ロシア支援車列、国境突破=親ロ派先導、ウクライナ同意なし
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014082200718
【モスクワ時事】政府軍と親ロシア派の戦闘が続くウクライナ東部ルガンスク州に向けたロシアの人道支援物資のトラック約280台が22日、ウクライナ政府の同意がないまま国境を強行通過し、一部が州都ルガンスクに到着した。赤十字国際委員会(ICRC)でなく、同州を支配する親ロ派が先導しており、ロシアの「人道介入」に国際社会の懸念が高まるのは必至だ。
ICRCは予定された先導を断念した理由について「ルガンスクでは砲撃戦が続き、安全の保証が得られていない」と説明した。ウクライナは「(ロシアによる)侵入」(保安局)、「国際法違反」(外務省)と猛反発した。(中略)
ウクライナ東部へのロシアの人道支援はプーチン大統領が11日に実施方針を表明。12日に人道支援物資を載せた白色のトラック280台以上がモスクワを出 発したが、ウクライナ政府は人道支援を「隠れみの」にしたロシアの軍事介入を警戒。10日が経過した22日、トラック車列はようやく国境のウクライナ側検 問所に入ったが、同日中に手続きが完了するか不明だった。
2日間国境の検問所で足止めをくらって揉めていたけど、ついにロシア「強行突破」。おそらくロシアはこうなることを半分予想していて、検問所付近で足止めを食らっている間のやり取りをここ2日間ロシアの各種メディアで逐一報じていた。
時事はご丁寧に、ロシアの「人道介入」に国際社会の懸念が高まるのは必至だ、と書いているけど、
人道的空爆より水・食料を運ぶ方がよくないですか?と言いたいものがある。
あと、ウクライナ同意なし、というけど、前にも書いた通りそもそもはウクライナ外務省は賛成して荷物の中身の話なんかをしていた。しかしそこに条件がついて、赤十字の同道があれば、になったんだけど、赤十字は公正中立な機関のような顔をしていて、実際にはそんなことはありません、ってのを如実にあらわし、ロシア足止め作戦の支援をしていた可能性は多分にある。
赤十字が公正中立な機関だというのなら、ロシアにやらせる前にあんたらが大規模な人道支援をしてみなよ、と私はいいたい。
つまり、国際機関もウクライナも動く気がないとしたら、ウクライナ東南部の人たちは食料も薬も不足し、場所によっては電気もない状態のまま、誰の助けを待てばいいんですか、それとも死ねというんですか、という問題がここにある。
また、赤十字以外でも、ウクライナの国境の税関だか検閲の職員が出てこないといったサボタージュ手段を取っていた。もちろん、これはウクライナ国の主権にかかわるので3万年でもロシアからの荷物を通さないとウクライナが判断することは法的には正しいだろう。
が、しかし・・・だ。そこでロシアは人道、モラルの方を取って、おそらく法律論は後で争う構えだと思う。公式な立場を言明してきていることからそういう戦術を取る構えとみた。
で、現実的には、これをこじらせたおかげで、ウクライナにおいては、ロシア人を助けるのはやっぱりロシアしかいない、という状況をわざわざみんなして作ってあげたとも言える。だって、ウクライナ東部の人たちは実際困っているから。
(子どもや若い人が逃げて年寄が残っているというケースが目立つけど、思うに一回離れたらキエフ政権に家土地を取られてもう帰って来れないことを懸念している住民が多いのじゃないか・・・)
で、これに対して制裁、報復制裁といぅ運びになったら、兄弟の窮状を見かねて取ったロシア政府の行動が罪になるなら私たちは喜んで罰を受け入れる、とかロシア人たちが言いだし、スラブ世界が賛同する、ってなことになりそう。言うまでもなくスラブ世界は国境を超えている。
いや実際、砲撃される可能性のある場所に丸腰のトラックを向かわせられるのはこの絆の故だろうなとも思う。
プーチンの援助物資輸送作戦
そういうわけで、ウクライナ政府とその影にいるアメリカの現在のあの政権は一体何がしたいの? アメリカのオバマ政権って二軍政権って気がしてしようがない。
そもそも、自国の一般人を「テロリスト」と指定して砲撃し、あろうことか兵糧攻めをし続けているキエフ政権の異常ぶりをここまで放置し、それどころかそれを支持してきたことが大間違い。
やっぱりね、せめて自国の一般人の退避を支援するとか、保育園を狙うのは止めようとか、インフラを爆破したら水とか食料ぐらい差し出してあげるとか、赤ん坊の食料ぐらい差し入れてやるとかそのぐらいはするべきだったと思うよ、キエフ政権。自国民なんだから。そして、その無茶な政権をにこにこして支援してきた日本を含む西側諸国も、このぐらいの条件を入れられなかったという点で反道徳的でしたね。すまんかったね、ルガンスクの子どもたち、とか思う。あんまり死んでないことを祈るよ。
■ 米民主党の恐ろしさ
そこで私は思い出した。1990年代後半、アメリカでサダム・フセインを撃つべしで大騒ぎになっていた頃にもこんなことがあった。
イラクを経済制裁し続けてどうするんだよ、という話題になった時に、イラクの子どもたちは薬もない食料もない状態で死んでいる、これをどう考えるのかと、確か大学生がいっぱいるタウンミーティングだったかで、当時のクリントン政権の国務長官のマデリン・オルブライトが尋ねられ、オルブライトは、それは仕方ない、サダム・フセインが悪いんだから、だったかなんだったか、なにせ一片の同情心もないことを答えていた。
私はそれをCNNで見ていたんだけど、ものすごく違う人だな、この人と思った。状況的にいって別にアメリカとイラクは陸地を接して長年月戦っている宿命のライバルとかいう状態じゃないんだし、そもそも制裁ってリンチなんだからあんたら何の権利があって他人を餓死させてんのよ、というのあるし、せめて子どもたちを救うことには手段を講じたいぐらい言ってみてもよさそうなものだと思うんだけど、そういう発想がかけらもなかった。いやそうなんだ、ごまかしさえなかったことに結構な数の人が驚き一時騒ぎになった。何この人、と。
もちろん、イラクの問題は国連食糧機関だっけか、そこが絡んでイラクの石油を陰で食料と替えていたりして後日大層なスキャンダルになるんだけど、どういう理由であれ、先進国がよってたかって子どもを見殺しにする(たとえその可能性であっても)って全然いい光景ではなかった。
民主党のいわゆる人道介入を旗頭にする人たちにとって「人道」って何なんだろう?
人道というのはあくまで個人を重んじる西欧近代の伝統の中にある概念を出発点としていると思うんだけど(西欧社会では長らく子どもの権利は著しく無視されていたが)、アメリカ民主党というのは、考えてみるとそういうんじゃない。そうでないからこそ「個別の子どもたちには罪はない」という発想がすらっと出てこない。そして、子どもであってもサダムを受け継ぐ可能性はある、だから殲滅対象だと考えるんでしょう。これって、むしろ部族社会、殊にアラブ周辺なんかのを受け継いでいるような気がする。ユダヤ人が多かったからそこから持ち越したってこと?
いや~書いてて自分でもびっくりだけど、アメリカ民主党って、Westとかほざいているけど、必ずしも西欧近代的ではどうもないかも。