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シリア情勢アップデート&反SCO

2017-09-22 13:28:06 | アジア情勢複雑怪奇

シリア情勢は基本的にシリア国の国軍がロシア、イラン、ヒズボラの支援を受けて国土の大部分を奪還したのだが、その最終局面で、シリア政府軍にユーフラテス川を超えさせたくないアメリカは、シリア政府軍の渡河を妨害し、それのみならず、昨日は、アメリカを後ろ盾とする側がロシア兵を捕え、ロシア側がかなり本格的に反撃するという出来事が起こった。櫻井さんが丁寧に書いてらしたので引用させていただきます。

アメリカ軍を後ろ盾とするクルド系のSDF(シリア民主軍)はユーフラテス川にあるダムから放水、水位を上げてシリア政府軍の渡河を妨害、またハマの北東部ではやはりアメリカを後ろ盾とする武装勢力がシリア政府軍を攻撃して包囲、ロシアの空軍と特殊部隊が反撃するという出来事があった。この反撃でアメリカ側の戦闘員850名が死亡、多くの戦闘車両が破壊されたとされている。

シリア政府軍がユーフラテス川を渡ったことでアメリカとロシアは難しい決断を迫られると本ブログでも書いたが、アメリカはユーフラテスの北にクルドの支配地を作る決意を示し、それをロシアが拒否したということだ。ハマでの攻撃はアメリカの情報機関が計画したとロシア軍は断定、SDF支配地から攻撃があれば必要なあらゆる手段を使って反撃すると通告した。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201709210000/

 

ロシア側は、この事態をメディアを通じて流している。この意味は、またこんなことをしたら、断固反撃する、ということ。

Moscow warns US any shellings of Russian task force by Syrian opposition will be thwarted

http://tass.com/politics/966732

 

ひらたく言うと、アメとその子分側は、なんとしてもシリア政府軍にシリア全土を完全回復させたくない。重要地点を確保して、そこにISだかシリア自由軍だかなんだか知らないけど後にクルドと共に反撃できる戦力を保持したい。ロシア空軍と特殊部隊が破壊した戦闘車輌等が結構な量だったことを見ると、これはつまりアメリカはこれらのクルド系に渡した武装は結構な量だという意味でもある。

アメリカにはシリアでこんなことをする大義はまったくない。ただの侵略軍。あらためて書いておくとロシア、イランはシリア国から正式に応援を要請されて入っている軍。

だもんで、アメはアルカイダ系にいろんな洋服を着せて名前を変えて、ISだのなんだの言ってきたが、ロシア、イランが参加して局面を挽回したので、試み失敗。そこで今度はクルド系シリア民主軍(SDF)を中心に活動中。あと、様々な部族系の武装組織は各地に残っているが、これらはかならずしもアメ側の子分ではない。アサドには反対だがシリア国の存続まで怪しくなるような行いは致しません、という態度のグループが残っていると言っていいかと思う。

で、アメグループはこういう隠れたところか行動しているので、自然必然やり方が姑息極まりないものになる。

まずくなると小さなイベントを発生させて、メディアを使ってロシアが何か悪いことをしたかのようにして、ロシア軍と米軍が協議したりする。が、協定を結ぶのは、自分たちの不利な状況を回避するための方便に過ぎないので、守る気なんかない。そこでまた衝突となる、この繰り返しって感じ。

このへんのことをロシア軍もイラク、シリアももはや疑うべくもないものとして認識している。そこで、また同種のことが起きた。ロシア軍は強烈な反撃をし、その上で我が軍は自軍兵士を守るためになんでもする、と声明を出した。この意味は、いちいち大分上の方の判断を仰がなくても現場で反撃する、ということでしょう。

アメリカ人を含む多くのシリアウォッチャーが懸念しているのは、この意味を現在のネオコンマインドにあふれたアメリカ現地軍は理解しているんだろうか、ということ。

そもそも、まったく大義なくそこに存在し、傭兵/テロリストを使いながらなんとかして中東を自分の好みに切り分けようとしてきたネオコンは、岐路に立たされている。なんの岐路かというと、前のアレッポの時と同じ岐路。テロリストと共同してロシアと戦うか否か、ということ。別の言い方をすれば、アメリカ軍はテロリストを庇うためにロシア軍と戦うという話。

 

