DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ラブロフ外相の3日間 & RIC外相会談

2019-03-02 18:45:15 | アジア情勢複雑怪奇

北朝鮮での金・トランプ会談に注目が集まる中、ロシアのラブロフ外相は25日から3日間、ベトナムと中国を訪問していた。

ベトナムでは、ホーチミン市でバルダイ会議というロシアが主催して毎年ロシアでやっている会議の拡大版としてベトナムでASEANの加盟国との対話をしていた。ロシアとASEANは戦略的パートナーシップ関係を結び、昨年秋にはプーチンがシンガポールを訪問した。ベトナムは、ASEAN、APACの加盟国であるのみならず、ロシア主導のEEU(ユーラシア経済連合)とFTAを結んでいる、ロシアにとっての戦略的重要国。ベトナムとインドはみんなが仲良しになりたがる国で、両方ともアクロバット的に八方外交をしている。

その後ラブロフは中国の浙江省の烏鎮に行って、ロシア・インド・中国(RIC)の外相会談をしていた。このフォーマットでは既に13回ほど会合が行われている模様。

(「アジアのヴェネツィア」との呼称がある烏鎮。ベネチアは行ったことがあるけど、こっちは行ったことがない。是非行きたいという気になってる私がいる。)

 

 

 

 

主たる目的は何かと問われりゃそりゃ、仲良くすることです、と来るだろうが、テーマとしては、ロシアと中国がインドを抱きかかえて、3つになってユーラシアを固めようとしていると思う。そして、もっと具体的には、インドが国連の常任理事国拡大となった時に、アメリカの犬にならないよう基盤を作っているようなものではないかと思う。

これはつまり、前に書いた国連機構改革におけるG4問題ですね。

ガラパゴスランドの空中遊泳とその先のお楽しみ

 

事実、

そこでのRIC外相会談では、多国間協調主義と国連憲章に据えられた目的と原則を固く守っていくことを再度確認し、かつ、国際関係におけるインドの立場を重視して、国連でより大きな役割を果たしたいというインドの希望をロシア、中国はサポートすることを繰り返した、と中国の環球時報は伝えている。

The ministers reiterated their firm commitment to multilateralism and the purposes and principles enshrined in the UN Charter. Foreign ministers of China and Russia reiterate the importance they attach to the status of India in international affairs and support its aspiration to play a greater role in the UN, read the communiqué.

http://www.globaltimes.cn/content/1140412.shtml

 

まぁ元祖アクロバットみたいなインドなので、ならないとは思うが、そうはさせじとアメリカは日本を伴ってインドに猛アタックをかけて、ついには自分んちの軍の名前を、太平洋軍から、インド・太平洋軍にまで持って行って、経済やサブカルで引っ張って、軍事協力で固めて政治を取り込んで、政治ブロックに入れて反チャイナに仕立てようとしていることは周知のとおり。

しかしながら、何度も書いてますが、インドはインド洋に面したところだけが特徴なんじゃなくて、内陸側でパキスタン、アフガニスタン、そして中国、と続くところに多数の人間がすみ、そして首都もそっちにあるという地勢。だから、インド・太平洋軍の属州となる便益は最大限いっても半分しかない。

 

■ ホーチミンのバルダイ会議

ラブロフ一行は2月25日ホーチミン(サイゴン)で会議を行った。トランプ・金会談は2月27日、28日ハノイで行われた。

これはなんらかのメッセージをラブロフが投げた、というより投げつけているというべきなのかなと思わないでもない。もちろん、たまたまだったと言って言えないことはないわけだけど。

バルダイ会議で冒頭で行った主にベトナムとロシアの外交関係者向けのスピーチでも、いろんな論点に触れているが、底にあるのはインド・太平洋という構想、すなわちこれで中国を封じ込めようとした安倍の構想に対する危険視だと思うわけ。

http://valdaiclub.com/a/highlights/foreign-minister-sergey-lavrov-remarks/

 

このへんはまた別途書くかもしれないけど、この中国封じ込め構想を安倍は下ろしてないし、トランプもそれを引き取って「アジア太平洋軍」を「インド太平洋軍」に名称変更したわけだから、中露はそれに対抗というか、様々な局面から無効化できるように行動していると思う。

 

■ 安倍の構想への批判

そこで、このラブロフは、3日間のアジア歴訪の直前に、安倍は何を言っているんだ的にぶっぱなしたこの話を並べてみると、ラブロフ(+チャイナの王)あたりが何に腐心しているのかがわかるというものではないのかと思う。

安倍首相の“妄想”に露外相激怒 平和条約締結は決裂一直線

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/248284

 

で、要するに安倍政権はロシアとの外交を国内向けの消費に使って、自立的な国を作ってるナショナリストの俺様ですよというポスターを張りながら、世間&世界にめくらましをかけつつ、実はアメリカの(不毛な)チャイナ封じ込め作戦をやっていましたよ、ということでしょう。

だから、いい加減にしろと怒られた、と。

日本語になっているのでは、

 安倍首相は6月に平和条約の枠組み合意を目指しているが、ラブロフ外相は「誰も一度も、枠組み案など見たことがない。日本側が何を考えているか、私には分からない」と一蹴。安倍首相が北方領土を含む平和条約締結問題に「必ず終止符を打つ」と意気込んでいることについて、こうこき下ろした。

あたりしかないけど、この時の数分間のトランスクリプトを読むと、もっと徹底的に安倍政権は批判されている。困惑するぐらい。

 

■ マトメ

  • 中国・ロシアは、インドの国連での地位をサポートしている
  • インドはそれに応じて過剰な対米追従路線は取らない・取れない
  • 中国・ロシアは、従来「アジア・太平洋地域」としか呼ばれていないところを、南シナ海周辺を含めて、「インド・太平洋地域」として米の軍事戦略を通じて中国南部を封じ込めようする構想の持続を理解している
  • 従ってそれを危険視して無効化しようとしている(中国はインドを、ロシアはASEANを担当みたいな役割分担をしている感じがする)

 

まぜてなかったが、この間、中国がオーストラリア産石炭を止めそうになる動きを見せたのもこれと関連するでしょう。

 

■ 次に考えること

で、現代の北朝鮮問題というのはこの上に、いやこのへんなインド・太平洋構想をひっぱるために設置された問題なのではなかろうか。20年以上かかってるわけだし。

そう考えた時、アメリカの元中国大使のリリーから、

「早い話、冷戦終焉時に、もし北朝鮮が存在していなかったら、地域で第七艦隊を維持する口実として、我々は北朝鮮を作り出す必要があったろう。」

というセリフを聞きだして忘れなかったウィリアム・イングダールの鼻は確かだったということになるのだろう。

スイスと北朝鮮と極東ハンドラー上級者

 

どういう仕立てで考えたらいいのか、構造化が十分ではないわけだが(私の頭の中の問題ね)、これはつまり、ユーラシアの周辺を組織してユーラシア内部を崩すことをミッションとしてるアングロ・シオニスト・アメリカグループの90年代以降の構想のお話で、それが、現在の見通しては結構な徒労に終わりそうだが、終わらせるわけにはいかない、なぜならこの構想は中東問題と密接だから、ということではないかという気がする。

ということは、タイムラインを順列で追って記述することを考えればよいのね。

 

■ 関連記事

「誰かが不幸にも北朝鮮に要求したわけです…」by プーチン

双方凍結案を語るチョムスキー

ベトナム:イスラエルのミサイルもう買わないかも


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ベネズエラ国営石油、欧州本... | トップ | ユーラシア vs 西側:マッキ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事