DEEPLY JAPAN

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Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

フリーランド vs 稲田

2017-03-18 13:53:00 | 太平洋情勢乱雑怪奇

森友学園問題というか日本会議問題というか、はたまた生長の家原理派問題というかかまびすしい毎日でございますが、テレ東がそこらへんの繋がりを映像にしていた。

全部で16分のうちの8分30秒当たりからがそれ。

「100万円寄付」総理は否定 昭恵夫人が籠池氏妻に驚きメール 3月17日(金)
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/you/news/post_128575/

 

解説してらっしゃるのは青木さん。この本の方ですね。

日本会議の正体 (平凡社新書)
青木理
平凡社

 

■ 陰から操るってどうなのそれ

で、この問題について野党の追及にしてもいわゆるリベラル系の追及も財務省、国有財産にだいたい絞られている。

これはこれで重要な話なのだが、しかし、やっぱり想念、妄念を持った人たちが団体を作って閣僚を出すところまで来たという場合、その想念、妄念がどういうものなのかを知らせるのはジャーナリズムの務めであり、国民はそれを知る権利があるでしょう。

要するに、ざっくり言って日本版のミニ・ステルス支配をもくろんだようなものになってる。ロビー団体が政治を動かした、とも言えますが。

なんてか、このあたりの団体の人たちはみなさん一様に「コミンテルン」を憎んでいると思うんだけど、実のところやってることがコミンテルン的だよね。あちこちに入り込んでいって、表からは見えないところにちゃんと参謀本部がある、という形。

ついでに草の根の活動を重視しているらしいが、現実の国際政治を一般向けに都合よく解釈して、被害者意識や敵対心を煽りに煽っていくその手法は、まさにボルシェビズムだなとも思う。

 

■ 稲田 vs フリーランド

で、前のエントリーでカナダの外相のフリーランド氏の話を書いたけど、この人が目立ってきたことと稲田さんにフォーカスが当たる状況は何か似てるなと思ってみたりする。

カナダ外相の方は、過激な反ロシア、親ウクライナの閣僚だったことは前から知られているのだが、その心底は何だろうだろうと誰しも怪しむぐらいの域に達したところで、トルドー首相はこの人を外相というポジションに就けた。

「西側ではナチズムが生きている」カナダ編

すると、そもそもじーちゃんがナチのポーランド支配、ロシア戦線最前線における協力者だったことが判明した。その間、この外相はそれはロシアの中傷だ、ロシアはカナダを混乱させようとしているだのなんだの言っていたのだが、あちこちからあっという間に様々な情報が出てきて(ナチスの宣伝相と一緒にいる写真を地域のライブラリーから発掘してきたのは地元カナダの人、とか)、今ではとりあえずこの話を「ロシアの中傷」ですますことはできなくなってきたように見える。

少なくとも、一家三代の信念やら恨みとカナダの国益を一緒にしないでくれ、という筋のいい議論が可能になる端緒は見えて来た感じがする。

 

稲田さんの方は、この人が極右的だとは誰でも知っていたのだが、それがどんなものなのかは知ってる人は知っているが、知らない人にはまるで知らされていなかった。

が、徐々に日本会議がクローズアップされ、ついに、生長の家、谷口雅春、戦前、戦後の右翼運動、という線が見えて来た。

 

しかし大きな違いもある。カナダはリベラルが担いだトルドー政権に過激派大臣が入っている恰好なので、過激派を切ることによってカナダの外交方針を整えるという流れも取れる。つまりトルドーごとひっくり返らない。このまま過激派を置いておくとウクライナで暴発を誘ったりした場合にトルドー政権の責任となる可能性があるから、そことのバランスとなる、って感じか。

