日本の中もゆれゆれで、ヘリコプターマネー問題が何かとっても不気味な感じだけど、一方欧州ではまたまたフランスで事件が起こっていた。
といっても、この程度の死人のでる事件は中東では日常。世界中の9割の主流メディアはどうも束ねられているであろう、という現状で、私たちは選択的にものを読まされていることに自覚的でいるべきですね。
それはともかく、バスチーユ・デーというか、フランス国家の日である7月14日に惨たらしい事件が起きたというのは、なんてかこう、因縁ありそうとまず思った。
実行犯は早々に警官隊に射殺されたらしい。
で、またまた車内に身分証があったらしい。
どうもこう、なんだかなという感じがぬぐえない。
で、チュニジア系の犯人は、フランス的な価値観に反発か、みたいな理由といえば理由にみえそうな話を早々に持ってくる。
「フランス的価値観」に反発か=革命記念日の凶行-仏トラック突入
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071500328&g=isk
■ テロとは断固戦う by ロシア
で、西側諸国は何をされても、国民が何人死のうが、なんだか適当な感じでいるわけだけど、そのたびにロシアは断固テロとは戦うべきである声明を出している。
そうすると各国のリベラルっぽい人たちが、テロは暴力では終わらないのです、憎しみは憎しみを呼ぶのです、とかいうそれだけ聞くと確かにそうだなという意見がだーっと出てくる。
これって、一方で軍需産業と結託して戦争を起こしている奴らがいるのに、国内のリベラル良識派は政治家や官僚の100万円の、いや4万円ぐらいでも事件になったりしてたし、最後には、1円だって許せない的なものになるのと似てる。
で、今回のロシアの声明はいつにもまして力が入ってる気がした。これはやっぱりバスティーユの日を狙ったなと思ったか。
こんな感じ。
プーチン大統領は、「この巨大な邪悪」を打ち破るために、文明世界はその努力を結集し、一貫性のある断固たる態度であらゆる形態のテロリズムとの戦いに携わる必要がある。武装集団とその首謀者がどこにいようとも武装を解除し、取り除く必要がある。
私たちは、地下組織の過激派のインフラを破壊し、彼らの資金調達を阻止する必要がある。大統領はまた、フランスやその他各国のパートナーたちとあらゆる反テロリズムのための努力において可能な限り密接な協力することについてロシアには利益があることを確認した。(太字は私)
http://en.kremlin.ru/events/president/news/52520
過激派のたまり場とか、その資金源というのは一般的な言い方でもあるけど、でも、あのシリアでの石油泥棒問題を思い出さないわけにはいかないっすね。
テロリズムは共同の努力によってのみ打倒できる by プーチン
プーチン、怒ったはるし、という感じのお写真。と共にとTASSに出てた。
■ フランスの「偶然」?
で、そのフランスは、そういえば先週行われたNATOの総会で、
NATOはヨーロッパがロシアとどう付き合うのかを決めるような機構やあらへんで、フランスにとってロシアは好敵手であって、脅威ではない、
とオランド大統領が語ったというのが小さな記事に出ていた。
http://blogs.rediff.com/mkbhadrakumar/
前のテロの時も、シリアでロシアとフランスが共同で作業をするか否かだった。これはやっぱり関係ありなの?と一応メモしておく。
ちなみに、好敵手と書いたところはadversary という英語だったんだけど、adversary、opponentというのは、なんらかの取り組みの相手方のことを言うわけで、これは「敵」ではない。敵はenemy。で、日本語の中にはこういう区分がどうもあんまりなくて、日本だとゲームやってる試合の相手も「敵」なんだよね。時々気になってる。敵か味方かになりやすいメンタリティーはこういうところにも原因があるのかなと思わないでもない。
■ ケリーはまたまたモスクワへ
で、そのシリア情勢は、昨日はロシアは久々に集中攻撃を行っていて、ISの施設をぶち壊していた模様。これはつい先日パイロットを失ったので報復という意味合いもあるはず。
で、今日は、「ジョンの心はモスクワにある」でおなじみのケリー国務長官が、またまたモスクワに行って、ロシアのラブロフ外相と4時間会談した模様。
Lavrov-Kerry talks continue more than 4 hours
http://tass.ru/en/politics/888432
しかし、昨日のTASSに出ていた記事がなかなかすごくて、クレムリンはケリーが何の話をしに来るのか知らない、という記事を載せていた。
この態度から考えるに、どう考えてもケリーがまたまた何かお願いに行ってるって話ではあるまいか。つまり、また、ロシアと共同したい、とかみたいなことを言って、そうやってまた裏切る、と。ケリーが裏切らなくてもケリーの背後の人が言うことを聞く気はないんだから何度でもそうなる、ってな仕様。
■ どこまで行くのか狂人計画
まとめて考えるに、やっぱりどうしてもアサドを除けたシリアが欲しい奴らが世の中に存在する、って話なんだと思うんですよね。
どんな手段を使ってでも。
どうしてこうなるかといえば、多分理由は2つ。一つは、イランを自分の側(一部西側)に引きつけるのならば、イラン、イラク、シリアのシーア派地帯は絶対許容できない、という考え。
もう一つは、シリアは東地中海に面している以上、俺らの側でなければならない、ってな考え。
この二つを考えると、一時ロシアにお任せのような感じになったとしても、捲土重来はあると思う。
で、ギリギリのところまでは理解するとしても、とにかく現在続けている「カオス」戦略みたいな、バカみたいな方法でやるのを止めろ、というのがロシアの立場でしょう。つまり、ジハード主義を使って中東から中央アジアまで混乱させると俺らは勝ちだ、みたいな狂人計画を止めろってのが現在のロシアの主張であり、実際には各国の多くの人々の主張になってきてるんじゃなかろうか。
前にも紹介したけど、プーチンが2014年末にそもそもISISに誰が武器を与えたんだ、という話をしたこの動画。今見たら889万回のビューを獲得していた。
Putin Tells Everyone Exactly Who Created ISIS
なんでプーチンが各国で結構な支持を受けているのかといえば(政府はそうでないにせよ)、彼は実にまったく当たり前のことを言ってるからではないでしょうか(笑)。少なくとも狂人でないリーダーがそこにいる、これは朗報だって感じで人々はそれを受け止めている、と。