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ロシア最新鋭原子力砕氷船、サンクトで進水式

2019-05-31 19:47:23 | アジア情勢複雑怪奇

おととい5月28日、サンクトペテルブルクで、ロシアの原子力砕氷船の進水式が行われていた。

西側メディアでは、いんちき情報かロシアの恐怖をあおるネタにしかされていないが、いやほんと着々と北極海を使う試みが現実化してる。

ロシア最新鋭原子力砕氷船の進水式 サンクトペテルブルク【写真】

https://jp.sputniknews.com/science/201905266295646/

アルクティカ級砕氷船のウラル、シビーリ、アルクティカは世界最大級で最も強力な砕氷船になると見られており、2021年までに就役を予定している。

 

スプートニク日本の写真は全然ボリューム感が見えないので、こっちを貼っておこう。

大きいんんだけど、タンカーみたいに長いといのじゃないし客船みたいに豪華でもない、ものを運ぶお船なんだな、といった恰好がよくわかる。

この砕氷船と姉妹艦2隻の合計3隻を使って何を運ぶかというと、半分は天然ガス、そこに石炭、石油、金属類、重機類といった重いものを想定しているそうだ。そりゃまぁ当然でしょうね。重いからショートカットが有利という話ですから。

He noted that Russia aims to ship more than 80 million metric tons of goods through the NSR by 2024. This will mainly consist of: natural gas (47 million tons), coal (23 million tons), oil (5 million tons), heavy industrial goods such as machinery (5 million tons) and 1 million tons of metals.

 

ということで、流通経路のコントローラーとして、エネルギーの巨大サプライヤーとして、そしてあれやこれや原子力を上手く利用している巨大な原子力サプライヤーとしてのロシアさんを象徴してる。

それぞれ、位置エネルギー原子力というロシアの強みそのままって感じ。

以下、話がまとまる見込みはないのだが、ジャーナルとして書いておきたい。

 

エネルギーについては、ドイツと中国のパイプラインに注目が集まるけど、LNG産業の拡充もすごいので、どこでも売りますよ体制が出来てる。

北極海側からの積み出しとは限らないけど、アメリカとかイギリスが冬場になるとロシアから緊急にスポット買いしてることはよく知られている。

そりゃだって、場所が近いってことは、運賃が安いわけだから、いくら英米の支配地域は中東です、ブラジルの巨大な油田がとかいったって、すぐに手が打てるところから買うしかないという交易の都合が発生した場合には、どうあれ買えるところから買う。ロシアは嫌いだからお前ら凍え死ね、というわけにもいかない。

 

そして原子力。

ロシアの核燃料の供給能力の大きさに気づいてちょうど3年ぐらいになるけど、結局ここ10年、ひょっとしたら40年かそこらで最も問題なのは結局核エネルギーの問題だったんじゃないかとかなり真面目に思い出している今日この頃。

対ロシア制裁が見せてくれるロシアの多段階対応能力

 

2年前、TVELというロシアのロスアトムの子会社が米国市場向けの原発の燃料の試作品を作っていることがニュースになってたことも、核燃料、なかんずくウラン濃縮キャパの問題を裏付ける話だすな、これは、という感じだった。しかし、この記事の後追い情報がほぼない、というのも非常に興味深い。

Russia's TVEL to Deliver Test Batch of Nuclear Plant Fuel to US in 2019

https://sputniknews.com/business/201706201054799699-tvel-nuclear-fuel-us-2019/

 

日本の中では、原子力はもう既に終わったのだとかなんとか、へーんなニュースが怒涛のように流れて、以降まったく修正されていないけど、国際エネルギー機関の予測でも、原子力由来のエネルギーの使用割合は大して減らない。

下の図はよく出来てるなと思うんだけど、要するに1990年代までというのは世界の中で西側諸国(欧米+日本)だけが圧倒的にエネルギーを消費してきた。しかしその他世界が膨らめば、そりゃ全体のキャパは大きくなる。ということは、今後はあるものみんな使うという時代が続くってことですよね。

黒が石炭で、ここが減少し、その代りにリニューアブル(薄い茶)が代置されるといった感じが見込まれている模様。

原子力は、土色。2012に11%とある分部。




https://www.powermag.com/iea-renewables-will-overtake-coals-share-in-world-power-mix-by-2040/

