昨日8月30日には、国会周辺で現在審議中の安保法案に反対するラリーが行われた。
NHKによれば、
安保法案 国会周辺で最大規模の反対集会
8月30日 18時43分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150830/k10010209801000.html
国会周辺の参加者
主催者発表 約12万人
警視庁の調べ 3万人余
が参加した、というらしい。
なんとなく普通のデモに見せたいらしい意図がみえた。で、その手段として、こういう写真を取らせたくなかったんだろうなぁとか思ったりする。よく見ると森がなければもっと大きな群衆になったんだろうね、これ。
で、これをトリミングするとこうなる。これはカナダCBCが使っていた。ここ。
■ 国民を恐れてるなぁ、と。
で、こういう写真というのは、実数も実際すごいのは見ればわかるけど、象徴的なんだよね。だから、国会前に大人数が集まっているという写真を日本の当局者は取らせたくなかったようにみえる。
全国津々浦々で何百万人がおかしいと声をあげようとも、国会前では何もおこっとらん、後楽園はいっぱいだ、みたいなストーリーを狙ってると。
(なんかこの政権って、中世のローマ教会を思わせるものがあるんだよなぁ。天動説的というか。)
それは、もう2か月ぐらい前からそうだったらしくある。デモに参加した人たちが警官がブロックして地下鉄から上に上がれない、通路に鉄柵を置いて人々を歩道から出さないようにしている、という話がネット上で語られていたから。
でもって、今回はこうやって人が歩道にあふれたらしいです。
国会議事堂前デモ 歩道に人があふれた瞬間(2015年8月30日) -Japanese Protest activity 2015.8.30-
https://www.youtube.com/watch?v=g-cTh3cdAe4
こっちは地下鉄構内に大勢の人たちが閉じ込められて、外に出してもらえない様子。
国会前の安保法制反対大デモ、ロイター通信が警察による悪質な妨害を報じる!駅を内部で完全に遮断!抗議の人が殺到!
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-7811.html
■ ジャーナリストが見たものは隠せない
海外の報道、特にロイター、BBCあたりは前から継続的に報道しているので、このあたりも既に気づいていると思う。社の方針としてここまでしか報道しない、というのは最終的に出てくるものについての判断だけど、数多くのジャーナリストが現場で取材したネタ事体がなくなるわけではない。
でもって、これは私のカンに過ぎないけど、やっぱり日本に来てるBBCやらロイターやらの人もジャーナリストなわけですから、そうやって人々がプロテストしているのを小さく見せよう、小さく見せようとする当局者に対して、次第次第に反感を持って行っただろうなぁとか思った。
歩道に人があふれないよう柵を置いたり警察官が大量動員されてる状態は、実際には危険なことでもあるわけだし、地下鉄構内に足止めさせて、あらぬ方向に誘導するというのは、不正直なわけね。
ということで、一時的に現在の政治状況から鑑みここまで書くとかいった「メディア上の真実狙い」が有効であっても、結果的にはこれは、~と日本の当局者は見せたがっていたが、実際には~だった、と後で書かれる可能性はある。また、別の場合には、日本人はデモをしない人たちだと長らく信じられてきたが、そうでもなかった、それができないのは日本社会の支配構造がauthoritarian(権威主義的)であったからだ、とかいう話に引用されたりもしそう。
そういうわけで、面白い展開になったなとか思った。
ウクライナの問題の時から書いてるけど、メディア上の真実は真実ではないんですよ、当たり前ですが。でもこれを真実のように見せるためには、例えば、ウクライナには西側は実はジャーナリストをほとんど派遣しなかった、というぐらいにまで徹底することが必要かもしれない(笑)。
しかもウクライナまで入った西側ジャーナリストもキエフまでしかいかず、親ロシア派が抑えていると語られる地域、すなわちドンバスには行っていない。だから、西側メディアが書く親ロシア派が攻撃している、とんでもないという話も、結局キエフ当局が言っていることを裏取りせずに「ウクライナ発」で書き散らしているだけだ、これはジャーナリズムにとって危機だと警鐘を鳴らしていたのはNY大の教授でもある、アメリカにおけるロシアものの第一人者として有名なスティーブ・コーエン教授。(2015年2月あたりの話。探す時のメモとして書いておくと、youtubeにもあったし、Russian Insiderにもあった。Thom Hartmanとの対話が一番まとまっていた)
この後、BBCが一人ドンバスに出して、自分が支援しているはずのウクライナ側からの砲撃を受けるという冗談みたいなことが起こった(親ロシア派が発砲しているというストーリーを作りに行ったのに、ウクライナ軍支配地域から銃弾が飛んできてフィルムが回っているところであやうく撃たされそうになった)。
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