ロシアのザハロワ報道官が、6日前に行ったプレスリリースでなかなか興味深いことを言っていた。
American stupidity is worse than terrorism - Russia
タイトルにした、西側のバカさ加減はテロより危険だ、というのは面白いからこそを切り取ったけど、そこに至るまでの簡潔な説明が、まったく忌憚のない状況説明になってる。
東アレッポの状況は要するに、一般人が人質になっている。それを西側の主流メディアはアルヌスラがそこに入り込んでいる状況をほとんどまったく伝えていない。この状況でロシアが放置して立ち去る選択肢はない、と。
これこそが重要な問題なんですよ。テロリストと戦うと一体何度国連で決議されたんですか? それでアルヌスラは一体なんだというんですか、ときて、
で、アルヌスラの説明。これは要するにムジャヒディーンなんだ、と。ムジャヒディーンという語を知らない人は探して歴史を勉強してね、いずれにしてもここからアルカイダが出てきて、今見ているアルヌスラはまさにそれなんだと手短に答えている。
そのへんは私としては特に珍しいことは何もないんだけど、でも、その流れで、非常に興味深い発言があった。
それは国連での動向。上述した通り、東アレッポはテロリストを分離する以外にどんな発言があるんだ、ってことなんだけどそれを国連で一致した見解にしようとすると、国連安保理の非常任理事国2国が、頑強にどんな提案も潰してくる、それはみんな理解していること、と言っている。
“This is the work that we are being stopped from doing. The talks on Syria are about to begin again – but everyone understands that the two rotating member countries (from the UN Security Council) have a decisive capability and they are blocking our progress. This is because we have finally approached the crux of the problem – al-Nusra.”
http://www.zerohedge.com/news/2016-10-12/russia-rages-western-stupidity-more-dangerous-terrorism
日本も現在、非常任理事国だから、日本とウクライナだったらどうしようとか思ったんだけど、まぁ大方の疑いが向くのは、ウクライナとニュージーランドでしょう。
rotating member states はここ。
つまり、ニュージーランドはイギリスの代理人ってことだよね。単体でこんなことする意味なんか何もないから。
とすれば、妨害しているのはイギリス、またはイギリスとフランスという線は一応考えておく価値あるな、と思う。
で、日本は、ロシア案に反対票を投じ、フランス・スペイン案に賛成票を投じている。
Security Council Fails to Adopt Two Draft Resolutions on Syria, Despite Appeals for Action Preventing Impending Humanitarian Catastrophe in Aleppo
http://www.un.org/press/en/2016/sc12545.doc.htm
みなさん、残念なお知らせですが、日本はマジでテロリストに人質を取らせ続ける方法を支援している国でございました。
この決議です。
宴の始末(15) アレッポに刺さってるWar on Terror時代
あと、まぁ、これでロシアと日本がいい関係にとか、私の考えでは何を寝言言ってるんだみたいな気はしますです。ロシア外務省は極東でも同じ人たちですから(笑)。
結局、ウクライナ事件以来、日本はイギリス等と並んで、ロシアに糞をぶつけることを積極的にやっている国なんですよね。ただ、国内向けになんか違うイメージを作ってるだけで。
さらに、この際ロシアはどうでもいいとしても、アラブ人、要するに非欧州人に対する日本人の態度ってこんなもんなんだなというのも、まぁわかっていたことではあるけど寂しいものです。
イラクやシリアで100万人ぐらい死のうが500万人が移住を余儀なくされようが、政府は躊躇なく、よどみなく、迷うことなく、仲裁に入るわけでもなく、何か困惑を見せるわけでもなく、保留してみるわけでもなく、自国民に状況説明するでもなく、100%アメリカ、イギリスを支持し、社会には疑義や反対の声もあがらないというのが私たちの国です。私は日本人全員がこの動向を支持しているだなんてまったく思いませんが、外から見た時の私たちの国とはこうであることを私たちは認識すべきでしょう。
■ イギリス情勢
で、そのイギリスは、ボリス・ジョンソン外相が、ロシアを口汚く罵り、平和団体はどうしたんだ、ロンドンのロシア大使館にデモを仕掛けるのを見たいものだ、とか言い出した。
しかしイギリスの有名な団体の代表者が、私たちは基本的に自国の政府の行動に影響を与えようとしています、それは効果的だからです、とスマートな答えをしてジョンソンに拒否回答をしていた。
さらに昨日は、イギリス空軍はシリアでロシアに脅威を当たられた場合はロシア機を撃墜してもいいと命令を受けている、とかいう話が出回って、ちょっとした騒ぎになった。
イギリスの様子、特に保守党の様子はなにか、とってもへんな感じがする。
イギリスの国民の全体の見解としては、リビアについてバカだったと下院の報告があったばかりだし、シリアは最初から反対が強かったし、今もどちらかというと自国政府のやり方は間違っていると考えている人が優勢といっていいんじゃないかと思う。
イラク戦争に導いたMI6の人なんか糞みそだし、ブレアは殺人鬼扱いだし、ってのは今も変わらない。エスタブリッシュメントが、なにか、割れているような気配もそこはかとなくある。
であるからこそ、どこかが追い詰められて強硬派になってるということなんだろうか?
そう考えると、この写真を思い出す。ついこの間のG20の写真。
イギリスのテレサ・メイ首相が2列目左端にサウジの副首相と一緒に並べられているというので、ちょっとした物議を醸していた。まぁその、明らかに前列が中国の理解で重要な国々ということだよね、これ。あと、カザフを真ん中に置いてるのも興味深い。まぁ実際ユーラシアの真ん中なんだが。
赤マルは私が付けたんじゃなくて、どこかのサイトで拾った時に既についていた。
http://russia.tv/video/show/brand_id/21385/episode_id/1377655/video_id/1526840/viewtype/picture/
この中で名指しは避けているものの、明らかにケリーとラブロフの電話会談の一部を紹介しています。ケリーが初めに「ロシアは空爆で1000人殺した。その内400人は子供だ。」と非難する。ラブロフがその根拠を尋ねたり反論するうち、5分後には「400人殺した。100人は子供だ。」に変わる。こういう手合いと如何なる対話が成り立つのか、と語っています。
ザハロワの話で印象的なのは、彼女のラブロフに対する信頼です。「彼の話を引用する際は、完全な裏付けがあるものと安心しています。」ラブロフの話からはプーチンへの信頼が感じられ、ロシアの外交チーム内での信頼、尊敬はその方針の一体性、一貫性になっているように思います。対するワシントンは、ホワイトハウスの記者会見のあのグダグダ感は、ロシアのニュースではよく皮肉られています。政権内での信頼関係などあるように見えませんがどうでしょうか。それもこれも嘘に嘘を重ねた結果のように見えますが。
ご紹介ありがとうございました。
いやほんと、ロシアの外交チームはチームでやってますよね、ほんと。
さらに、軍の参謀本部の会見なんかもしっかり軌道があってますよね。
アメリカの現在は内部で騙しあいしてる上に、一回嘘をつきはじめたらもうどうにもならないというのを地で行ってるので、ほとんど契約無能者状態だと思います。