一方日本の場合は、首相と防衛大臣の方向性が一緒とまではいわないが、かなり近いらしい。というか、私は安倍ちゃん本人は生長の家原理派グループとは大分違った人ではなかろうかとみえる。よくもわるくも信念の人ではないでしょう。しかしこの方向性を是認してきたわけだから、防衛大臣を切ると自分にも責任が降りかかる。野党は安倍潰しを念頭に置いているので、こっちに傾斜していく確率は高い。

つまり、日本の方がとてもおおごと。どうなるものか。

 

■ これは一体何なのか

まぁカナダと日本の例は別に図ってこうなったという話じゃないんだろうけど、でも、とても象徴的なことが起きていると言えるんじゃないですかね。

で、これは一体何なのか。

冷戦構造を支えた情熱的集団、または妄想集団、あるいはカルト的集団が整理されていく、ってことではなかろうかという感じがする。

両方とも一時期は「反共」、反コミュニストとかいう名前でそれはそれなりに理由があるかのような恰好だったんだけど、開けてみれば実は結構な、なんてか妄想めいた信念を宿していて、それがコネクションを介して利害に発展していた集団といえるんじゃないかと思う。

その時々でかかわったけど離れていった人たちを吹っ飛ばす勢いの妄想があった、開かれた集団ではないから、とも言えるでしょう。

ではどうしてそういう集団が必要だったかというと、そもそも冷戦というのが無理に作ったものだったからではなかろうか。

一つの理由は、この間レーガン政権の経済補佐官だったポール・クレーグ・ロバーツ氏が書いていた通り、軍産の野望ってやつ。このへんで書いた通り。

フリンの行く末とコミンテルン

しかしこれがすべてではないでしょう。もう一つは、日本というより欧州側が、あの戦争の終わり方ではソ連さんありがとう、的な状況になってしまうので、なんとしてもそれを蹴散らす必要があったってことも重要だった気がする。

そして、もっと根本的にはソ連がもたらす可能性を資本家さんつか大金持ち集団は本当に恐れていたんだろう、というのも改めて重要ではなかろうかと愚考する今日この頃。というか、欧米さんではサンダースが出て来たぐらいで、既にこのあたりまで達しているとも言えるような気もする。

ソ連に対する恐怖は各地域で結構いい加減な話になってるけど、根本的には、社会の重要部分の国営化じゃないんでしょうか?

つまり、水、水道、ガス、ある種のインフラ等々、医療、学校を国が税を徴収してコントロールします、という国が次々出てきたら、資本家さんたちの世界各国での大口の儲け口がなくなるでしょ?

だから、思想的にそれを当然視させないためにこそ、そんな計画などあり得ないのだ、ソ連を見ろ、みんな基地外になるのだ、的にする必要があったって話じゃないんでしょうかね。

実際には戦後復興を「自由な市場経済」的にやったところはないと思うんですけどね。

で、この説の一つの証拠みたいなものは、戦後のアメリカ、イギリスは庶民に持ち家を持たせる方針を進めたって話ではなかろうか。

これはつまり、庶民を「資産持ち」、すなわちプロレタリアではない人々にしようとしたということ。そうすれば無暗に政権をひっくり返そうとする人々が減るから、と言っていたのは、ディープステートに好まれていると思しき歴史学者のファーガソン。

この本が代表例か。この本をもとにした映像プログラムが2008年のリーマンショック当時、アメリカPBS(公共放送)で連続で放映されていたことが思い出される。あれは一体なんだったのだろうか。思えば、世の中ってこうなっているんですというのを結構率直にお話してみなさんに聞き分けてもらうという作戦だったのだろうか。その後もyoutubeにあがりつづけ何千万ってか、いや総計すれば億単位の人が見たプログラムといっていいでしょう。

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ファーガソン  仙名 紀
早川書房

 

さらに、オバマケアもこの手の話の続きのような気がするな。オバマケアは結局民間の保険会社に屈してマネージを国が引き受ける恰好の、つまり日本や欧州各国、ロシアがやっているような形にできなかった。

トランプがオバマケアを拒否したといって批判している人は、オバマが作っものが一体全体どんな保険になっているのか知らない人と言っていいかと思います。

 

