この間、欧州方面に対してトルコが西側ではナチが生きていたのだと言って騒動になっていたが、ナチスは生きているの話はカナダでも起こっている。
トルコ大統領「西側ではナチズムが生きている」
カナダの外相は1月10日から、クリスティア・フリーランドさんという人になった。この人はウクライナ系の人で、ここ数年の成り行きからすればすでにそれだけで、どうせ反ロシアの急先鋒なんだろうなとロシア草の根およびロシアものに関心を寄せている人はある種の諦めを持った。
しばらくするうちに、この人が今まで語っていた一家のストーリーはどうも嘘じゃないかという話になってきた。
ぶっちゃけていうとですね、母方のおじいさんは、ウクライナに住んでいた頃のナチスのコラボレーター(協力者)だったというのが、隠し切れなくなった。
どうしてそうなるかというと、かなり重要な人物だったからです。あはは。
どれぐらい重要かというと各地のホロコースト記念館で活動が知られるぐらい。
ウクライナにドイツ軍が侵攻する際、ウクライナ西部のまさに現在狂ったネオナチの住処となっていたリヴォフあたりを中心としたウクライナ独立派、またはバンデラ主義者の人たちはナチス・ドイツ軍をスターリンからの解放者と捉え歓迎した。
このフリーランドさんのおじいさんもそういう人だったのだが、命令を受けるだけの一般人とわけが違うのは、ドイツ軍がポーランドのクラクフでユダヤ人から接収した新聞社をこの人にやらせて、ナチスのプロパガンダ省直属みたいプロパガンダ配信の拠点となっていたこと。で、この新聞がユダヤ人、ポーランド人、ロシア人に対する憎しみを掻き立てるようなことを書いては煽る、というスキームがあった。それをもって直接の証拠とは言えないにせよ、結果的に当時この周辺では大量のユダヤ人殺しが発生している。
というか、ホロコーストって一般に誤解されている気もする。あれはドイツがロシア攻めをしようと東方拡大したからこそ発生しているのだから、実際にはあきらかな戦争犯罪でしょう。ところが何か別建ての犯罪のように扱われている。
おじいさんは、その後赤軍が盛り返しドイツ軍が退却していく中、一緒に行動してウィーンに一回落ち着く。
一番右が現ウクライナ領のリヴォフ(Lviv)、一番左の下がドイツのミュンヘン(Munich)。真ん中上の方がポーランド領のクラクフ(Cracow)
そこもダメになったのでドイツ軍と共にドイツ領南部に退却。そこで、ミュンヘン郊外の温泉保養地付近に陣取っていた米軍の「キャンプ」に落ちつく。これはつまり後にゲーレン機関として知られる人たちの軌跡と重なりますね。で、キャンプといっても難民キャンプのようなものとは異なり米軍が接収しているホテルに滞在といった趣だったようだ。まぁ重要人物たちですから。
で、ここで3年ぐらい過ごして1948年にカナダに移住した、というのがおじいさんの経歴。
つまり、場合によってはナチスの戦争犯罪者だった可能性もあるような立場だった人たちでカナダ、アメリカに移住した人々が大量にいたといわれているまさにそういう人だった模様。
それに対してフリーランド氏は、自分のおじいさんはヒトラーとスターリンが手を結んだため後のウクライナ独立のためを思ってカナダに移住してきたのです、とかいって自分たち一族はまったくの被害者であったという触れ込みでジャーナリストをやっていて、その後政界に入った。母はキャンプで生まれました、と聞くと大抵の人は難民キャンプの悲惨な様子を思い浮かべるが、事実は大分違う、と。
ところが、上のような事情が今回明らかになった。
面白いのは、カナダのメディアと一部アメリカのメディアは懸命にロシアの中傷キャンペーンだと騒いでいるのだが、事実関係を出して来たのはむしろポーランドあたりが早かったらしい。
上で見た通り、当時のナチスの方針としてはクラクフ、リヴォフあたりをわが物にしようという話なのでポーランド人もユダヤ人も邪魔だった。(つか軍事で決着させようとする人たちの常として正常とか適切とか、理性があるとかいう人は何人だろうが邪魔でしょうが) となれば、クラクフという有名な都市でナチスの手先となって新聞を発行していた人物などというのは、当然にポーランド系住民からは敵認識されていたし記録も残ってる。だからさっさと話しが出て来た。