で、これってさ、最初に人に知られるようになった頃には、なんということだ、アメリカ、気は確かかみたいな声もあったのだが、最近はこれ自体がデフォルト化してしまった。アメリカにとってはもはや不名誉どころの騒ぎではない。

にもかかわらず、この間の国連演説でトランプは、アメリカがISを破った、みたいな言い方をしてしましたね。イランをテロリスト扱いするに至っては片腹痛いどころの騒ぎじゃないでしょう。

しかし、ここがポイントなのは、去年ならこうしたアメリカの代表者の認識に腹をたて、怒った書き込みなども多く見られただろうけど、今年はもうそうはなっていない。なぜなら、シリア情勢を理解している人(当然に多数のアメリカ人を含む)にとってアメリカの行動は、pathetic以外の言葉がないから。patheticというのは、惨めすぎて、哀れすぎて見ていられないような状態に対して言う言葉。

 

■ 反SCO

で、北朝鮮を含めてなんだけど、アメは一体何をバカなことをしているのかというと、全体としてみれば、ロシア/中国/イランが固まってきた情勢をなんとか崩そうしている、ということ以外にないっしょ。

個別にみるとバカみたいだけど、並べてみれば、シリア、アフガニスタン、北朝鮮と、一帯一路構想を挫折させるようなポイントで混乱を引き起こしている。ウクライナ、ミャンマーもそう。

総じていえば、反SCO(上海協力機構)ムーブメントとでも言うべきものなんでしょう。

で、軍事を使った勝ち負けというのは、最終的には住民の支配を伴うので、その住民を混乱に陥れることを主たる目的としたこの作戦には展望はない。が、しかし、持続的に混乱を作って、脅し続けることで、安定化を阻むことはできる。各地に安定政権を作らせず、安定した投資先を作らせないことによって、そして、混乱をネタに金融業界から圧力をかけることによって、阻むことはできる。

北朝鮮の例はまさにそれだと思う。安定した投資先にしないことで、朝鮮を縦断する鉄道の建設を阻み、分断させたままにすれば、朝鮮半島がまとまってユーラシア連合、一帯一路側に接続していく時間はそれだけ遅れる。

さてしかし、遅れたとして、その先に何があるんだろう?

■ ある特殊なメンタリティー

まぁないわけですよ。だからこそネオコン側の試みが崩れていく。

しかし、じゃあネオコン/トロキストを手先としたいわゆるディープステート/シークレットステートに手はないのか? 

私は最終的には、金融恐慌を引き起こす気か? とか思っていたりする。足元の実需はルーブル、元に替えたとしても、株式、FX、借金、デリバティブ等は圧倒的にドル建て。この部分を使って乾坤一擲をもくろむ。となると仕掛けは金利か。で、大波乱をトリガーに、新しい秩序をとか言い出す、みたいな(まぁ世界大戦の金融版ですね)。

しかし、もしそれが鉄火場(ドルエクスポージャーの債権)での火傷は多く発生し事実混乱するとしても、ユーラシア側の大人口にカタストロフィーを与えることができなかったとしたら、それはつまり仕掛けた方の混乱で終わるという可能性もあるのではなかろうか、など思う。これはちょうど、テロリストにかかずらって核戦争を選択しかねないメンタリティーと符合する。この人たちは本当に特殊な人々だ。

 


 

 

 


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2 コメント

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『金融自爆テロ』 (ローレライ)
2017-09-22 17:11:41
『金融自爆テロ』と『バルバロッサ作戦』の合わせ禍を『西側』は起こすなら『西側のオウム化』と言う話。
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シリアのクルド、ミャンマーのロヒンギャ (私は黙らない)
2017-09-23 05:41:10
先日のSCOに関するブログに掲載された地図を見て思ったのだけど、反SCO的にはミャンマーは要所なんじゃないか?
朝日新聞が、ロヒンギャについて、少し毛色の違う記事を書いていた。要は、ミャンマー国内では、ロヒンギャ問題はテロであると報じられ、国民の大多数が国軍を支持し、スーチー氏も支持率がアップしている。ロヒンギャとアルカイダとの関係がささやかれはじめる中、言論がひっくり返った時のため保険だと思う。
ミャンマー人の知人曰く、イギリスの外相だったかがロヒンギャ問題でミャンマーを非難したことに対し、ミャンマー国軍のトップが、「イギリス統治の置き土産に苦しんでるだけだ。ミャンマーだけじゃない。あちこちそうだ。」と言ったとか。あっぱれ。

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