いやしかし、世の中混乱しておるなぁといった趣の3月。
そういえば昨年の3月はスクリパル親子事件という世にも奇怪な事件をイギリスが起こし、その余勢をかってシリアでまたまた偽の化学兵器事件が起き、米による意味不明なミサイル攻撃にまで発展した。
そこで表明されたのは、ロシア軍の総大将たるゲラシモフ参謀長による、ロシアとその同盟者に対してミサイルが打ち込まれたらミサイルだろうがキャリア(艦船)だろうが撃ち返すという表明(通常の小さいロケット弾の話じゃなくて想定しているのは大量破壊型のミサイル)。
この態度は従来の路線から一歩具体化した強硬な路線であることから、以来イギリス、イスラエルetc.の影で仕込んで話をでっちあげる系が動きにくくなった。したがって、私たちは現在、ゲラシモフ均衡とでもいうべき世界によって安全を担保されていると考えるべきなのかなと、この1年何度か考えた。
シリア空爆:侵略軍空爆が導くであろうもの
今年の3月の波乱は、現状では、アメリカ史初の明示的シオニスト大統領の誕生となるのだろうか。多くのアメリカ人にとっては驚愕というか嘆きというか、まぁいずれにしても到底喜ばしくはない事態を迎えている。
この動きは直接的にはネタニヤフの選挙協力だろうと考えられるし、それはそうなんだと思う。
が、ネタニヤフが残ったからといって事態は別に改善はしないわけで、むしろ、ゴラン高原という交渉カードを一つ失った、みたいな感じもする。
■ イラン、イラク、シリア
それはそうと、書くチャンスを逃していたけど、3月11日にイランのローハニ大統領はイラクを訪問し、サリフ大統領他多くの公人による歓迎を受けた。
これは、去年の後半に、トランプが突如イラクの米軍基地を訪問したが、イラク側が主権国家に対する侮辱だと怒って、誰も公人が会ってくれないという顛末で終わったことと対比してみるとなかなか興味深いと思う。
イラク軍に迎えられるローハニ大統領(左)とイラクのサリフ大統領(右)
その2週間前には、シリアのアサド大統領がイランを訪問した。
Syria's Assad visits Iran in rare trip abroad
https://www.aljazeera.com/news/2019/02/syria-assad-visits-iran-rare-visit-190225184402114.html
■ アラビア海から地中海へ
これでシリア、イラン、イランという、地中海から湾岸、アラビア海まで。すぐ隣はパキスタン。ということで、チャイナから地中海の交易ルールが、お話あいに乗ってますという恰好。
いわずもがなのイランのザリーフ外相と中国の王外相
こうなると、イスラエルっていつまでそこで世界制覇計画をやってるわけ?という話にもなりますね。実際にはただの民間人殺しにうつつを抜かしているだけの存在なのに、妄想上は世界と戦うって、要するにこれがハルマゲドン願望の人たちに特有の思考傾向。
そんなんせんと、交易せーへんの、あんた、と言われておるわけだが、アメリカが膨大な援助をするもんだから、せやな、近隣となかよーやらんと、という方向に頭を向けられない。
プーチンは昨日は、レバノンのアウン大統領と会談。アウンさんがモスクワ訪問。
http://en.kremlin.ru/events/president/news/60146
このミーティングは前からのスケジュールというよりかなり急に決まったもののようにみえる。二国間の貿易とどうしたこうしたのために、と一応あるけど関心は中東地域の動向であることは間違いないのでは。
重要アジェンダとしては、イランの核問題は公正な決着が必要だと2人は力説した模様。
米のシオニスト大統領がイラン・ディール蹴ったことを受けて、に決まってるわけだが、おりしも、シオニスト大統領はゴラン高原をイスラエルにプレゼントするなどというフザケタことを言っているので、米の中東地域における鼻つまみ者化はますます顕著といったところ。
ただ、トランプが米州シオニスト機構の代表者みたいになって、米のシオニストグループを喜ばせ、それが見出しになって大騒ぎになっているほどには、この宣言には驚きはない。だって、過去何十年間か、一貫して、イスラエルの非道を庇い続けたのはアメリカだから。
単に衣が脱げただけ。「王様は裸だ。そうだ俺は裸だ」作戦のトランプさんは自分から裸になる。次、どうするのか考えてるのかが謎なだけで。
アジアから地中海への道がつながり、そこに隠然と(明白に、だが)モスクワが南面している動きを加えると、行き詰まってるのはアングロ・シオニスト邪悪の帝国なんだろうなと思わずにはいられない。
明らかに、日本は落ちる方にくっついてるわけで、ここから大変。なんせ150年ごしの蒙昧を開かないとなんないもの。
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さりげなく静かに大きなアフガニスタン撤退問題
