが、現状の110円からまりから115円程度で収まるボックスに落ちてくるなら短期売買筋のいつものトレーディングと考えることもできるが、もしそれを超えていくのなら、こちらも円安方向での水準訂正になるかもしれない。
そうなった場合、日本は資源高を円安で迎えるというダブルパンチに見舞われる。原油、天然ガスなどは車ガソリンだけの問題じゃなくて輸送全般にかかわり、また、各種の材料、さらには食料の問題に直結するので、これはコスト上げによるインフレをもたらすであろう確率は高いというべきざますね。
外れたら大歓迎だけど、リーズナブルにそう読める事態を前にして、アベノミクス時代と似たりよったりの認識を示す政府って、やばいやろ、とか思う。しかし、この局面で原発問題を持ち出した河野太郎も謎だ。やる価値はあるけど、全体的なエネルギー関連政策を出してこないと、日本はどうなるんでしょう?というまま放り投げられることになる。
■ 200ドルになったら
ふと、思えば興味深いことを言っていた人のことを思い出した。いわゆるリーマンショックの前、原油が非常に高かった時分に、北米のビジネスチャンネルは続高なのか、下がるのかで大騒ぎをしていた。
その時に、もっと上がると言い張る側の人が、上がった方がいいんだ、とまで言い出して、えええ??といった反応を呼び起こした。
アナリストのおじさんは、100ドルじゃない、200ドルになること考えてみろ、軽くて小さいダイヤモンドはいくら運賃が高くても飛行機で持ってくれば採算がとれる、しかし重くてかさばるものを海の向こうから運んでくる合理性はゼロになる、それはアメリカにとって悪い話じゃないだろう、と言うのだった。
言われるまでもなく当たり前の話なので、理屈は通るが、しかしそりゃやっぱり程度問題だろう、とか思いつつ記憶していたのだが、最近の動きを見ていて、ひょっとしてそんなことを考えている人がいたりするんだろうかと不気味な気持ちで再度思い出した。
■ MMTみたいな資源無限論
あと、この視点も重要だと思う。
今起きていることは、再エネ拡大や脱炭素政策の失敗ではなく、単に安価な化石燃料を掘り尽くし、その高コスト化に世界の経済成長が耐えられない事を示しただけなのではないだろうか。
— 大場紀章(エネルギーアナリスト) (@nuribaon) October 11, 2021
資源は無限にあるみたいなことを言う人たちは、MMTが救世主みたいなことを言う人たちと似てると思う。
もし無限なら、どうしてアメリカがあんなにも熱心にロシアの北極海側の開発を妨害し、アメリカが戦略備蓄を放出せず、さらには、サウジアラビアが原発を作ろうとしていることの理由を説明しないとならないでしょう。
“失われた25年”の間、日本は成長(経済成長)というものを忘れ、政府はケチるだけ(緊縮財政)、企業は「選択と集中」で切り捨て、奪い合うことで、富める者だけが生き延び、貧者は結婚も子供もできない社会を作り上げてきたわけです。
こうして成長を忘れ、停滞に甘んじているうちに、2010年中国にGDPで追い抜かれたと思っていたら、いまや中国の1/3以下、昨年には平均所得で韓国にも追い抜かれたのに、メディアは(政権忖度か)厳しい現実を直視させないように煽るだけです。
その大本の原因たる緊縮財政を根拠ナシとして、国の経済運営の理(経世済民)を説いたのがMMTなわけで、岸田首相が「新自由主義からの転換」を唱えるのは(世界の動きからは周回遅れというべきですが)正鵠を得たものと思います。
(とはいえ、財務省や新自由主義側からの巻き返しが異常に激しく、到底何一つ実現できそうにもありませんが。)
この場合にはリベラルメディアの約束事の「ロシアが天然ガスの供給量を絞った云々など、思いっきり危機感を煽っている。
しかし、寒い欧州で冬場に暖房が止まれば命にかかわります。
それ以外にもイギリスの天然ガスの料金が半年で5倍になって電力料金との差額が赤字になって電力会社の倒産が相次ぐなど、唐突にエネルギー危機が到来しています。
これは間違いなく、資本主義の危機でもある。
チェコの総選挙で中道左派の与党が敗北、閣外協力していた共産党は5%を切って議席がゼロになるなど、いわゆる人為的CO2温暖化説の間違いがとうとう明らかに成りつつありますが、これは地球温暖化を引き金にした世界規模の大変革が起きようとしているのですよ。しかも正体不明の新コロ騒動と同じで、明らかに人為的です。
NHKの世論調査で安部晋三元首相の憲法改正はたったの3%の支持だが、日本共産党(志位和夫)の環境保護は6%、まさに金に不自由しないお坊ちゃまの道楽ですね。これでは勝てません。