現地時間の土曜日、ゴラン高原で、イスラエル軍がシリア軍が飛ばした偵察用のドローンを迎撃したそうだ。
ゴラン高原でこういうことがあるのは初めてのわけもないが、時節柄何かが始めるのだろうかと考えたくもなる。9月にはヒズボラが飛ばしたと言われているものが迎撃されてる。
で、ゴラン高原ついての言及が興味深いですね、こうなると。アメリカメディアとかは、基本的に自国領を防衛するイスラエルですましたままが多いみたいですが、スプートニクは、帰属問題に触れている。ここ。
wikiの表現だとこう。
イスラエル国防軍が1967年から1981年まで占領して軍政下に置き、後にクネセトによってゴラン高原法に基づく民政下に置かれた。イスラエルを除く当事国、および国連のどちらもこれを認めていない。国連安全保障理事会が決議497「イスラエルの併合は国際法に対して無効である」旨を採択し、同地がイスラエルによって不当に併合されたシリア領であるという見解が固定化した。しかし、イスラエル政府は「併合」であると認めていない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%A9%E3%83%B3%E9%AB%98%E5%8E%9F
これって知ってる人にとっては既知の話。特に年取った人たちにとってはリアルタイムでイスラエルがアラブの土地を侵略していった話なので、今さら何を、なわけですね。
しかし世の中どんどん若い人、すなわち相対的に知識の足りない人たちが出てくる。そして、その人たちはまずどこで国際情勢の知識を得るかといえば報道。この報道がパーだと、いくら調べりゃわかるといってもそこまでたどり着く人ばかりではない。
ということで、あらためてここに光があたるのだろうかとちょっとドキドキ。
■ チャールズ皇太子の1986年の書簡
そんな中、イギリスのチャールズ皇太子が、1986年に中東を訪問した際にLaurens van der Postという友だちに書いたメモが発見されたと英Daily Mail 他が書いている。
で、その中の一部に、「外から来たヨーロッパのユダヤ人(特にポーランドだと彼らは言ってる)の流入が問題だった」、と書いてあることから、イギリス(の一部)で問題になっている、批判されている、みたいな感じの記事。
Prince Charles suggested 'influx of foreign Jews' was partly to blame for Middle East unrest and asked who will take on 'Jewish lobby' in America in letter to close friend
"I now appreciate that Arabs and Jews were all a Semitic people originally,” the then 38-year-old Prince of Wales wrote in his letter, adding, that “it is the influx of foreign, European Jews (especially from Poland, they say) which has helped to cause great problems” in the Middle East. “
これが現物のコピーらしい。
これもゴラン高原の話と同じで、だから何だ?としか思えないほどよく知ってる人も多い。が、知らない人はおそらくまったく知らない。
ということから考えるに、イスラエル問題の輪郭を知らせましょうという動きなのだろうかと勘繰りたくなってしまう。
ともあれ、このレターはなかなかいい味だしている。38歳のチャールズ皇太子はあんまりいろいろ知らなかった風で、
- アラブの人たちはイスラエルを米国のコロニーと見ているとは知らなかった
- アラブとユダヤは両方とももともとセム語族で、大問題を生み出す一因となったのは外から来た、欧州ユダヤの流入(彼らは特にポーランドからだという)
- いろいろ複雑な問題があるのは知ってるけど、でも原因を取り除かない限りテロリズムを終わらせることはできないでしょ?
- アメリカの大統領か誰かが米国のユダヤロビーと対決する勇気を出さないとならないのではないの? 私はナイーブなんだろうけど。
といった感じ。
でね、Daily Mailはイギリスのユダヤ人団体の発言として、ショックな話だし、ありそうなことだ、みたいな非難のトーンを記事内で書いている。
だけど、これって間違ってるわけ(笑)? まずそこでしょう。
そして、こういうことをDail Mailはトーンを工夫しながらも、率直な見出しで書ける、そしてロシアRTはそれを拾える。他は、最初からプリンスチャールズは非難されている、という入りが限界らしい。面白い。
で、そうれあればこそ、RTはアメリカで酷い扱いを受けているにもかかわらず、同業の米のジャーナリストたちは、一部のフリーランス系以外声も出せない事情がこれに重なるのでしょうか、といったところ。
さらにいえば、どうしてもトランプとプーチンを引き離したいのは米のデモクラッツとメディアというのも重なりますね。
というわけで、なかなか面白くなってまいりました。
■ オマケ
なんかこう、負け馬に乗ってる感じが相当するこのへんのマスコミ。
選挙民の「トランプ離れ」で共和党は2州知事選で惨敗
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51587
米政界に流れ出した「トランプ責任論」が飛び交う中で、「トランプ失格」を声高に唱えたのが、共和党保守本流の重鎮、ジョージ・H・W・ブッシュ第41代大統領(93)とジョージ・W・ブッシュ第43代大統領(71)の父子だ。
トランプがどれだけへんだとしても、ブッシュ家より酷いとは多分アメリカ人の多数は思わないんじゃないっすかね。
でね、日本の場合、「トランプ弾劾か!」に飛び乗っちゃったっぽいよね、この1年ぐらい。
ロシアゲートなんて嘘だって言ってる記事も多数あり、かつ、むしろヒラリーが問題だと思ってるクラスターは去年からずっと一貫して存在している。にもかかわらず、「ロシアゲートでトランプ弾劾!」に乗っちゃったわけでしょ。
これは、「これは幸いだと思ったわけです」シンドロームでしょう。
いつでも、ロシアの、ソ連の脅威が語られました。日露戦争が終わったあと、軍部はロシアの復讐を恐れていたのですが、そのうちロシア革命がおこりました。
これは幸いだと思ったわけです。
そして、ロシア革命でシベリアががら空きになったときに、シベリア出兵という、実に恥ずかしい、いかがわしいことを日本政府は行動に移しました。
「昭和」という国家/司馬遼太郎
で、なんでここで飛びつくのか。それはユダヤ・イスラエル問題と関係なくはないのではないか、と私は思うわけだす。
良いご指摘です。多分、日本人が習ってる「忖度西洋史」ってむしろ戦後強化されたんじゃないですかね。じゃあ戦前がましかというと戦前は単にまったくわかてってないからこれもダメ。
日本史に突如割り込む大航海時代も妙。これを入れるなら、グレートゲーム時代も入れろよとか思う。総体的にチャイナ、インドあたり大陸側を西側がどれだけ苦労して侵略していったのかまったく見えない西洋史の上に、どうして「西洋化」しないとならないのかまったく理解不能な明治維新が乗るという構造は、徐々に強化されたのでしょう。
https://shuchi.php.co.jp/article/1812
なぜ、シベリアにポーランド人がいたのか不思議に思われる方も多いでしょう。実は、領土分割で国家を喪失して以来、ロシア領となった地域で独立のために立ち上がった志士たちやその家族が、シベリアに流刑にされていたのです。第一次世界大戦までにその数は5万人余りに上ったといわれます。さらに第一次世界大戦ではポーランドはドイツ軍とロシア軍が戦う戦場となり、両軍に追い立てられて流民となった人々がシベリアに流れ込んでいきました。そのためシベリアにいるポーランド人の数は15万人から20万人にまで膨れあがっていたのです。
チタのあたりにイスラエル国家が出来れば便利ですね。
読んでいて、どうしてもパラダイス文書を思い出してしまう。英国王室に対する牽制?あまりにもタイミングがよすぎる。