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イスラエル総選挙&「部屋の中の象」&東西

2019-09-19 18:13:03 | アジア情勢複雑怪奇

注目のイスラエルの選挙はネタニヤフのリクードが予想通り勝ちきれず、青と白も勝ちきれず、前回同様この2つが反もくしたままといったところ。

イスラエル総選挙、与野党伯仲 連立の見通し不透明に

https://www.afpbb.com/articles/-/3245124

今日の情勢では、ネタニヤフが青と白のリーダーのガンツに連立を呼びかけたらしい。強烈な連立内閣になるわけだろうか。

Netanyahu admits election results won't let him form government, calls on rival Gantz to unite

Netanyahu admits election results won't let him form government, calls on rival Gantz to unite 

https://www.rt.com/news/469128-netanyahu-gantz-unity-government/

 

今回の選挙では、アラブ系が統一リストで選挙を戦ってこの2つの後ろに来るというマイナーだが今後にとっては大変興味深い結果もついてきている。いいんじゃないの、こういうの。

 

いずれにしても現在の局面はイスラエル問題、あるいはイスラエルはどうやって出来たんだけっか問題という含みは多いにあるわけで、そんな中、櫻井さんが数日前よいマトメをしてくださっていた。

イスラエル軍によるシリア攻撃は許さないと露大統領がイスラエル首相に通告か

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201909150000/

 

タイトル部分は、まぁそうでしょう。特に驚きはない。そもそもS-300、S-400をあそこに設置した最大の意味はイスラエルを抑えるためでしょう。地中海東岸の安定化ともいいますが。

だから、ネタニヤフがどれだけプーチンのところにいって、俺らはマブ、俺らはできてるという雰囲気を出そうとも限界ラインは敷かれてる。

で、重要なのはそこではなくて、ユダヤ系シオニストの流れについてのまとめ。

この流れはシオニストの本流的な存在で、傍流のジャボチンスキー派とは違いがある。時代によって変化はあるが、両派の対立は無視できない。ヒラリー・クリントンを担いでいたネオコンの背景は本流、ドナルド・トランプの背景は傍流と言えるだろう。


ネタニヤフはお父ちゃんの時代からユダヤ系シオニズムの流れにある人なわけだけど、このあたりは実際にはポーランドを最大手とするロシア帝国の勢力圏から来た人なわけで、前にも言ったけど、これってつまり19世紀から20世紀にかけてのアルカイダ/ISみたいなものでしょう。つまり使われた側

ネタニヤフとシオニズムと不滅の連隊

それに対して、それらの取り組みを設定していく側もいるわけで、それが櫻井さんの表現でいえば「本流」。言い方を変えれば、まぁ同じ悪でも上流か下流かの違いがあるという話。

しかしそれもユダヤ人グループだけではなくて、アングロであり西欧州のエリート層、そしてバチカンがここで結託する。アメリカというセンターが出来てからは、どちらかというのなら米民主党がその「本流」を支えてきたといっていいと思う。

 

これらの話がどう展開されていくか不透明ながらも、しかし、シオニズム運動はクリスチャンの運動で、18世紀末から19世紀前半にこれが勃興した頃イギリスにいたユダヤ人たちは、イスラエルにユダヤ人を帰すという迷惑な話だと思ったという話もあるぐらい、当時既に西欧州内に住んでそれなりに暮らしてたユダヤ人にとっては迷惑で唐突な話だったらしい。

この前書いた通り、クリスチャンのシオニストが大量にいるのに、そこに目が向かないのは危険。まさに、「elephant in the room」、誰でも見てるのに見えないふりして話してる。

よくよく考えれば、ユダヤ人のシオニストはクリスチャン・シオニストの動きの中で出て来たもので、人数的に考えればクリスチャン集団の方が大きいし、アメリカで暮らしてりゃ、彼らがものすごく活動をしているのも見える。本とかテレビ説教とか集会とか。

にもかかわらず、そこに目を向けようとしない、それは「elephant in the room」ではないか、と指摘したのは、誰あろうアングリカンチャーチ(英国国教会)の牧師Stephen Sizerさん。

現地人とスポンサーと「部屋の中の象」

で、ここからどういう展開になるかわからないけど、この「部屋の中の象」であるクリスチャン・シオニズムの話が出てこないことには、では一体「イスラエル」とは何なのか問題の説明はうまく説明できないし、この200年(または500年)ぐらいの動乱に対する見通しも半端なものになるでしょう。

 