福音派の腹の底にどす黒い欲望がとぐろを巻いているのではないかと疑うこの青年に対し、私は「あなたそりゃ考えすぎよ」って一笑に付すことができない。
同床異夢なんて生ぬるいものではなく、根強い不信感を持つユダヤ人もいるのだなと思った。
それほどまでに、アメリカの福音派のイスラエル愛は胡散臭い。
いやでも、キリストは再臨するのだろうか(笑)。
一般信徒の人は、要するに昭和天皇が神さまだと信じ込まされた時代の日本人みたいなもので、特にあくどくも腹黒くもないでしょう。
問題は、これは作られた愛好であって、事実とも歴史とも関係がないってところかと思います。
その最後が『ゴラン高原の嘆き』のタイトルで、興味深いことを書いています。
鳩山弟の友達の友達はアルカイダだが、この布施広の場合には友達がアメリカCIA?らしいのですよ。それど時々は『米当局者に近い筋から直に聞いた』と、他の有識者とは一味違うことを書いてある。
ゴラン高原とは、
戦略的要衝である前に聖書にも記述がある水源地なのです。ノーベル賞受賞のラビン暗殺もゴラン高原の返還を口にしたから殺されたとも書いているのですから怖ろしい。
今のアメリカ政治ですが、国連憲章ではなくて実質的に聖書の記述によって動いているのです。まさに狂気ですね。一神教信者以外には到底理解出来る話でない。
この事実を踏まえて考えれば、トランプの『中東地域の平和と安全のために云々』との言葉も少しも不思議ではない。
今のアメリカやイスラエルは政教一致の神聖国家であり、政治も宗教を抜きにしては語れないのです。
だいたい聖書の記述が字句通りそのまま起きると信じる硬直的解釈自体が異常。カルトですよ。
キリスト教が原理主義なら、ユダヤ教はどうだっていうんです。朝から晩まで祈りの生活をしているような超正統派は、神によってなされるべきイスラエル建国を人間がするのは畏れ多いとシオニズムに反対している。
もし、イスラエルを政教一致というなら、政治の長は超正統派のラビのはずでしょう。アメリカの福音派だって、ネタニアフだって、こんな世俗の欲と垢にまみれた連中はいない。宗教を利用しているだけだと思います。
福音派というカルトブーム自体、政治的な意図があったのではと、私は勘ぐっています。
余談ですが、超正統派の突出した出生率の高さが、今後、イスラエルの政治にどう影響するか、楽しみです。
「布施広の地球議」でネット検索すると記事は出てきます。まず議が地球儀の儀でないとこがミソです。ただし有料会員でないと半分しか読めません。
ストレスがたまるでしょうから、後半を勝手にコピペしてコメント欄に投稿します。お役に立てば幸いです。
<以下有料部分>
…はイスラエル領だと言明した。エルサレムはイスラエルの首都だと認定したのに続く、驚くべき決定である。
トランプ氏の発言を聞きながら、イスラエルの故イツハク・ラビン首相を思い出した。ラビン氏は93年のオスロ合意によりペレス外相、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長とともにノーベル平和賞を受けた。
だが、それで満足することなく、今度は敢然とゴラン高原の返還論を展開した。「土地と平和の交換」である。ラビン首相の熱っぽい演説を、エルサレム留学中だった私はハラハラしながら見ていた。
ラビン氏の言うことは正しい。でも貴重な水源地と耕作地、戦略要衝を手放すことにイスラエル国民は納得するか。どうも雲行きが怪しいと思ううちに、同氏は極右の青年に暗殺され、返還論も下火になっていった。
その後も和平への取り組みはあった。米クリントン政権はシリアとイスラエルの直接交渉をお膳立てし、2000年には米・イスラエル・パレスチナの3首脳会談を通じて合意に限りなく近づいた。
だが、結局和平は進展しなかった。そして、今や米国は「和平の仲介者」の立場をかなぐり捨てて横紙破りの行動をとる。深刻なモラルハザードの中で、中東は実質的に荒れるがまま。実に嘆かわしい状況だ。
さて、14年から始まった小欄は今回で246回目。西日本では17年からの連載だが、今回が最後である。4月からは新たな連載を通じてお目にかかりたい。
己の力不足を謙虚に反省しつつ、温かく見守ってくださった読者の方々に心よりお礼を申し上げる。長い間、ご愛読ありがとうございました。(専門編集委員)
教えていただきありがとうございます。でも有料記事だということなので、多少の躊躇はありますので、私は黙らないさんが読んだら、消そうかなと思ったりもしております(優柔不断ですが)。
ラビンの時のいきさつからここまで悪化したという線を見せてくれる、思い出させてくれることにこの記事の価値はあるといったところなのかなと思いました。
そして今日見直せば、NATO拡大政策に移行するのもそこらへんですね。つくづくクリントン夫時代は困った時代だったと思わずにはいられないです。