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BRICSの開発銀行設立

2014-07-17 05:59:45 | アジア情勢複雑怪奇

ブラジルにおけるBRICSの定例総会で、BRICSの開発銀行を作ることが決まった。やるやると言っていたけど本当にやったのね。

BRICSの開発銀行と準備基金の設立で正式合意-首脳会議
 7月15日(ブルームバーグ):ブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の各国首脳は、新たな500億ドル規模(約5兆1000億円)の開発銀行を設立することで正式に合意した。この新興5カ国、いわゆる「BRICS」の開発銀行は本部を中国に置く。総裁は輪番制でインドが初代総裁を輩出、ブラジルとロシア、南アもポストなどを得ることが決まった。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N8S3MD6KLVRO01.html

まぁ、誰が考えても、欧米メディア、わけても金融界の後ろ盾が強いメディアが、「おめでとう! 君たちの時代だね!」とかいうわけもなく(笑)、もう、最初っから、問題だらけに違いない、のオンパレードで面白い。中国が自分だけの力を誇示しようと、他よりも多く出資するという話だったのに、直前で全員同じ額になったらしいというのもまた面白く書かれてしまう。アングル:BRICS銀行設立へ、「中国封じ込め」が最大の課題(ロイター)BRICS開銀、調印 「基軸通貨ドル」に挑戦(産経)

まぁねぇ、中国だけが経済規模が他の4か国と違いすぎるので、そこは大変だと思う。でも、中国に持ってるもの吐き出させて、それを債権にしてしまえば、人民元の信用うんちゃらの問題はクリアできるので銀行を作るというのは良いアイデアなんじゃないかとも思う。

インド、ブラジルは借りたいと思ってると思う。でもそうすることでなんかチャイナの子分にされてはならじ、と誰しも思うわけで、そこで5か国がそれなりに協調したり、喧嘩したりできたらお互いにチャイナ除けになるんじゃないのかという気もする。

一応こういう人たちがBRICSの人たち。

 

見たこともない人たちが多いと思うけど、こういう人たちが次の世代を背負うんですよ、というのも間違いのないところではある。だって人口多いんだもの。特にインド&チャイナ。ブラジル、南アフリカも開発の余地大有り。

そういう意味で、ロシアがここに入ってるって実は何かとてもおかしいと思うんだよねぇ。だって一回世界の陸地面積の半分ぐらいを子分というか、支配下というかにおいた、それはそれなりに「出来上がった国」を経験していて、教育、科学、芸術等で見るべきものがあって、その上半分白人っぽい人たちで、人口が爆発的に増えるようなこともない、いわゆる先進国の中にいた方がすっきりする国。

欧州の17または18世紀からの外交史の中にしっかり組み込まれた「列強」だったんだよ? 今でも国連を中心に外交とか情報戦とかじゃ、各種の国際会議、国際機関の活動において他の先進国も困っちゃいますとうほど手練れが多い。

その上、アメリカと核戦略上相互確証破壊状態で、アメリカ様にはついこの間までロケットエンジンなんかも売ってましたし、皆さまの宇宙飛行士もロシアが宇宙までお連れします、みたいな国なわけで、あらゆる意味で全然フレッシュでもビギナーでもない! 単純に90年代に経済的に苦境に陥ったために、そこからの勃興期が新興国として認識されたというだけの話。

それなのに、なんでそこで「これからの国です」みたいな顔してんの、プーチン!

プーチン大統領によるBRICSのこれからの役割とは、のお説はここ

でも逆にいえば、こういう人数の多いこれからの国を長期的にロシアの味方についてもらおうという気なのかなとも思う。だって、一部アメリカには、「ロシアの孤立化を!」とか、「ロシアの経済を破壊しろ」「ソ連の解体では足らなかった、ロシアを解体しろ」とか、恐ろしいことを言う人たちが本当に政権内かその近くにいるんだもの。

考えてみれば、ロシア人だって人なわけで、一体なんだって1億4千万だかの人たちの人生を、一方的に危機に晒していいのかさっぱりわからない。米+G7は人道主義、humanitarianismみたいなものは止めたの? 少なくともリベラルじゃないんだよね、マインドが。みんなが豊かになるというアイデアが根本的にない。豊かになるのは俺、というスタンスのみが目立ちすぎる。

そういえば、アメリカって、もうリベラルというアイデアを人権の方に持っていく方向は完全にシャットアウトしてるね。なんでもいいから、誰かを殺すとか破壊する際の言い訳として、「自由と民主主義」を使いすぎ。自由と民主主義のために他国の体制を丸ごと壊す、従わない奴はテロリスト、みたいな短絡的な傾向が止まらない。そのうち、人道主義に基づき破壊的攻撃を行うとかマジでいうんじゃないか。

では、BRICSを持ち上げることで中国にどんな利益があるのか? 多分、チャイナがロシアに結構くっついている最大の理由は、無秩序なレジームチェンジの防止に力を借りよう、ってことじゃないかと思ってる。いずれの日にか中共がレジームチェンジを迎えることは中共の中の人も理解しているでしょう。でもそこで、あの欧米がロシアにやったような無軌道な追いはぎみたいなことを防止したいと思ってるんじゃないのか、と。秩序ある連邦制移行を希望してるんじゃないのか、と思うのね。(日本の保守派の人は、中国人ときけばみんな無秩序だと思いすぎだと思います)

100年前は、清が崩れて、要するに革命によって中華民国が誕生した。これは大混乱の元だった。こうならんようなある種の秩序作りが今後10年ぐらいの世界的なテーマなんじゃない? Bricsの隠れたテーマは米の追いはぎ型の革命防止か(笑)。

あ、つまり、このひと塊を現代における、地球規模で発生し得る革命騒ぎを前にした神聖同盟と捉えているのかも! いやぁ、それってちょっとどうよ・・・と私は思うけど、一応当たらずとも遠からずなのかも・・・。あ、それよりも、反トロキストか! であれば、それは結局アンチ・ネオコンだ!!

1814年と1914年から見る神聖同盟の有用性

(ネオコンとは何であるか? ロシア皇帝アレクサンドル1世)

 


 

金融の世界史: バブルと戦争と株式市場 (新潮選書)
板谷 敏彦
新潮社

 

 

 


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