 

 

もう一つ。どの地域がどのぐらい原発で発電しているかの過去と予測。

アメリカと欧州が微妙にしか減らない見込みで、大きく変化するのはチャイナのみ。インドもそれなりの増加。日本は震災前より少なく推移するものと「世界原子力協会」という業界団体は予測してる。

関連画像

http://www.energyglobalnews.com/growth-world-nuclear-energy-capacity/

 

これが意味することは何か。

いろいろあるけど、まず思ったのは、アメリカはトランプ政権が核がらみに巨額の予算を付けたので、それで原子力産業に一応テコ入れする気だ、というあたり。

というのは、上の核燃料の話もそうだけど、アメリカの原子力産業はいろいろマズイ、おかしい状態にあるのだとしか思えない。

その上、新規原発を作ってない。ということは徐々に廃炉に進むものが出てくる。しかし、この予測からは、そういう「ナチュラルな脱原発」は見えない。

どうしてか。

理由は2つあると思う。1つは兵器としての核の維持確保の問題。もう1つは、実際問題アメリカの電力の20%ぐらいは原子力がまかっていて、都市部を中心にこれを代置する手段がなかなか見つからないからなのではなかろうか。

(日本は島だからどこからでもLNG入れられるし、火力の発電設備も多く、水力も相対的にいえば小さいダムを国中に作っているため、全体として、事実起こったように電力は原発なしで賄える。)

つまり、トランプ政権は、せめて核燃料まわりをなんとかしようという気なんじゃないかと想像する。ただ、できる保証はないけどね。

 

しかも、核燃料サイクルの構造化の先端を行っているのはロシア。

高速炉が商用炉まで行っているのはロシアのBN-800だけだし、核燃料サイクル全般を非常に長期的なプログラムとして実装してるのも、まぁロシアだけといっていい、というかそういうしかない。少なくともリーダーであることは間違いない。

 

といった、主要メディアにはまず出てこない「ロシア&核」の現状を入れて考えると、現在、あるいは過去のアメリカまたはアメリカを含めた西側にとってこれは重大なファクターであろうと思わずにはいられない。重要すぎるから書けない、みたいな感じなんじゃなかろうか。

 

■ ちょっと考察

まとまらない話をまとめていえば、西側は冷戦期の70年代のどこかから、アメリカを含む西側全体でウラン濃縮キャパを持つ形にしたみたいな感じがする。逆にいえばアメリカがリードしていない/できなかった?とも言える。

それに対してソ連は自前で大量に持って、全体プランも閉鎖系に向けて行動し、冷戦後にも再開された。

そこで、現時点で世界の17%だったか16%だったかの原発の燃料はロシアが供給してる。概ね東欧部分といっていい。

これを西側的には取り返したかったが自分んちもよろよろなのでできない。

また、上の円グラフが示すように、今後は、これまでの先進国ではないところで電力需要、エネルギー需要が増大するが、その対応を西側だけがリードする設計は描けていない。

今後の新規原発製造の過半数以上がロシア製原発で、いくつかの国はロシアの高速炉体験からの技術支援を受ける恰好になっている。

従って、いずれにしても、どんなシナリオにせよ、原発を含むエネルギー問題にとってのロシアの優位性は相当に大きいと言わねばなるまい。

といった話だと思う。

 

■ さらに考察

以上のような中で、日本は何をしようとしたのか。多分、独自に核燃料供給キャパを持とうとし、次にそれ以上のことをしようとしていたのではなかろうか。核燃料サイクルへの執着を、単に、よくある失敗を失敗として認められないという話だけで終わらせるのは多分無理がある。

核燃料サイクル事業に不退転の決意 日本原燃の増田社長

https://www.sankei.com/life/news/190122/lif1901220035-n1.html

 

しかし、原子力は燃料として見た場合、平常は問題がなくても、いざという時の対応が非常に重要になる、非常に特殊な、特殊に危険な代物であり、したがって相応の組織と国情がないと究極的には管理できない。

日本は国情としてこういうことが得意でない。日本にゴルバチョフはいなかったことをみてもわかる。

というところで、日本には向いていないことを日本がしてる、これは危険だと思ってた西側ディープステートもいるものと思う。

 


 


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