どんな世界になるのかわからないけど、でもまぁ、ともあれ去年から書いている通り、戦後世界的なもののというか過去100年ぐらいが結構なペースで解明されていく今日この頃だなという感じを引き続き持っている。

 


 

 

 

 


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6 コメント

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『ムーニーオルガリヒ』 (ローレライ)
2017-03-19 03:19:50
『副島隆彦氏』がトランプの攻撃対象として『ヒラリー派』や『アルカイダ』をひとまとめにして『ムーニーオルガリヒ』的な表現をしているが『ムーニー』も随分コミンテルン化したものである。
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ムーニーより問題 (ブログ主)
2017-03-19 14:32:41
ローレライさん、

副島さんがムーニーを連呼するのは旧生長の家等の日本の右派人脈を問題にしたくないからじゃないですかね。これをやると、鳩山一家にも類が及ぶ可能性があるし。

私はしかしムーニーより右派人脈、思想の系譜の方をいい加減終わりにする方がより本質的に問題だと思ってます。なぜなら、そっちは確かに少なからぬ日本人を惹きつけていくものがあるからです。しかし、これはサステナブルじゃない、持ちこすべきでない、だから終わりにすべき、というのが私の考えです。
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Unknown (和久希世)
2017-03-20 13:50:12
そう言えば大昔、朝廷が班田収授法を行っていた事がありましたね。
官僚によって徐々に、有名無実のものとされて行ったようですが・・・・

http://www.weblio.jp/content/%E7%8F%AD%E7%94%B0%E5%8F%8E%E6%8E%88%E6%B3%95
中国の均田法にならい、わが国の律令制土地支配の基礎をなした法。
とあります。

これらは共産主義思想の走りと言えるのでしょうか?
とすると、今上天皇の思想は、天皇としては伝統にのっとっていると言えるかと思うのですが・・・・・
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全部私有財産という発想こそ異例 (ブログ主)
2017-03-20 14:57:49
和久さん、どうも。

というより、全部ありとあらゆるものを私有財産化して独立主体(国家、個人)の名前を付けるべきという思想が歴史的にみれば異例だという話だと思います。

日本が近代資本主義と折り合ってるようないないような恰好なのは、水利権、入会権など共有のものに対する縛り(歴史的慣習)がとても強かったためだと思います。これによって共有資産という慣習が残った。
モンゴルがどうしてもロシアに傾くのも土地が私有地として切り刻まれることが受け入れられないからではないかとしばしば愚考します。遊牧民だから。
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アメリカンドリームなんて、もうないよ (私は黙らない)
2017-03-21 02:26:17
「持ち家」政策が、庶民の「資産持ち」化説、納得。カネも貸し付けられるし、年取ったらリバースモゲージで不動産も手に入って、金融業は二度お得。それでも昨今の不動産高騰で、もはや遺産でもはいらなきゃ家なんか買えない。ミドルクラスが崩壊している。
オバマケア、結局一番メスを入れなきゃいけないところにメスが入らなかった。結果、招いた保険料の高騰。
日本の国民健康保険制度と薬価コントロールがどんなにありがたいものか。日本人は、なにがあってもこのふたつは死守しなくちゃいけませんよ。
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前世紀の恩恵 (ブログ主)
2017-03-21 13:43:20
私は黙らない さん、

私も同意見です。アメリカに住んでる頃しみじみそれは思いましたですよ。皆保険でないことからくるプレッシャーをアメリカ人はそれ以外の制度下に住んだことがないから比較できないわけだな、とかも思いました。逆には日本人も別の片方しか知らないからよくわかってない。
不効率なら改善すればいいだけで、潰すのは大間違い。
というか、端的にいって、収益の2割、3割を誰だか知らない株主に持っていかれないだけでも公立保険制度は「効率的」だと思ってみればいいって話だとも思う。
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