細かく検討してないメモを書いてますが、一昨日書いた

「イランが悪い」騒動の中ロシア・トルコ・イランが会合

という現地3古豪国の連携強化というのは、これらのクリスチャン・シオニズム展開が行きづまりました、という線で読むこともできると思う。というかそれが正しい気がする。

 

ロシアの現在の政権がトランプに対して、好意的ではないにせよ、興味深いいじり方をしているのは、本流こそ問題だと思ってるからと考えてみることもできるでしょう。兵隊をいじめてみてもはじまらない。本流こそ問題だという感じ。あと、決して二極対立で対立しない、三極にして弱い2つが組んで強い1つを倒す、と考えている気もする。

 

そしてもちろん、それの下のレイヤーはこれ、って感じ。

要するに、ウクライナという場は、現在、ヨーロッパ勢力(西方教会+NATO)がロシア世界に突っ込んでいるその最前線なわけです。

で、それはまったく1000年越しの攻防だというのがまったく面白いの。

ロシア正教会、コンスタンチノープルと断絶

ヨーロッパ1000年のロシア恐怖症

 

■ オマケ

自分でもまとまりのつかないことをメモしてますが、フランク族的一極支配と、ギリシャ世界的コスモポリタニズムの戦いのようなものも感じる。

 

■ 法王ポジションがないのが正教会

日経の記事では触れてない(というより触れたくないんだろうが)が、理解のためには、正教会には法王というスーパーな地位を持った人はいないという構造上の違いを知ることが大事。

正教会の構造は、それぞれの民族ごと、あるいは多分コモンウェルスごとというべきなのかもしれないが、とにかくざっくり言って現在の国に似たような線ごとに、独立教会があって、それ以外に古代から続く4つの総主教座がある。

で、これらは互いに独立で平等というのが原則。

だから、コンスタンチノープルにいる人は格式的エライんだが、西方の法王のように王様みたいに勝手に何か決められるという体制にはなっていない。

このあたり、東方教会が国連、西方教会がステルス帝国に似てて興味深いよなぁとかいつも思ってる。

ロシア正教会、コンスタンチノープルと断絶

 

■ オマケ2

ネタニヤフは悪い人だと言うのは簡単だが、ネタニヤフはロシア周辺にいた個別具体的なユダヤ人を西側が武器に使う「ユダヤ人」というイデアみたいな存在から分離して、あるべきところで悼む、という試みをプーチン(を代表とするロシア人たち)の手引きで了承した、着地させたという点で、陰に隠れて出てこない「本流」よりも人間的であるとは言える。

ネタニヤフを庇いたい気はさらされないが、姿を見せずに利益を吸い上げる奴よりは表で悪者になる奴の方がマシな存在だという考えを私は持つ。

この話。

個別具体的な無数のユダヤ人たちを救ったのは個別具体的なソ連赤軍の兵士たちです。「連合軍」と書いている教科書はここを故意に曖昧にしていると思う。

で、ですね。過去30年ぐらい、世界中の学生は教科書を通じてホロコーストを教えられ、ユダヤ人差別を嘆き、もうあってはならないと教えられるわけです。

であれば、その悲劇の当事者を代表するユダヤ人の集団が、ソ連赤軍がナチを打倒し、反攻に転じた過程で多数のユダヤ人が救われたという事実を喜ぶのが筋ではあるまいか?

にもかかわらず、ネタニヤフがこう語っても、世界の主要メディアはそれを伝えないわけですよ。それどころか、曲解して、だからイランの脅威に立ち向かうのだみたいなバカなことを書いているイスラエルの新聞まで出てくる始末。

ナチズム打倒においてソ連が果たした役割を決して忘れない by ネタニヤフ

 


 

 

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1 コメント

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兵役のためにイスラエルに行く二重国籍者 (セコイアの娘)
2019-09-20 03:06:35
連合いの同僚、うら若きユダヤ女性が、イスラエルへ行くと言う。なぜとの問いに「兵役につくため」そして、いかにイスラエルが危険な状態にあるか、だから自分は国を守るために行かなくてはいけないのだと、実に熱く語ったそうだ。
と言う話を聞いたら、また先日、近所で同じような二重国籍者に会ったらしい。
本流というか、黒幕というか、おそらく中東の和平なんか永遠に望んじゃいない。そのための装置がイスラエルで、ネタニアフは下働きなのではないだろうか。
サウジ油田攻撃に端を発した、アメリカの対イラン強硬策、これは、イスラエルが焚きつけたものか、あるいは、アメリカが口先ばかりでイランとなんか戦争できっこないイスラエルをビビらせるつもりなのか、どっちだろう。
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