DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

代理戦争というより米の失策を見ているわけだが

2015-10-14 13:48:19 | 欧州情勢複雑怪奇

10月9日付けでウォールストリートジャーナルに、シリアにおける問題についてなかなかよく見てる署名記事が出ていた。

America’s Fading Footprint in the Middle East
As Russia bombs and Iran plots, the U.S. role is shrinking—and the region’s major players are looking for new ways to advance their own interests
 By Yaroslav Trofimov
Oct. 9, 2015 1:32 p.m. ET
http://www.wsj.com/articles/americas-fading-footprint-in-the-middle-east-1444411954

アメリカの足跡が中東で小さくなっている、というもの。転じて見出し風にいえば、

アメリカの影響力が中東で減退している、みたいな感じか?

中味は、アメリカの失策とその空白をロシアがうまーく埋めている点が冷静に述べられていて、問題は力(軍事力)ではなくて、アメリカがどうしたいのか、誰を支援しているのか不分明なことから中東各国が誰もアメリカを信用していないという状況がよくまとめられていて、その上で今後これは取り返せるのか、いやしかし、オバマの後に誰が来てもできそうなことはそう多くはないんじゃないのかな、で終わってる。力対力の推移じゃないことを認めている点が要点の一つでしょう。

開けてみればわかるけどコメントやらツィッター、フェースブックでの引用数が多数なので、読んだ人はかなり多い記事の一つでしょう。

ウォールストリートの日本語版にあるかなと思って探したけど見当たらなかった。

これに限らず欧米一流紙を日本語にして読ませている人たちというのは、要するに日本の世論をコントロールしようとしているんだ、という点をみなさん注意しましょうねー、です、はい。わざわざプロの翻訳者を使って日本語版を出すにはかなりのお金が必要で、それをやるだけの儲けがあるからやってるんだろうな、と思うべき。

で、やっぱり、こういうトーンは日本語版ではやらないんだろうね、と思った。

日本におけるシリア問題は、ロシアが介入してきて、米ロの代理戦争だ~、という論旨っぽい。つまり、両方ともよそ者として、両方とも同じように悪いやつで、両方とも同じように大国のエゴ、とかしたいんだろうと想像してみてる。

しかしロシアはソ連ではないからそこまで大きな戦力はない。むしろ非常に小さい。それなのにこれだぜ、というところが実はキーだったりする。つまり、シリアはもちろんイラクのシーア派(だけでもないらしい)がロシアを歓迎し、その他プレーヤーたちも、プーチンがシリアを支えると言い続けてしっかりやってるその事には一目置かざるを得ないというあたりに、アメリカ人たちがただならぬものを理解しちゃった、というところですよね。

そもそも、アメリカは穏健派だのへちまだのという語を使いながら外国人民兵に武器を支援し続けていたけど、その目的は何なのだと誰もが疑いはじめているわけだし、それかあらぬか、去年イスラム国なる集団が出てきて以降もだらだらと対策を取って、真剣にイラクという国土を守る意思なんかこれっぽちもねー、という感じだった。

さらに、そもそも、アメリカの中東におけるクライアントは、サウジアラビア、イスラエル、トルコであることは誰でも知っている。これはスンニ派だと言ってしまえばそれだけだけど、これらの国々は実にまったく真似したいとか仲よくしたいという国でもない、ってのも結構な影を投げかけていると思う。

つまり、イスラエルのために、サウジアラビアのために中東を作り変えられても、俺らなんの益もないやん、とイラク、シリア、リビア国民はもちろんその他各国の人たちも徐々に気がついてるし、域外の人たち(私たちも含めて)も冷ややかな目を向けざるを得ない。ますます、イラク戦争とは結局単なる大侵略作戦だったんだな、なわけですね。

代理戦争というけど、じゃあアメリカは誰を代理してんの、という素朴な疑問に答えらえていないのがアメリカなんですよね。代理じゃなくてトロキストの世界制覇の野望やろーと言ってもいいんだけど(笑)。

シリア:アメリカは誰を代理しているのか?

というところで、俺らアメリカ人はこの件に関してはbad guys(悪い奴)で、ロスキーはgood guysになっちょるやん、どーすんのこれー、みたいな感じもちょっとあるけど今更どうしようもない。アメリカ人の大半は中東から完全撤退してほしいと思ってるから、心を入れ替えましょうとかいう代替案はあまりない。

そういうわけで、米ロ代理戦争とかいうのは、マケインらが勝手に言って、それをメディアが拾って広げてかのように見えるけど、たいして支持されてもいない、って感じじゃなかろうか。

アメリカの中東政策大失敗、というのが私たちが今見ている事態の正しいタイトルだと思う。

で、私の興味はこれはアメリカの失策ですむのか、それともthe Westという200年ぐらいのプロジェクトにとっての失策なのか、どっちなのという点かな。


 

Kindle Paperwhite (ニューモデル) Wi-Fi
Amazon
Amazon

 

Kindle Wi-Fi、ブラック、キャンペーン情報つきモデル、電子書籍リーダー
Amazon
Amazon

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 沖縄・翁長知事、辺野古埋め... | トップ | 南京問題と反戦反乱を起こす... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まぁそうなんですよね (ブログ主)
2015-10-14 22:18:31
どもども。まぁそうなんですよね。ぶっちゃけアメリカというか西側の意図は常に世界の「平定」ですから。

で、平定の手法が近代化、西欧化、いろいろ言うけど要するにグローバル資本にとってやりやすいようにしていくという意味において、近代化史上主義者たちも実にまったくこの試みの先兵である、とそこまで言わないかんなと最近日本の左派を見ていてそう思うわけです。
返信する
『サダムとイスラム国がアメリカの代理だった』 (ローレライ)
2015-10-14 16:02:49
『サダムとイスラム国がアメリカの代理だった』ことは日本以外では常識だから『イスラム国討伐』もアメリカの自作自演戦争だと日本以外では、見られてる。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事