3月26日は、韓国では安重根を記念する日なわけだが、今年はどうも扱いが小さいらしい。
宗純さんが、興味深いことをお書きになっていた。
伊藤博文暗殺犯の安重根処刑109周年
https://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/f448043eb5ecbffe5d05ea3fd0f6b3c5
例年に比べて盛り上がりってないらしい。
でも、そもそも、安重根を
与党「共に民主党」の李鍾杰(イ・ジョンゴル)国会議員は安重根が109年前に韓国を建て、韓国を守り、韓国のために勝利したなどと述べた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190326-00000061-yonh-kr
と書くのがおかしい。安重根はコリア民族のために行為したわけで、南北別れた半分だけのためになんかしたわけではないでしょう。というか、安重根は現在のマップでいえば北朝鮮側の人で、ウラジオストクに行ったりしてる。行動範囲として南部側というより北部側の人という感じがする。また、モノの考え方も、東シナ海周辺民っぽくないと私なんかは思う。
で、この人を顕彰するのはそれはそれとして、やっぱりこの、言いにくいことながら、南半分の建国神話とするには無理があると思うわけですよ。
安重根にしても臨時政府にしても、前哨戦、背景ではあっても、コリア民族独立の決定的なモメントにはなり得てないわけでしょ。そこからすると、北朝鮮のパルチザン神話は、一部には嘘、誇張もあるにせよ、大枠は合ってる。
去年さんざん書いた通り。
朝鮮の解放と朝鮮戦争レジーム
何をどうこねくり回そうとも、コリア、中国北東部から日本軍および日本人が掻き出されたのは、ソ連による8月の侵攻作戦の直接の結果でしょう。
関特演と1945年ソ連満洲侵攻作戦
ソ連の動きと呼応して動いていた金日成たちは、要するにナチを破ったソ連軍と共にドイツに帰った初代東ドイツ大統領のヴィルヘルム・ピークと似たところがある。
ピークらは、ナチがドイツの政権を取る過程でドイツ共産党、社民党etc.の人々を排除、排斥したためそれらの人々が欧州各国に逃げた、その中のソ連に逃げた人たち。ソ連がナチス・ドイツを破って、ドイツ軍を一掃しながらベルリンまで行く過程でこの人たちは、勝った側となって帰ってくる、と。
ピークとすれば、ほうら見ろナチは悪い奴やったやないか、俺は言うたがな、あんたらあんなんについて行ったら殺されるて言うたがな、1000万近くのドイツ人が死んだんやで(ソ連側は民間人含めてその倍以上死んでる)、となるし、ナチの大敗北に打ちひしがれる中にあってこれに呼応する人々が、特にベリルン市民に多数いたとしても不思議はない。好むと好まざるとにかかわらず、あるいは1930年代にナチを支援していたかいなかったにかかわらず。
混乱を無視して進むドイツ流
で、ソ連の側はドイツに中立してほしかっただけで分割しようなんて思ってない。分割の方向に大急ぎで話をもっていったのは西の方であり、それはつまり英米の方。
最初1946年に有名な「スターリン・ノート」があって、ソ連はドイツに中立国になってほしかった。もちろん東西分割なんて話はない。それをアデナウアーが拒否して、東西ドイツが別れる。
どうしてこうなるかというと、
ドイツはロシアに盛大に攻めて行って負けたんだから、全体として戦争はこりごりと思っているところで中立化したら、ロシア敵視にはならなくなる、それは困る(by アングロ・シオニスト・アメリカ)、そうだそうだ by 一部ドイツ人、ということで、西ドイツをアメリカのコロニーにした、ってことですね。
「ソフト占領」:米の占領下にあり続けるドイツ
ということだろうと思われる。
と、お話戻って朝鮮について考えると、南北で悩みの多いのは南の方だなと思える。これはやっぱり、南はアメリカが助けて共産主義の惨禍から救ったのだとか、日本が金貸してやったから発展したんだろ、というプレッシャーに対する応答であり、そして忖度なんだろうと思う。
日本のいうことなんか気にするな、というのも言い過ぎとしても、そして、もちろん、自分たちのペースでやったらいいんですけど、日本の、ある種の黙り込み戦略に巻き込まれない方がいいですよ、とは申し上げたい。
日本は自分の都合で、ソ連に負けた部分を見たくないわけです。しかし、それは別に朝鮮半島の人々が負わなければならない何かではない。
東西挟み撃ち体制が見たくなかったらしい
9月2日は敗戦の日、取られた日、抵抗の始まりの日
ですので、日本、アメリカだけでなく、中国、ロシアとの対話も含めて東アジア地域での歴史を書いていく人たちになったらいいと思う。
で、我が方はしかし、いつまでこんなうそんこ状態でいるつもりなんだろうと驚きに堪えない。
要するに、戦後は戦前と違ってちゃんとやってるはずだ、と多くの日本人は思ってるらしいんだけど、実はそうではない。かなり足りてない、いやそれどころか、戦後は戦後でまた別の大本営的捏造史を作ってきたというべきかもしれない。
ガラパゴスランドの空中遊泳とその先のお楽しみ
原発騒ぎで原発ムラは御用学者だらけだと知られるようになったが、日本史学会、国際政治学会も御用学者、御用マスコミ関係者、御用文化人だらけだというのはもっと深刻に追及されるべき。お前ら首洗ってまってろよ、と思う必要はないが(笑)、暴いてやるぐらいの気構えは持とう。