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ウクライナ雑報:ソロス登場、30億債権、キエフ政権の歴史認識

2015-01-11 15:20:35 | 欧州情勢複雑怪奇

ウクライナはデフォルト寸前ですって何回言うんですかい、なんだけどまだそんなことを言っている。この間で目立った動きは、ジョージ・ソロスがフィナンシャルタイムスに寄稿して、欧州は金出してやれと言ったことか。

Soros urges giving Ukraine $50 billion of aid to foil Russia
http://www.reuters.com/article/2015/01/08/us-ukraine-crisis-soros-idUSKBN0KH0NQ20150108


いいか欧州、お前らはロシアから攻撃されてるんだ、ロシアを挫くためには500億ドル(5兆円)出せ、みたいな話なので、あちこちのコメント欄で提灯をつけて回っている人もいるが、その中で「まずお前が出せ」みたいなことを言われていてて笑った。お前は出すわけないよな、他人の金で儲ける奴だし、みたいな当て擦りも見られた。

なんというか、もうこういう影の代理人みたいな人が世の中をかき混ぜるのに多くの人たちは辟易してる。で、ちょっと前までは大衆というか公衆というか多数の人が辟易してても主流メディアが「ピンクは黒だ!」と書けばそれまでだったけど、ここ10年ぐらいというのはソーシャルメディアがあるので、いくら主流メディア系統が工作員だかバイトだかを雇ってその線で論調を起こそうとしても、ちょっと難しくなってる。新しい傾向だなぁと思う。もうtwitter革命とか出来ないんじゃないか。

さて、こういう大物が出て来てわざわざ何か言うということは、大物の陰の工作が挫折してるということじゃないかとも思うがどんなものだろうか。

それに対して、なのかどうか因果関係は不明だけど、ロシアの声を見たらこんな記事が突如載っていた。

ロシアはキエフに30億ドルの債務履行を求めうる
http://japanese.ruvr.ru/news/2015_01_10/281995501/

ロシア政府の情報筋によると、ロシアがウクライナに長期で提供した債権の条件となった一連のパラメーターは違反されており、これが債権の前倒し帳消しを求める原因となりうる。

これがつまり、去年から地味に話題になっているこの債権のことでしょう。

ロシアのこの30億ドル債権には、次の規定がある。

  • クロス・デフォルト条項
  • ウクライナの対GDP債権比率が60%を超えたら、債権者ロシアはウクライナの債務不履行を主張できる。

バルバロッサ作戦 v2: 今回も補給で失敗してる気がする

というわけで、やっぱり予想通りデフォルトさせるかさせないかが、ウクライナ国民じゃなくてこの騒動を仕切ってる人たちにとって非常に重要であるようだ。1月中旬ぐらいからまた揉めると思うので注意してみよう。

しかし、何度でも書くけど、それで一体一般ウクライナ国民の人生はどうなるのよ、って話だとしみじみ思う。

 

■ キエフ政権の歴史認識問題

その一般ウクライナ国民を形式的には完全に代表しているキエフ政権の首相が、ドイツのテレビで自らの歴史認識の一端を垣間見せたというので、ちょっとした話題になっている。

ヴィクトリア・ヌーランドがわざわざつけたとされる「ヤッツェ」ことヤッツェニック首相は、「ソ連が、ウクライナとドイツを侵略したことを忘れてはならない」みたいなことを言ったらしい。

これはまぁ普通に逆なので、ロシア人はもちろん怒る。イギリス人のヒッチンズもびっくりしていた

これに対して、ロシア政府は正式にドイツ政府に見解をただし、ドイツ政府の内閣報道官は、

“The federal government does not comment on the statements made by Prime Minister Yatsenyuk,” a spokesman for the cabinet of ministers said.

Along with it, he recalled that Berlin “does not call into question in any way Germany’s responsibility for the deaths of Soviet citizens during World War II.”
http://itar-tass.com/en/world/770579

ドイツ連邦政府はヤッツェニック首相の声明についてコメントしない、とし、さらに、ドイツ政府は「第二次世界大戦中のソビエト市民の死に対するドイツの責任について疑問を呼び起こすことは一切ない」と語ったそうだ。

国民レベルで妙な騒動にならないよう、こういう措置はいいと思う。ドイツ政府も、キエフをコントロールしてロシアを崩す作戦は歓迎できても、このへんの歴史認識まで崩したいという意図はないでしょう。フィッシャー論争だの中欧構想だのを人々に思い出してもらいたいとも思ってないでしょう。

ヤッツェニックだけでなくキエフ政権というのは、しかしながら、そもそもがバンデラ主義者の巣窟といってもいいので、どういう事情であれ敵はロシアで、ナチスは同朋、みたいな認識は崩れないでしょう。だから、今更こんなことで驚くことはない。ロシアのみならずドイツ政府にとってもちょっと冷や汗ものだったかもしれない、と思うのは、こんなことでドイツに存在する心情的なナチ擁護者のハートに火がついたらそれこそ面倒、ってことじゃないかったかなと思う。

 参考:ステパーン・バンデラ

このへんでまとめた通り、

ナチズムファンの方、朗報です!?

現在のアメリカ政府は盛大にこのナチズムの最も過激に過剰に汚れた部分を支援しているも同然なんだよね。なんせその人たちをわざわざ「自由と民主主義」の旗の下ヨーロッパ国家としてのウクライナ、みたいなスローガンで支援してるんだから。しかも、よくよく考えれば現在だけでなく、第二次世界大戦終了間際から、いやそもそもナチの勃興から支援していた疑惑も盛大にある。

そこへんのところをどこまで無視できるのか、というのも今回のウクライナ騒動の隠れたテーマのような気もする。

私は、戦間期のドイツにヒトラーを待望する機運があったことも認めるし、ナチのリードで行われた政策の一部は確かに効果的でよく考えられたものだったとも思う。しかしね、やっぱり自分の「生存権」のためには他者の文字通りの生存を奪っても無問題という思想を醸成し、マジでそれを実行したことについては、悪魔やな、としか思えない。

確かポーランドの哲学者の人だったかが、スターリンは異端、ヒトラーは背教といったとどこかで読んだけど、うまい分類かもしれないと思う。間に挟まれたポーランドからすれば、彼らが腹のそこで本当に怖がっていたのはドイツだと思うし今だってそれは変わらないと私は思ってる。言うまでもなくスラブ蔑視の問題が大きいんだけど、一部ポーランド人はこれに対して自分はドイツ人に似てるとか、ポーランドはスラブじゃないといったことを言うんだけど、私にはこれって認知的不協和から逃れるための逃避行動だなとか思う。ストックホルム症候群的な何か。アメリカ、イギリスとの関係に活路を見出そうとするのはドイツだけにならないためのバランスでもあるんだろうと思う。


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