ブレジンスキー元大統領補佐官といえば、日本では日本を小さくみたという理由で嫌っている人がいるやに見えるけど、この人が有名なのはそこではなくてカーター政権時代のムジャヒディーン投入のアーキテクトじゃないかと考えられていることだと思う。で、1970年代、80年代はそれに「反ソ」というある意味ニュートラルな名前がついていたが、実際にはそういうことではなくて、この人はとにかく反ロシア、ロシア憎悪の総大将みたいな位置づけでしょう。
一説によれば、何かのインタビューで、自己欺瞞はよそうじゃないか、ロシアだろうがソ連だろうが同じこと、と言ったらしい。(つまり、反共がどうしたなんて話ではないんだ、ロシアを潰すことなんだ、ってこと)
で、そのブレジンスキーおじいさんが、10月4日付けのFinancial Timesに寄稿していた。中身は9パラグラフの短いもので、はっきり言ってどういうロジックなのかさっぱりわからない。
わからないがとにかく、シリアにおいてロシアはアメリカと協働しなければならない
October 4, 2015 7:55 pm
Russia must work with, not against, America in Syria
Zbigniew Brzezinski
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/c1ec2488-6aa8-11e5-8171-ba1968cf791a.html#axzz3nf6VoDnt
ということを述べたいらしい。
はっきりいって、読んだ誰もが、なんでやねん、と思っただろうと思う。なんでお前にそんなん言われないとならんねん、って感じね。
で、そうしないとお前らロシアは「disarm(武装を解く)」するようなハメになる、という脅しの文とも読める。またなんか金融とか原油とかいじるのかって感じだけど、原油はこれ以上下がらないぐらい下がってるし、金融は確かにロシアは経済危機にあることはあるけど、絶望的とは程遠いでしょう。プーチン自身も危機は認めていたが、クリティカルというのではないとつい1か月ぐらい前に言っていた。
そもそも、危機があっても、古今東西貧乏になって潰れる国というのは実はあんまりないと思うけどね。国が壊れるのは、その国を支える意味がないと国民が思った時でしょ、まずもって。今のロシアはどん底を耐えて超えたと思ってる人たちなのでソ連時代よりずっと士気が高い。だから、揺るがせば混乱が起こると考えるのは無駄でしょう。
で、最後のパラグラスが興味深い。
China would doubtless prefer to stay on the sidelines. It might calculate that it will then be in a better position to pick up the pieces. But the regional chaos could easily spread northeastward, eventually engulfing central and northeastern Asia. Both Russia and then China could be adversely affected. But American interests and America’s friends — not to mention regional stability — would also suffer. It is time, therefore, for strategic boldness.
なんだそうだ。
これは、またまたムジャヒディーンめいた、要するにイスラム過激派がアジアの中央部で広がるぞ、そしたらロシアもチャイナも困るだろう、ということでしょうね。
つまり、脅してると(笑)。そんな季節風じゃないんだから自然には広がらないわけですよね、はい。
いやぁ~。告白ですね、これ。
そして、昔と同じように、中国を抱きかかえることでロシアを孤立化させれば良いのだ~とか思ってる、と。
まぁ、あんたの頭の中は人生の最末期になろうが何一つ反省のない、何一つ人に対する理解のない、そして人々の歴史に理解のない、ただの欲ボケでしたね、って感じですね。
この人こそアメリカ凋落の張本人とすべき人物ではないのかと私はかねがね思ってる。
■ 各国状況
さてしかし、その中国は、遼寧というあの空母がシリアのラタキアにドッグインしているんじゃないかと先週からずっと言われている。
遼寧は日本ではお笑いだ、あんなの空母じゃねー、みたいに言われてましたが、でも、大きい船は役に立つことってあります。
ラタキアにいるのが大々的に露出されたら、遼寧はもとはヴァリアーグなので黒海が恋しかったようなのだ、と是非中国の報道官に言ってほしい(笑)。こういうセンスはでもないだろうな、やっぱり。
その他、イラク首相が、ロシアがイラクでも空爆するなら歓迎することになるだろう、と語ったとワシントンポストに出てた。やらないにしても、これは一歩進んだロシア歓迎コメントですね。
Iraqi prime minister says he would ‘welcome’ Russian airstrikes in Iraq
https://www.washingtonpost.com/world/iraqi-prime-minister-says-he-would-welcome-russian-airstrikes/2015/10/01/4177cf3c-684b-11e5-8325-a42b5a459b1e_story.html
その前にエジプトもロシア空爆を支持。
Egypt FM supports Russian strikes against terrorists in Syria
http://www.presstv.ir/Detail/2015/10/04/431901/Russia-Syria-Airstrikes-Daesh-Egypt-terrorism-
つまり、東地中海におけるロシアのプレゼンス確立って感じでそうか。そうなるとですね、実はこれは欧州の横っ腹にロシアがいる、って話で、昔ほど大きなものではないにせよソ連時代と同じになったなと感慨深い。
さらに、トルコのすぐ右上に、地図上で文字さえ表示してもらえない小さな国だけどアルメニアがある。そこに、CSTOというロシアとその仲間たち(ベラルーシ、アルメニア etcの6か国)の集団安全保障体制があって、そこの軍が、シリアにおける空爆とほぼ同時に駐留している。平和維持目的と発表していた(RTで見た)。
また、同時に、トルコ東部のクルド人たちに、ISISと戦うのなら武器支援をするとロシアが発表していた。
この意味はつまり、トルコを拠点として出ていくイスラム過激派の北上阻止、ってことじゃないですかね。お前が動いたら、クルド人前面支援してやるぜ、みたいな。
ということは、中央アジア側の守りは中国が連動いてる、って想像してもいいのじゃないかな。
そういうわけで、ブレジンスキーが勝手に部屋でへぼなチェスをしている間に、そんなことはとっくに読んでいるぜの体制がでてきている感じではある。
サウジ、カタール、トルコのためにアメリカはこれから何をするんでしょー。
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それもありですよね。太平洋地域の安定も結局中露が紛争を起こさないというところを起点に始まることになっちゃうんでしょうね。あ~あです、はい。
過去20年かそこらの日本における防衛問題ってようするにどうやって米のために日本の男子諸君を使うか、というのが主題だったなぁとしみじみ思います。国防を考えられる人がいない国なんでしょうね。