唐突に衆院解散の風が吹いているらしい。
これはつまり、北朝鮮のミサイルとあんたの都合がよくあうねとか言われるのも嫌だし、モリカケも嫌だし、オリンピック不正みたいですねと言われるのも嫌だし、北朝鮮に核の放棄を迫りながらNPT体制に入らないインドに最大限の便宜の供与っておかしいでしょ、といったことを国会で詰め寄られたくない、と。勝手にごく一部の人間の独断でSCO体制にチャレンジしている現代の関東軍かよ、とか言われたくもない(これを言う人は国会にはいないだろうが ^^;)。
SCOに挑む安倍体制
で、だから冒頭に解散しましょう、という話でしょうか。
イギリスが作った議院内閣制の制度設計の趣旨としては、国論が二分したり、内閣に対する不信任が高まった時に、国民に信を問う方がいい、というところから任期をすっとばして解散する、ということだと思うわけだが、日本の解散の使い方は、絶対多数を持った与党にとって都合が悪いから国会、つまり、国の最高レベルのお話合いの場を閉じる、という意味ですね。
つまり、制度的に議会はあるが、実質的に議会をさせないということ。まぁ行政独裁狙いの人たちのやり口だなとも思し、折からの北朝鮮問題でも、話し合うことを徹底的に拒否している人たちのやり口だなとも思う。
舛添さんがナイスなtweetをしていた。
今朝の新聞報道で、一気に衆議院の解散風が吹き始めた。臨時国会冒頭解散、10月に選挙という日程も安倍総理の念頭にあるという。問題は北朝鮮だ。つねに国民を守ることを第一にすべきだ。衆議院解散中に一朝有事になると、参議院の緊急集会で対応(憲法54条)せざるをえなくなる。
そう。こういう仕掛けになっている可能性はありますね。北朝鮮問題が何も決着しない中で解散すれば、当然何か動く可能性は絶大。そうすると現在の憲法の制度では、緊急集会で対応せざるを得ない。しかし、これは万全ではない。
そこで、緊急事態法を含めた例の自民党改憲案を売り込む、と。
で、折からのぐじゃぐじゃの民主党のすったもんだで、第二自民、第三自民ができているから、憲法改正のためのハードルはないに等しい。
前にもここで書いたこと。
前原民主党には、1ミリも期待できない by 宮台
それは、有権者の選択肢を無くすこと、でしょう。
なぜそうするのか。有権者の半数は、おおざっぱにいって憲法改正に反対か、安倍政権下では危険すぎると思っているから、民主党というなんとなく真ん中くさいところがあれば(あるいは昔なら社会党があれば)、そこに乗る国民は多い。
だから、それを防いで、憲法改正でぶれない社民、共産を孤立させて、有権者の選択肢を潰すことに専念しているんだと思う。この2党、とりわけ共産党はリベラル票を吸収するから党勢は伸びるでしょう。しかし、1/3には届かないでしょう。つまり、これでがっちり、有権者の2/3は自民+別働隊の支持となり、憲法改正ハードルは低くなる。
民意の反映とはとても言えないのだが、選挙的には合理的。
ますますナチっぽい。
支配する側は学習しているが、支配される側はまったく学習していない。
で、そんな中、こんなニュースもあった。
米軍、対中衝突想定で日本に役割 「第1列島線」委ねる案、検討
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017091601001098.html
【ワシントン共同】米国が南シナ海や東シナ海で中国と軍事衝突した場合に米軍が米領グアムまで一時移動し、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ軍事戦略上の海上ライン「第1列島線」の防衛を同盟国の日本などに委ねる案が検討されていることが15日分かった。昨年7月に陸上幕僚長を退職した岩田清文氏がワシントンのシンポジウムで明らかにした。
米軍を中国近海に寄せ付けない中国の「接近拒否戦略」に対応するためで、中国が開発した「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」による空母撃沈を避ける狙いがある。実際にこの案が採用されれば、自衛隊の役割拡大が求められるのは確実だ。
簡単にいえば、アメリカは後ろに下がって、前で日本が中国と喧嘩する状態にする、ってことですね。
日本に核をもたせようかという話しも一緒でしょ。日本と中国が喧嘩したり戦争したりする。アメリカは後ろで、中国と交渉する、と。
だから、ぶっちゃけていえば、アメリカは欧州NATO、極東NATOという二枚の狂犬集団を作って、独自に騒いでもらう(中東NATOは上手く行かなかった)。それによって、ユーラシアの団結を弱めよう、ってのが大枠。
