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GHQ焚書図書開封/西尾幹二

2013-08-01 18:03:53 | GHQ焚書図書開封
GHQ焚書図書開封
クリエーター情報なし
徳間書店

2008年に刊行が開始されたGHQ焚書図書開封シリーズの第1冊。

GHQは日本を占領するにあたって、ふるいにかけた書物を7000冊ほど流通からはじいていった(つまり、大まかにいえば「焚書」)。検閲が行なわれていたことは広く知られていると思うが本までというのは、このプロジェクトが世に出るまで殆ど知られていなかったのではないかと思う(私はそれまで知らなかった)。

この素晴らしく有益なプロジェクトは、日本文化チャンネル桜の番組として、つまり映像作品としてはじまったもので、本が刊行されたのはだいぶたってからだったかと思う(追記:確認したところ第23回あたり)。

同プロジェクトは、日本文化チャンネル桜で現在も続いており、その多くは後になって(つまり現在)youtubeで閲覧することができるようになった。普及されるべきと判断されてのことだと思うが、チャンネル桜さんと西尾氏の熱意が感じられる。感謝してもし足りない。

チャンネル桜のページによれば、現在は第132回である模様。凄いの一言。

後でじっくり読み返すためにも本は当然貴重なのでこのシリーズは全冊収集する予定なのだが、私は西尾幹二先生のビデオも非常に重要かつ貴重だと思う。焚書という事実に絶望しつつも、拾い出される本の数々に現れる戦前の人々の思考、観察、分析の多くが概ね素晴らしい、水準の高いものばかりだという事実に安堵させられ、中には画像のこちら側で興奮、感動させられるものがあったりするのだが、こういう場合、一人で読むよりも、西尾先生が読んでくださることによって、それがリアルな体験にになっているのがいいのだろうと思う。
(個人的に、私は目で把握するより、耳で聞いた方が断然確かで早いという傾向が強い方なので、なおさら読み聞かせてもらえるこのスタイルがうれしいのだろうとも思うが。)

すべての回が重要だが、導入部分たる第1回と、書物刊行にあたって加えた「新事実」の回は必見。このプロジェクトがなぜ行なわれるべきなのかのサマリーがここにある。

GHQ焚書図書開封 第1回
http://www.youtube.com/watch?v=Ehj1rHJuWwY
第1回:占領直後の日本人の平静さの底にあった不服従に彼らは恐怖を感じていた
出演:西尾幹二
平成19年2月1日 初回放送

GHQ焚書図書開封 第23回
第23回:『GHQ「焚書」図書開封』の刊行と新事実の発見
出演:西尾幹二
平成20年6月7日 放送
http://www.youtube.com/watch?v=owH-m2UAGP0#at=101

第23回の「新事実」とは、これらの「焚書」がどのようになされたか、GHQの指令とその運用について。GHQは外人部隊なけでそんなにたくさんの人数が割けるわけではない、また、所詮は外人なのだから日本語が読めるわけではない。

というわけで、当然、多くの日本人がここにかかわっている。その全貌がだいたい分かったというのが「新事実」で、このくだりは本書シリーズ1に詳しく書かれている。焚書すべき本、つまり占領軍、すなわちアメリカまたは連合国群にとって有害な図書の選定には、東京大学の当時中堅、後には著名な人物となる人々がかかわっていたという。

これは考えてみれば当然そのへんだろうな、とは思える。一定の知識水準が必要なことはもちろんだが、秘密保持を考えてもそう来るだろうな、とも思える。なぜなら、大学の教授、ましてや一定以上のエリート群に入っている官立大学の教授というのは、組織の人だからだ。組織の人は、その組織に留まり栄達を遂げたいと思えば、秘密は守る。自由志向が強くて、まして正義感の強い人などには声はかからないだろう。

が、そういうドライなことを言っていられないのは東京大学を母校とする西尾先生。知識人として、この知への裏切りはまず許せないだろうし、その上その行為がかなりストレートに国家国民への裏切りとなっているわけだから、ただではすまない。動画第23回の後半部分、次第に大きな声で興奮気味になっていかれる姿は、知的興奮を覚えているなどというものではなく、嘆かわしいんだ、オレは!と言っているようにみえた。西尾先生、ありがとうございますと申しあげたい。

  • その他参考情報(1)

このシリーズは、
第1回から第47回目までのリンクが、「チャンネル桜 動画まとめ」というサイトにあったのでリンクさせていただく。
http://chsakuramatome.seesaa.net/article/338788709.html

個人的には、国体の本義あたりが非常に面白かった。このへんこそは今ではまず音(声)にして聞くことのできないものばかりで、言葉づかいが現在とは本当に乖離しているため、西尾氏が読み上げてもまずなかなか頭に入ってこない。しかし、これらの口調で戦争は遂行されたものと思えるわけで、当時の人たち(高度に知的なインテリクラスではなく一般人)の理解の程度はどのようなものだったのだろうかと興味深く思った。

しかし、その一方で、そこから数年も隔てていない書物は、殆ど現代といってもいいぐらいの平明な調子で書かれている(ただ、タームが現代的でないというだけで)。このへんの文章の表現形式の変化も興味深い。国学の人とエリート知識層ということなんだろうとは思うが、その差異はすなわち(といっていいかは疑問だが)思想の方向の違いだったのではなかろうか、などとも思う。

  • その他参考情報(2)

西尾先生の日録から辿った第125回、第126回は、示唆に富むというのではなく、もっと直接的に、このあたりの歴史こそが私たちの歴史が書かれるべき判断材料であったろうに、という感を強くした。もちろん、そのまま使えというのではなく、そこから戦後において、各国が変化した、と記述するのが歴史を叙述するということだろうということ。

そこを無くしてしまったのが現代。でれば、現代の論考がどこか上っ面、どこか戦略的でないとしても無理はない。自らの位置を失っているんだから。

■テキスト

米国の世界戦略 
大東亜戦争調査会編
出版社 毎日新聞社
発行:昭和19年


「戦中の日本人は戦後のアメリカの世界政策を知り尽くしていた」(GHQ焚書図書開封、第125回)
http://www.nishiokanji.jp/blog/?p=1288

「地表の三分の一を占めた覇権国英米への正当なる反逆」(GHQ焚書図書開封・第126回)
http://www.nishiokanji.jp/blog/?p=1292




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