この問題についてもう書きたくないんだが、ともあれ東方経済フォーラムでプーチンは安倍ぷんに、前提なしで平和条約を締結したらどうだろう、と提案した模様。
Putin calls on Japan to sign peace treaty before year-end without preliminary conditions
http://tass.com/politics/1021189
「平和条約にサインしょう、今ではないけど、今年の年末までに、予備的条件なしに」
と言った模様。
"Let’s sign a peace agreement - not now, but before the end of the year - without any preliminary conditions," Putin suggested, addressing Japanese Prime Minister Shinzo Abe. "And then we will continue to address all controversial issues as friends based on the peace treaty," the president went on.
ロシアの立ち位置は一貫して、これ。
島の問題は1956年日ソ共同宣言に基づく by プーチン
日ソは1956年に第二次世界大戦の終結を意味する平和条約を締結するための条件は作ってたわけですね。で、両国の議会でも議題にあって、了解されている(条約締結は議会の権限ではないが)。
だからこの時、話は決まってるし、筋から言っても、日本はサンフランシスコ講和条約で千島列島は放棄しているんだから、既にそこは日本の領土ではない。そして、その後歯舞、色丹は北海道の付属島として認められたので、平和条約締結と共に日本にくっつくよ、という話。
いったいいつまでこんなことをするんでしょうか。
田岡俊次さんの言い方を借りれば、結構なインテリでも、北方領土はロシアが不法占拠したと本気で言っている、という状態のこと。
ここに入れた田岡俊次の動画は、手短でわかりやすい。
ポスト安倍が見えない日本(2)
そして、私が前から気になってるのはこれ。
この話が本当に嫌だよなぁとか思うのは、1956年の日ソ共同宣言があったから、その宣言をある種の講和条約とみなして、ソ連が日本の国連加盟に反対せず、日本は国連に加盟できるようになった、という順序なわけでしょ?
ということは、日本は果実はもらって、食べたら、そんな宣言はしらねーにしているという意味だと思うんですが違うんでしょうか? ここまで言ってる人は見たことがないんですが。まぁ日本の場合、日本を悪く言うと売国奴という基準がまかり通る国なので、文筆業の人は言うに言えないのかもしれません。
もしそうなら、いやしかし、なんてか、サンフランシスコ平和条約でアメリカの属国化が事実上確定して(安保)、なんとかソ連との講和にこぎつけて果実取って国連加盟したらソ連に向かって吠えまくる日本って、しゃれにならないほど嘆かわしい。
当時の人たちって一体何を考えていたんだろうかと思ってしまう。
で、そこから60年、こういう発想になるわけですね。
【前提なし平和条約】
日米にくさび 経済低迷のロシア、日本の投資狙う
https://www.sankei.com/world/news/180912/wor1809120021-n1.html
日露が平和条約を結ぶことそのものが、日米の楔というのは、まぁあたらずとも遠からずですからね。なぜなら、日本が中国、ロシア、朝鮮と等距離の外交を打ち立てたら、米軍が日本を占領している正統性はないから。
でまぁそれがイヤでイヤで仕方がないからこそ、ああでもないこうでもない言って来たのが日本というわけで、まぁそう簡単に変われないんじゃないでしょうか。
前にも書いたけど、北方領土という名前を作って、それを街宣右翼を通して言い散らかしていたことの意味と、なぜそんなことをしたのか、一体その街宣右翼とは何ものなのか、外務省とはどう関連しているのか等々、外務省および官邸あたりには説明責任あると思う。
そして、そうであればこそ、絶対に直視できない、ってのがまぁ大爆笑の日本だからなぁ。もうこのへんは怒ってない。呆れてる。
■ 3000億問題
あと、ロシアに3000億もくれてやった、みたいな言い方をプーチン訪日以来しばしば見ますが、くれてやったとはどういうお金の使い方だったのでしょう?