しかし、ユーラシアの中露・イランはそんなことでおとなしくしている集団でもないし、各国の実業系にしてもこれは大きなビジネスチャンスなんだから、一帯一路にせよ南北回廊にせよ進むことを阻止できない。そして、最近もベネズエラがドル取引をしないとか言い出したけど、ドル覇権の維持も大変。
だからこそ、前の狂犬軍団が騒げば、これをネタとして、お前ら(主に中露だが)がおとなしくしないと騒ぎになるぜ、とやれる、とも言えるし、後ろでは、それをネタに、今すぐ国債買わないとか、金(ゴールド)と元と石油で元取引に優位性持たせるとか、swiftの代わりの決済機構にするとかとかとか、そういうの、今やらなくたっていいじゃん、ちょっと待って、ね、ね、ね、とかいう状態だってあるかもしれない(笑)。
総じていえば、日本は1945年の敗戦を境に、国民主権の国家となり、その統治方法をファシリテートする機能としての議院内閣制を育て、そこを国権の最高機関であると位置づけた。これは確かに外圧込みで浸透したものだが、それでも、平たくいえば大抵の日本人は、今更国権の最高機関は天皇でその実務として勅任官がいるという体制を好んではないと思う。で、この体制を維持できるのかが今問われていることなんじゃないですかね。外圧があったから形になっていたが、外圧がなくなったらぺしゃんこになるのか、それとも自律的に維持できるのか、ってところ。
■ オマケ
安倍ちゃんがまたインドに原発をと騒ぎをしているけど、これはインドで現在稼働しているのはロシア製だからでしょうね。フランス、日本に銭を使わせてフランスにきれいごと、日本に銭を使わせてインドを西側の核開発体制に引っ張り込みたいという考えなのではなかろうかと思う。
ところがウェスチンが失敗したことで、インドは基本的にアメリカちょっとダメっぽいなと思ってる感じがあった。ロシア製は軌道に乗っている。そこで、インドでは、ロシア製じゃない原子炉の燃料もロシアに頼もうかな、という話が出てきていた。
New contract by 2017-end for supply of Russian nuclear fuel to Indian reactors
これ別にロシアが悪いのでもインドが悪いのでもなく、ウェスチンにせよフランスにせよ、西側の原子炉が値段ばっかり高いくせして、着工しても納期が大幅に遅れて、なんかワヤになっているケースが世界中にあるからでしょう(一体なぜなのかよくわからないのだが)。
が、それでも西側的にはインドをロシアに持っていかれては困る。さぁシンゾー、金持って行ってこい、って話じゃないっすかね。
新幹線がどうのも、ユーラシア側でコンソーシアムを組んで開発するモデルが軌道に乗る前に、さぁシンゾー、金出せ、ってところか。もし、本当に日本に競争力がある、あるいは是が非でも日本に、なら政府が金つけなくても引き合いは来るはずですので、そのぐらいにしか買われていないってことだとも思う。鉄道ってそんなものでしょ、でも。戦闘機じゃないんだから。
ただ、どうあれ、現状、全世界のウラン濃縮キャパの半分はロシアが持っているわけで、これをひっくり返すのは容易なことではない。このへんで書いたこと。
対ロシア制裁が見せてくれるロシアの多段階対応能力
日本では、こうした現状がほとんど話されていないというのもちょっとどうなのこれ、と思わずにはいられない。日本の原子力世界一~とかいう雰囲気だけで話しが進んでる。
で、だからこそ西側各国は発電の燃料を他のものにしようと躍起なんだろうが、でも、それでもまだ当分アメリカには100基弱の原発があるわけで、これを安定的にまわさないという選択肢はないので、アメリカにしてもロシアから核燃料を買うかも・・・という話になってる。今年、テストバッチを米に送って問題がなければ2019年から実用になる見込みのようだ。
Russia to deliver test batch of nuclear fuel to US reactor in 2019
https://www.rt.com/business/393269-russia-us-nuclear-fuel/
しかしまぁ、インド洋に展開するらしい日本の軍。こんなに対応できるわけ? なんのために? その代わりに近隣諸国と不和になるんでしょ。この勝算って何?と不信つーか、あきれるばかり。
そう。まさしく「受注」のノリですね。押し付けられたとか、他に仕方がなくてじゃなくて、自ら進んで15年か20年か30年かかけてアメの下請けを受注した。