アサンジの事件は、アメリカの政治周り、マスコミ周りは、機密情報を流したのが悪い、法には従うべきだという線で追及しようとするのだろうと思われる。さっき書いた通り。
で、しかしながら、違法な行為をしている政府(軍、諜報を含む)の違法性の方はどうなんだと、一般人は収まらない。
例えば、イギリスの労働党党首のジェレミー・コービンのこの件に関してのtwitterでは、例のアパッチヘリが民間人を撃っている有名なCollateral Murderの映像がついている。
その上で、コービンは英政府によるアサンジの引き渡しに反対。
イラクとアフガニスタンにおける残虐行為の証拠を暴露したことによるジュリアン・アサンジの米国への引き渡しにイギリス政府は反対すべき
このtweetは、その問題の動画のシーンを含んだ短い動画にリプライされたもので、多くの人が賛意を示す。
そう、アサンジの問題はそこの問題に深く、深くひっかかっている。
で、そういえば、その一番有名であると思しきCollateral Murderの映像はどうなっただろうかと思ってyoutubeで検索したら、存在はしていた。記念にスクシャした。
https://www.youtube.com/watch?v=5rXPrfnU3G0
そりゃまぁ、ある意味、人を選ぶビデオだとは思う。初めて見た時ショックを受けたもの、私だって。
が、しかし、これを見てもわかる通り、1600万ビューが既に達成され、他にも、この処置に反抗して独自にアップしているビデオがあるし、さらには今回の件でまたまたたくさんtwitterに出てきてる。
要するに、これはもう公知の話。
で、実際問題、これだけでなく、だって、なんの理由もなく100万人スケールで人殺ししてるんですよ、アメリカ+子分の政府は!
嘘つきなんですが裁判にかけないの?
壊した残骸も公知。
これらを放置して、人殺しの意思決定権者はすました顔して、高給をもらって逃げおおせて、こんなことがありますと人々に知らせた側は、「法を破りました」という処置で行くそうだ、というのが現在の the West とかいうところの支配者の決定でございますというところ。
人々はがっかりするに決まってる。
アメリカ人にとってモラル的に正念場だね。さてどうなるもんでしょう。今ここ、ってところ。
■ イギリスにとって
で、ふとコービンのtweetを見て思うのは、結局のところ、イギリスにとってこれはロビン・クック問題のようなものかも。
イギリスは、イラク戦争に対する反対が非常に強かったところの1つ。フランス、ドイツ、ロシアも反対だったがこちらは政府ごと反対なので、国民は比較的楽に反対できた。市民による大規模なデモはむしろ政府の意思を支援することになる。それに対して、イギリスはブレアがそもそも最初っから策略に噛んでいたわけだから、政府は頭っから賛成。しかし国民の反対は強かった。
ロビン・クックは労働党の人で、ブレア政権の外相だった人。しかしイラク戦争に反対して閣外に去った。何が起こっているのか、そしてどんな転換に向かおうとしているかを非常によく理解していた人といっていいでしょう。
ロビン・クックは、国際社会の合意もないことを突っ切ってやるというのはアメリカはサバイブできるかもしれない。しかしUKはそういう大きな国ではありません、だから私はこの戦争に反対する、という言い方をしていた。
ロビン・クックは英国政府の中でイラク戦争に反対したことで有名だけど、でも、こういう論理の立て方は一部の人には不評なんじゃないかと思う。道徳的に間違いだ、という追い込み方をしないから。一直線に道徳にバリューを置く人はコービンの方が好きでしょう。
英レポートの続き:「虚偽の理由づけに基づき着手された侵略行為」
つまり、911以降英米の支配層が狙ってる世界というのは、一言でいえば、国連を含む国際法一切無視の世界なわけですよ。しかも、実は傭兵を使ってかく乱するから、正規の戦争をしてもいない。
また、それは戦場だけには限らない。勝手に他国に入って行って占領するし、占領しないまでも勝手に他国人を逮捕させて、自分のところに引き渡すという仕様も今回が初めてではない。
制裁の問題も同様。アメリカが一方的に制裁をかけて、他国を従わせる。容疑はなんでもいい。嘘でもごまかしでもいいし、既に嘘がバレタものでもかまわない(例:ロシア疑惑、シリアやロシアが化学兵器使用した疑いが云々によって、現実に制裁が機能する)。
つまりそれが一極支配なわけだけど、誰が支配しているのか多くの人はわからない仕様。わからないようにメディアが話を作る。1984の世界に向かって猛進しているようなのだが、相応に強いは強いので犠牲者が出る。
といった世界の「完成」に向かってこの20年間邁進していたようなもの。
で、クックはこれから向かう先が無法なのだというのが、完全な理解でないにせよ見えていた人だと思う。だから、アメリカはそれができるかもしれないが、UKはそんな大きな国でも強い国でもないんだからやめましょう、といった具合の言い方で反対してた。いわんとすることを汲んでた人たちは、その死の不審さと共に彼は消されたのだろうと今でも信じている。
で、コービンはクックほど手練れではないわけだけど、この人が生きて、不信感一杯の目で保守党を眺めるそれそのものが、知らない間に世界を一極支配の暴力の中に放りこもうとする世界制覇妄想勢力にとっては目障りで目障りでしょうがないんだと思う。
だから、見てるこっちがこれは到底普通でないと言わざるを得ないほどコービンが叩かれまくってる。
野党党首を射撃の的にする英軍
私は某国の納税者なので、納税という行為を通して、この殺戮に直接関与しているわけですよ。
私は、今でも忘れません。911が引き起こしたアメリカ国民全体のヒステリー。この国では、イラクとの開戦に反対でもしようものなら、売国奴扱いだった。上下院で、イラク戦争に反対票を投じたのは、バーバラリー、たった一人ですよ。
銃で撃ちぬかれたコービンを見て、三年前の党首選を思い出した。それは、それまでの労働党に対する有権者の痛烈な批判だった。
コービンと、バーニー、私は社会民主主義者として同列に論じたくない。バーニーは、前回の党首選で集めた献金はどこへいったのかという疑惑があったが、ここにきて蓄財が問題視されている。しかも、民主党の党ぐるみのバーニーおろしが、ウィキリークスによってすっぱぬかれたにもかかわらず、アサンジ逮捕にダンマリを決め込んでいる。
アメリカの政界で、アサンジ逮捕に警鐘を鳴らしているのは、トゥルシー、ただ一人。
でもこれは別に「機密」とは言えないでしょう。中東に現実に住んでる人からすると単なる現実の一部。
だからアサンジ&マニングのやったことは機密漏えい問題じゃなくて、米(または英米)にとっての恥部の漏洩ですね。だから怒られてる。
あと、トゥルシーさんは、私は別にくさすつもりはないですが、結局また、次の偽の救世主となる可能性は結構あると思われます。
「候補者」時代にはかなり良いことを言い、現実には制限だらけというこの手が上手く行くことを上の方は理解しちゃったって感じがする。