私が知る限り、その当日に日経に出ていた記事は、3000億の経済協力の規模、という趣旨のタイトルで主に投資だったと思う。
これこれ。検索したらあった。
日ロ経済協力、官民で投融資3000億円
2016/12/16 9:29
https://www.nikkei.com/article/DGXLNSE2INK01_V11C16A2000000/
日本とロシアの政府や企業が進める経済協力の案件数が60を超える見通しとなった。エネルギー開発や医療などの分野を中心に投融資の総額は3000億円規模になる。日本政府は北方領土問題の解決に向けてまず経済協力を深める方針で、案件の具体化は詰めの作業に入った。
日ロ間の経済協力では国際協力銀行(JBIC)が北極圏ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)の開発計画に欧州の金融機関と10億ユーロ規模の協調融資を実施する。みずほ銀行と三井住友銀行も国営エネルギー会社のガスプロムに約8億ユーロの協調融資を実施。三井物産は国営電力大手のルスギドロの株式を取得する。
いやほんとにそう。
この不始末をそのままにして保身を図って、ロシアに黙っててもらいたいという意図は崩されたといったところでしょう。
あと、中国の方もそう。自分で尖閣だの南シナ海だのに火をつけてまわったことを内緒にしてもらって、日中関係は重要だ~とか言い出す。
これが日本のパターン。であれば中露はそれを見越して行動するということになるんでしょう。
日本国じゃなくてpeople in Japanにとっては、これだと膿は出せないからイヤなんだけど、外国にとってみりゃそんなことは知ったことはないですから。
フォーラムの基調演説で安倍首相が「平和条約を今やらないならいつやるのか。我々がやらないなら誰がやるのか」と冒頭で発言。安倍首相の発言を受けて、プーチン氏が「安倍首相がアプローチを変えようというなら変えようじゃないか」「今やろうというなら、今年中に結ぼうじゃないか」と畳みかけるように提案。会場からは大きな拍手が巻き起こり、気圧されたのか、安倍ちゃんはうすら笑いを浮かべながらウンウン頷いて、なんの反論も抗議もできず。映像みると確かにウンウン頷いているのでこれでは「受け入れた」ととられても仕方ないですね。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180912/k10011626481000.html
日本のマスコミは突然プーチンが提案してきたかのように報道しているが、冒頭の安倍ちゃんの話に触れてない。
そうそう。でもこれは安倍が今回はじめて言ったんじゃなくて、私たちがやならければ、私たちの時代に終わらせよう云々というのはプーチン来日の頃から何度も言ってます。何度もTASSが拾って記事にしてます。
しかし、日本国内の状況は何一つ変わらない。政府が何かを国民に知らせることもない。
つまり、安倍がどう思おうと日本政府はロシア政府に空手形を振り出し続けている。
というところから、やるんだな、ではやろうじゃないか、とプーチンに畳みかけられたということだと思います。
しかし、日本がこの短期間に変われますか?用意ありますか? かなりネガティブですね。
ということは、やろうと言いながらやる気のない日本(嘘つき日本)になるのか、ホントに従来の路線をひっくり返して説明しだすのかの2つに一つ。
そしてそれを、東アジアの国々が注目するところとなった、と。
https://www.youtube.com/watch?v=E4hzLgDQt7k
番組の大半は中国との関係に費やし、この32分過ぎから日本についてアメリカ人を含めて少し議論しています。司会役のニコノフ氏(モロトフの孫で政治学者)が、最初に「世論調査によると、ロシア人が最も好感を持つ国は日本で、日本人が最も嫌う国はロシアだという非対称の関係があります。」あとニコノフの話で、「日本の専門家と日本の防衛外交問題を議論すれば、日本の政治の話ではなく、結局は日本が支持するアメリカ政治の話にしかならないのですが、今後、日本が何等かの自立的姿勢を取ることはあるでしょうか。」との問いに、専門家は、「可能性はある。日本には潜在性がある。」と答えていました。
プーチン大統領の横にいるのが、もしトランプ大統領だったらな、とふと思いました。そういう日は来るのでしょうか?
プーチン、トランプが並んでブリヌイでも焼く日がくれば、日本も変わらざるをえない、そのくらいのショックがなければ、日本は平和条約へ踏み出せないのではないかと思いました。