トランプとプーチンは、シリアについて共同声明を出した。
Putin, Trump call on all countries to build up humanitarian support to Syria
Russian Politics & Diplomacy
November 11, 10:49 UTC+3
http://tass.com/politics/975126
Trump, Putin Release Joint Statement on Syria: 'No Military Solution to the Conflict'
https://www.haaretz.com/middle-east-news/syria/1.822150
米ロ首脳、シリア情勢で合意「軍事的手段では解決不可能」 ロ政府
http://www.afpbb.com/articles/-/3150200?cx_part=topstory
【11月11日 AFP】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のためにベトナムを訪れている米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が共同声明を発表し、シリア内戦は「軍事的手段では解決できない」という考えで合意に達したことを明らかにした。ロシア政府が11日、発表した。
中味は、
・ISとの戦いにおいける米ロの軍事チャネルを再開する
・シリアの紛争に軍事的解決はない
・シリアの人道的苦境を緩和する必要があり、すべての国連加盟国は今後数か月のうちに人道的必要性を満たすよう支援することを求める
が目立つが、
・両大統領はシリアの主権、自立、統一、領土の保全、世俗国家としての特質を支持していくことを確認
・内戦の当事者勢力に対し、スイス・ジュネーブで国連(UN)が主導する和平交渉に応じるよう促す
の方も重要。
クレムリンの声明原文
http://en.kremlin.ru/supplement/5252
これはつまり、去年ケリーがいた頃に合意した内容に近いのではないか。
ということは、それ以降ロシア、トルコ、イラン、シリアでアメリカ抜きでやっていた決着を、国連に戻すという話なので、考えようによってはロシアがアメリカに妥協したことになるので、各方面から非難轟轟になる恐れもあるのか、と一応懸念したりもするが、こういうところの根回しがないなんてことはロシアにおいて考えられないので、各当事者は合意なんでしょう。
でもどうして? 多分、クルド・イラク地域も含めて、ロシアとアメリカ(というよりロシア軍とアメリカ軍)がギャランターのような恰好で戦線を治められるだろうが、当時者の言い分、利害調整は相当難しい。いわゆる政治決着の部分。そして、なかんずく国境画定などは国連を使ってやろうという気ではないのだろうか。
多分ね、国境、領土問題に関しては、二国間で調整できる場合はそれでいいが、紛争になるなら私的戦闘の禁止、国連の機能を充実させるっつーのが、ロシア、中国、一部アメリカの考えなんじゃないのかって気がしてるわけですよ。原初的国連ですね。
ということは、これが北朝鮮解決のフォーマットとなるかもしれんですね。私が前に冗談で書いた、南北朝鮮がお互いに平和的に共存できるまで、38度線に、米中露のピースキーパーを立たせろ、ってのが本当になるのかも(実際、現在の名目も国連軍としてのアメリカの駐留という含みはあるんだし)。
■ 発表手順が異例すぎ
とかとか、中味はともかく、この発表の仕方が非常になんというか、米ロ首脳陣による苦心の策という感じだった。
共同声明文はベトナムに来る前にロシアとアメリカの専門の人たちと、外相のラブロフと国務長官のティラーソンが用意して、それをトランプとプーチンが承認した、という段取り。
だがしかし、トランプとプーチンは正式会合なし。そこで、両首脳は移動中に話をして、その上でロシアメディアとロシア大統領府が発表、という順番だった。こんな感じ。
Putin & Trump chat casually before photo opp at APEC
What do you think they talked about? Putin, Trump greet each other on APEC sidelines
こうやってみれば、現在行われているアメリカのデモクラッツを主体とする議会とマスコミによる執拗なロシア攻撃はこれを阻止したかったのかもしれない。やっぱり、シリアというかシリア・中東に対するこれらメディア勢(というよりその後ろの人たちなんだろうが)の異常さは凄いんだわな、と改めて確認した気がする。
■ ちょっとスエズ危機みたい
シリアは、事実上もう既にロシア、イランが片づけちゃった話なのに、なんでアメリカが乗ってくるんだよとも言える。が、メディアの異常さをみても、サウジ、イスラエル、イギリス、フランスらが諦めない状況は潜在的にあるわけで、それを米ロ首脳が公式に私闘禁止を明言するというのは効果があるとは言えるでしょう。まぁアメリカがしっかり態度を変えられるのなら、ですが。
で、それが出来た場合、これってスエズ危機のようだ。
1954年のスエズ危機の時には、フランス、イギリスがまだ旧植民地だったエジプトをあきらめきれず、イスラエルを伴い軍事力を使った。しかし、米もソ連もそれに反対し、英仏は折れた。
日本語版は第二次中東戦争で出ていたが、これがスエズ危機。
実際問題、シリア問題は、アメリカが大将だから、責められるべきはアメリカではあるんだけど、英仏イスラエルというファクターはずっと見えている。そして、リビアを潰したのはヒラリーが目立つけど、最後の実行部隊は英仏でしょう。
ついでにいうなら、ウクライナをあんなにしたのはアメリカだってことで一応アメリカもそのつもりでいるだろうけど、ドイツとアメリカのネオコン、イスラエルにも大きな責任がありそうだ、というのは多分正解。
そして、それらすべての紛争のあちこちにサウジの金があるという恰好。折しも、サウジは反動なのかクリーンナップなのかわからない行動に出ているし、イギリスの政権は閣僚が辞任したりして、グラグラになっている。これはこの静かな(大きな?)「お掃除」の影響だろうと思うな。
さらに、異常な行動をしているのは米というよりNATOというのもポイント。もちろんペンタゴンが免責される話じゃない。関東軍に肩入れしてた陸軍本体がいるのと似てるかも。
ということで、いやぁ、面白いわ。
アメリカ調子よすぎるだろう、とも思うが、どうしようもないのにそのまま進む立場主義でないところは買いますよ、私は。そして、最低限、これをずっと続けることを勝利だとは感じないらしい人間が大統領となったことを、11カ月ぶりに、アメリカ人のために喜びたいとも思う。
このニュースの記事にこの写真を付けたRTの根性も褒めておきたい。RTは現在、おバカなアメリカ議会のせいで、冷戦時に作った「外国人工作員」登録法なる法によって、工作員登録をせざるを得ない状況に追い込まれた(そうしないとアメリカで活動できないから)が、報道に関して屈していないのが素晴らしい。
いやしかし、なにかちょっと驚くような発表だったけど、折しも今日は、1918年11月11日、第一次世界大戦終結の日。戦火にに倒れた兵士たちを思い起こすべき日なのだから、今日述べられた両大統領の決意が無駄にならないことを祈りたい。
この日は、英米圏ではポピーデーとも呼ばれ、この日が近づくと多くの人が胸にポピーのバッジを付ける。5月9日のロシアのゲオルギーリボンといい、人々は自分たちにとって決定的だった戦いを忘れまいとしているらしくある。
(ポピー)
(ロシアのゲオルギーリボン)
■ オマケ
妄想セクションでございますが、何年か前から言ってる通り、やっぱりBチームが負けてる、あるいは片づけられているという話だと改めて思う。
世界規模でBチームが排除される中でもりかけ問題が浮上して、排除して仕切り直しするチャンスが日本にも与えられたと考えるべき?なんにせよ安倍が排除されなかったのは太平洋戦争の時と同じで壊滅的な破滅が起こらなければ負け戦を認められないんでしょう。
今回のは確かにチャンスだったとは思います。