goo blog サービス終了のお知らせ 

DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

多分デマ:ロシア国防省が何か妙なことを言ったという話

2018-09-10 23:06:30 | アジア情勢複雑怪奇

2ヶ月ぐらい前から、ロシア国防省のトカレフ大佐が

ロシア国防省:日本は地震を偽装した核実験を止めよ

http://iiyama16.blog.fc2.com/blog-entry-9084.html

と言ったという噂が流れていますが、これは半分以上デマというべきではなかろうかと思う。

辿っていくと、現在は404になってますが、出た直後に見た時には、中国語の記事があった。それを飯山さんというおじいさん(またはそのページ)が拾って、それをコシズミあたり?が拡散していって、誰が言ったか知れない感じでtwitterで広がっている模様。

スプートニクは確かに、

核保有国はどうやって核爆弾の実験を隠しているか 露国防省が明かす

https://jp.sputniknews.com/world/201805114869300/

という記事で、モニタリングを回避して隠す方法はいろいろあるんだよという話をした。

しかしこれは、日本が隠している、とは違う。

核保有国が部分的核実験停止条約を回避して実験する方法はあるんだよ、という話がメインでそれ以上の含みがあるようには読めない。タイトル通り。

で、同日付けの英語記事はもう少し詳しいけど、基本の内容は同じ。

Methods to Hide Nuke Tests Being Developed Abroad - Russian MoD

https://sputniknews.com/russia/201805111064349262-methods-nuke-tests-abroad/

 

トカレフは、核兵器を持っている国々が、地下で核爆発をする実験を開始した、そしてそういう実験は、地震のモニタリングでしか検出できない、という。

According to Tokarev, states in possession of nuclear weapons have begun conducting underground nuclear explosions that can be detected exclusively by seismic monitoring.

 

statesだからアメリカだけとは限らず、海外領土持ちのあそことかこことかが関係あるのかな、とも読める。

が、飯山さんのページにオリジナルの中国語記事からの引用として残る(現在そのオリジナルは404)

彼は「東アジアの地震の多い某国は数十年にわたり、地震を偽装した地下核実験を繰り返している」と発言したというのだ(記 事)。

 

はスプートニクが元ではない。

万に一つか千に一つ、ロシアのどこかで話した可能性までは否定できないが。

 

で、この話は、主にアメリカに対する話である線が濃いだろうというのが私の意見。

だってこの話が記事中にリンクされてるし。

米国が核重力爆弾の実験に成功

https://jp.sputniknews.com/us/201805044844222/

Boom Beta: US Testing Newest B61 Nuclear Gravity Bomb

https://sputniknews.com/military/201805021064097966-us-testing-nuclear-gravity-bomb/

この話が出たのが5月4日で、上の実験回避の話が1週間後だからそういうつもりの記事だと思う。

核重力爆弾の実験に成功という見出しを見ると新しい爆弾みたいだけど、基本的には従来型のグレートなバージョンアップ。

だからこのグレードアップをどうやってテストしたのかが怪しいという話なんじゃなかろうか。

でもってこのアップグレードは、米議会にも反対はあるし、結構大変だったため計画は遅れてる。一応、2020年ごろに完成する見込みで、欧州各国の核シェアリングでの核爆弾もこの新型になるらしい。しかしそうすると、運搬用の爆撃機から施設までまた金がかかる(儲かる)。

そもそも、今ここで核兵器の性能を良くして何をする気なんだ、という根本的な問題もあるんだが、まぁ、相変わらず、核の先制攻撃という体制、あるいはものの考え方が捨てられないアメリカさんですわな。

 

もちろん、その開発のために英仏+米以外のオフィシャルな核保有国以外の、非公然のイスラエルと、限りなく持ってるに近いと言われている日本が関与している、という話である可能性は相応にあるかもしれない。

が、この部分、つまり、アメが属国群をどう使ってるかは、また別途それ相応の証拠を見つけて来る必要がある話でしょう。

ただ、日本は地震国だから、地中に向かって爆発させて、その威力を確認して地表に揺れが到達したら地震だと言う、みたいなことは、他の国との比較において簡単にできそうだなとは思う。実被害が出てもジャーナリストのいない日本だったら大丈夫みたいなところもあるし。

 

ということで、まとめると、

少なくとも、ロシア国防省のトカレフ大佐の発言は、日本に向けられてはおらず、また、それを示唆したと読める文脈もない。

従って、

ロシア国防省:日本は地震を偽装した核実験を止めよ

という話には何の根拠もない。これを書いた人の勝手な見解にすぎない。

 

しかし、サイドラインとして、日本が主体的にどうしたこうしたというより、むしろ、日本が英米システムのための実験場になってたりしてな、という話の方がよほどリアリティがあるんじゃないかという恐ろしいことに気づかされる話ではある。

しかし、それでも、基本形はアメリカの話であって、唐突に、ロシアが日本になんか言ってるみたいな二国間限定の話にするのは、相当へんだ。

あと、日本の中には、ロシアが日本を気づかっているかのような、妙な考えを持つ人たちが一定数いるようで、これが前から不思議。これってなぜ? どこから来たの?

 

■ オマケ

ロシア国防省:日本は地震を偽装した核実験を止めよ

http://iiyama16.blog.fc2.com/blog-entry-9084.html

のところでリンクされている(現在404不明になってる)ページを最初見てgoogle翻訳してざっと中身を確かめた時、うそくせーと思ったのは、そこにあった写真が、コナシェンコフ少将の写真だったから。

トカレフ大佐なる人の写真が見つけられなかったからなのか知らないけど、コナシェンコフ少将は、ロシア軍の正式な報道官で、シリアものを見ている人は一再ならずこの名前を見ているはず(記憶しているか否かはともかく)。

シリア戦線は米軍(NATO諸国)がマジでシリアの正規軍を攻撃するわ、テロリストに武器支援するわで、結果的にいつもシリアの一般市民が巻き添えというよりマジで心配されてない状態が続いていた。しかも西側メディアは完全プロパガンダ体制だから、一言二言を切り取って何かしでかす可能性が大だなので、ロシア側の正式な軍の正式な発言が何かを誘引する可能性が常にあった(今もあるけど)。

ということで、難しい局面で非常に手際よく現地のシリアとロシアの活動に資するよう広報を務めたことでその優秀さが認められているおじさん。冷静さの中に正義感が見られて、非常に良い!とこのブログでも書いたことがあった人。

その人の写真を見知らぬトカレフさんの話につけちゃうってことは、まず間違いなく、日ごろロシア軍の動向を見てない人が書いた記事としか言えませんね。

だから、なんか一見して怪しい話だなと思ってみてたら、今日になってもまだtwitter上にあったので、ちょっとウォーニングという意味と、コナシェンコフ少将をネタにすることへの憤激を込めてこのエントリーをしました。

 


 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北東アジア会議のような東方... | トップ | 日露:平和条約 or WW2終結問題 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
瞬く間に広まった日本核実験説 (ローレライ)
2018-09-11 05:33:24
恐らくアメリカを対象として秘密核実験の話が出された筈だが、日本の話にすり替わってる、伝言ゲーム。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事