さらに、ユダヤ人も黙ってはいられないのは、問題の新聞社を最初にやっていたユダヤ人はドイツ軍に新聞施設を接収され、移住させられて収容所に入れられて最後には亡くなっていたという成り行きなので、まさにナチスドイツのユダヤ人迫害政策のまんま犠牲者みたいな人だったから。
このへんの記事が詳しい。
そして、アメリカ人が気骨のあるジャーナリストとして一定の尊敬を与え続けているロバート・パーリーさんのコンソーシアムニュースが2月末にこの話を書いたので情報に対するある種の権威がついた感じがする。少なくとも全面否定は難しいという局面になったのはこのへんの記事が出た後だと思う。
A Nazi Skeleton in the Family Closet
February 27, 2017
https://consortiumnews.com/2017/02/27/a-nazi-skeleton-in-the-family-closet/
でまぁ、カナダの主要紙はみんなロシアが~、ロシアが~とかまだ言っているわけだけど、外相のおじいさんが悪いのであって外相そのものではない、というところまでは誰しも納得するとしても、これまでのキャリアでずっと知りながら嘘をついていたこと、さらに、彼女自身の過激な反ロシアの発言とこのおじいさんの行動に一貫性が見えてしまうことから、これはつまり彼女の、または彼女の一族の「信念」なのかもしれない、であれば、そんな人にカナダの外交を預けるのは間違っている、という意見もちらほら見えるようになってきた。
さらに、カナダ人は自分たちは反ナチスであり、ナチスの戦争犯罪を許さない立場だとずっと信じている人たちが多いわけで、そこにいきなりこんなネタが飛び込み、さらに、今までずっとナチス糾弾の先頭を走っていたリベラルメディアがこぞってナチス協力者を庇うがごときこの様子は一体なんなの??という状態も深刻。
結局こういう話だと思うわけです。
覇権にモラルは不要なのか
■ オマケ:今回もポーランドを御しきれないのか?
上で書いたように、ポーランドは南部地区でユダヤ人と一緒に殺されまくってる時代があった。そして、その際ドイツ人の手先はウクライナ人。それ以外にもウクライナとポーランドにはいっぱい不和の原因があるのだが、第二次世界大戦時代の記憶はまだ終わったものではない。
だから、2014年のウクライナクーデーターは、ポーランドにとっては実のところ敵に塩を送っているような、あるいは自らの過去に塩を塗り込んでいるような状態。だって、ウクライナのバンデラ主義者、あるいはその変容としてのナチス協力者たちの子孫たちが主体のクーデターなんだから。
しかし、アメリカに住んでる対米協力者というか西側のエージェントみたいになっているポーランド系、ウクライナ系、一部ユダヤ系は既に現地を離れて幾星霜なので、実のところ現地民の考え、感情を共有していないことが多い。自らがまき散らしたプロパガンダを頭っから信じることが自らの立場の強化になるので、そのようにして2世代を過ごし、既に反ロシアならなんだっていいとしか考えられない頭になっている感じ。ほとんど宗教的情熱でロシアを呪っている人が散見できる。
しかし、現実には上の地図のあたりで血なまぐさいことが起こると、ユダヤ系の人たちは主にロシア側(ソ連だとしても)に逃げたし、今やってもきっとそうなるでしょう。過激な民族主義者ぐらい怖いものはないから。そういえば今回もウクライナ人200万人ぐらいロシア側に行き、そのうち100万人程度は定住の手続きをしたという話。
ということで、前回1939年同様今回も西側さんチームはポーランドを御しきれないのかなぁとか楽しく観察してる。
そして、ナチスはドイツというより西側のプロジェクトとみなしていたロシア強硬派の意見がますます真実味を帯びて来たなぁってところ。
お知らせありがとうございました。行きますよもちろん! いずれにしてもセルビアは救われるべき!!