上海協力機構の首脳サミットがキルギスタンで開かれたすぐ翌日には、タジキスタンの首都ドゥシャンベで「アジア相互協力信頼醸成措置会議」が開かれた。
そのわずかな時間の中で、プーチンは習さんのところ(この場所がいまいちわからないんだが)に飛んで、習さんのお誕生日おめでとうミニパーティーをしていた。
何を持って行ったかというと、ケーキと素敵な花瓶と、そしてロシアのアイス。
この箱の中にぎっしり棒アイスが詰まってる。
アイスは、習さんが2年ぐらい前、ロシアのアイスはうまいんだよ、クリームがいいんだね、僕は行くたび食べてるの、と言ったことをロシア外交筋が聞きつけ、プーチンが手土産にアイスを買っていったことがあったことから、今回も友好アイテムとなった模様。
A cake, a vase and... a BOX of ice cream: Putin’s birthday gifts that blew Xi Jinping away (PHOTOS)
https://www.rt.com/news/461952-putin-xi-ice-cream-birthday/
で、そのアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)。
日経の記事にあった。書き方はあいあわらず、中露が、中露がという敵対意識が邪魔してるけど、基本情報はまぁまぁ盛り込まれている。
中ロ、イラン核合意を支持 アジア信頼醸成会議
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46164880V10C19A6FF8000/
【ビシケク=小川知世】中国とロシアなど27の国と地域でつくるアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)首脳会議が15日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで開かれた。イラン核合意の維持や軍縮で協力するとの共同宣言を発表した。中ロは多国間で安全保障の枠組みを維持するように訴え、米国に対抗する姿勢を鮮明にした。
で、この信頼醸成会議の加盟国はこんな感じ。日本はオブザーバー。
青が正式加盟国、緑がオブザーバー。
で、これは、欧州側で冷戦中に全欧安保会議を作って、それが冷戦後「欧州安全保障協力機構(OSCE)」として発足したのと対になっているんじゃないか、アジア版なんじゃないかとみられている。
こっちは緑が正式加盟国で、オレンジがオブザーバー。
OSCEは、そんなもん役に立たない、と思われていたわけだけど、実のところ、ウクライナの紛争を停戦させたのはこの組織。NATOが攻撃したからこっちは当事者、ロシアは攻撃されてる側ではあったけどこっちも当事者。
そこで中立のものということで、OSCEの登板となった。いやほんと、あってよかったOSCEとみんな思ったものだった。
ウクライナ東部停戦で合意
しかし現実にはここは外交官主体のユニットだから兵力らしいものは実に貧弱で、ピースキーパーにも満たない感じ。そうするとウクライナに潜り込んだ暴力組織に対応できなくて苦心惨憺だった。
ヨーロッパ人たちが実に情けないのは、自分で英米にくっついて、バンデラ主義者というナチの後継組織を持ったウクライナを応援しちゃったくせに、そこが暴れ出すと手が出せなかったということね。
しかし、何もないよりはよほどよかった。現実に怖い局面ではロシアさんと協力してお願いする部分も多かったはずだと想像してるけど(まずもってウクライナで使用されている言語を話せるスウェーデン人だのドイツ人がどれだけいるの?って話だし)、ここが判定の団体になって、OSCEとして一応形を保った。
ということで、こういう多国間の枠組みで紛争を解決しよう、という態度に対して、反抗しているのがアメリカを主体とした、要するに米中心の安保条約+NATOで行きたいという人たちなんだと思うわけです。
別の言い方をすれば、国連 vs 一極主義でもあるけど。
さてそこで、上の2つのマップを見比べるとわかる通り、日本はどちらに対してもオブザーバーなんです。つまり、どっちにもしっかり入ってない。
それに対してアメリカは、実は欧州機構のフルメンバー。もともと1972年に出来た全欧安保会議の原加盟国だし。
韓国は2000年代の前半に加盟国になった。
ロシアと中央アジアのスタン諸国とトルコが両方の正式メンバー。
これは国が両方にまたがってると考えれば全然不思議ではない。
オーストラリアは、欧州案件にはオブザーバーなのにアジアには関連しないという、まぁお前まだUKの植民地だなといったところ。
■ オマケ
日本の過去25年間って、要するにこうやって枠組みを作って多国間で紛争解決していきましょう、といった取り組みに叛旗を翻して、ネオコン式一極支配妄想に浸っていたと言えるんだろうと思います。
やたらに国連を敵視して、話あいなどで解決するものはないのだ~、みたいなことをいう感じね。でも、どんな紛争も最後は話し合いするんですけどね(笑)。
でね、この間の20年かそこらを見てて思うのは、日本に欠けているのは脳みそと前から言ってるけど、とりわけ外務省だと思う。ここに人材がいそうに思えない。
ここが軽量級の大臣でいいと思ってる時点で独立も糞もないでしょう。でもって、これはしかし、実のところ戦前、軍は軍で動いて、外務省は外務省で動いて、天皇周辺は周辺でまた動く、といった構造を適切に作り替えられなかったことのツケなんだろうなどとも思う。
もちろん、主流メディアは犯罪者級。ここがガラパゴス化しているから、国民は世界の動きを追えず、ちゃんとした情報に基づく分析をする人がとても少ない。
その代りに、韓国崩壊、中国崩壊、ロシア破綻と来たかと思えば、その一方には、アメリカ破綻、国際金融資本破綻みたいな人がいるという、ある種シオニストのハルマゲドン妄想大爆発みたいな国情になっている。困るんですよ、これじゃ。