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高野連の行動こそ紛らわしく疑わしい

2013-08-21 22:32:26 | 日々雑感

日本の夏の風物詩の一つといえば高校野球。

野球もベースボールも嫌いではないので(この二つは微妙に違うと思ってる)、ちらちら見る。丸選手が予想外に(失礼)いいとか、なんだかいろいろ波乱含みではあるにせよどうあれ堂林が成長してるのはうれしい。しかし、せっかく野村が監督をしている割には上手い野球になっているようないないような…なのが惜しいといえば惜しい。でも、去年よりずっといい。

いや、そっちじゃなくて、高校野球。この東スポの記事に驚いた。

準々決勝第1試合の花巻東(岩手)vs鳴門(徳島)で花巻東のランナーの動きを審判が注意する事態が発生した。二塁から捕手のサインを伝達しているのではないかと疑われたもの。

http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/175092/

二塁から捕手のサインを見て、バッターに伝えていたのではないのかという疑惑があるらしい。

ネットにも動画があがっていたけど、それは解読されたサインなのだろうか? 単純にキャッチャーの構える位置のウチとソトを知らせていただけ、ではないの? 

で、これは高校野球では禁じられているらしい。私としては、まずそれに驚いた。そうだったの?と。

サインが解読できたらチームで共有って、まず普通の行為ではなかろうか? そもそも、そうでなかったら何のために捕手はわざわざ股の間で見られないように注意して、場合によっては複雑なサインにして投手と交換してるわけ? 誰も盗まないことが前提なら隠す必要もない。

読まれているなと思ったので3回からサインを変えていった、とか、読まれているいないにかかわらずウチは3通りのサインを使い分けてます、とか、これって野球の日常的行為ではなかろうか?

ネット内を見ると、昔はサイン盗みがあったが現在は禁止されている、とあるんだけど、これってホント?

昔のプロ野球では、そのサイン盗みってのが、2塁ランナーが手をぶらぶらさせて知らせるなんて話ではなく、バックスクリーン辺りにカメラを据えてバッテリーの配給を解析して、ベンチに無線で知らせるとかなんとか、そんな手のこんだことをやっていた。乱数票を使っていたのも記憶してる。

だからここまでの大掛かりなことは止めましょう、という意味でのスパイ行為はダメよ、というのだったらある程度理解できる。

問題は、試合中にどうしたって読んでしまう系のもの。対戦してたら、どうやったって次の球は何なのかを解読しようとするでしょう? で、それがわかっても自分ひとりだけでわかっておけ、ってそんなことは可能なのか? チームでどうにかして共有しようとするのも理の当然ではなかろうか? 

だからこそ、ウチはサイン変えてます、とか、バッターと塁に出ているランナーの動きを見て、キャッチャーがその裏をかくとかいう行動が発達する。野球というのはどこまで言っても読みあい。

だから、サイン盗みは禁止されている、ルールはルールとマジで言って回っているネット上の人たちは、別の意図を持っているか、別の事情を故意に混ぜているか、または、根本的にこのスポーツに不慣れな人たちだと思う。

それはそれでいい。

しかし、高野連の行動はそうはいかない。

■ 疑惑のバッターorランナーはアウトにすればいい

スパイ疑惑の花巻東に高野連「没収試合もありうる」
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/175092/

この記事内で、高野連・竹中雅彦参事は、

竹中:一度注意したにもかかわらず、今大会中にまたやるようなことがあれば、没収試合ということもあります。

と語っている。

一見もっともらしく厳格なことを言っているように聞こえる。しかし、この時点での線引きが全然明確でない。それにもかかわらず、まだ次にやったら没収試合の可能性がある、というのは論理が飛躍しているし、脅してさえいる。

もしランナーの動作が(どういう理由でも)よろしくない、と主審または塁審が判断したのなら、そのランナーをアウトにするというのが野球の規則内からみて妥当なのではなかろうか? 守備妨害と同じ理屈。

それをいきなり「没収試合」とは、どういう了見でそんなことを言っているのだろう? 

さらに、もう一つある。

■ 個別具体的にスリーバントアウトにすればいいだけ

花巻東の千葉、ルールに泣き“カット打法”できず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130821-00000037-dal-base

カットもいかんと。いや、正確には、あの選手のカットはバントみたいなところもあるわけで、場合によってはスリーバント失敗の処置もあるよ、と高野連が花巻東の監督に試合の前に通告した模様。

これも相当おかしい。カットして相手に球数を投げさせるのは立派な戦術。やろうったってそうはできない。

また、千葉選手は基本的にスイングしてると思うんだが、してない、それはバントに区分されるべきと主審が判断したのだったら、その場でスリーバントとみなしてアウトにすればよかっただけの話。それもしてないのに、後でこんなものを出してくるというのはどういう考えなのだ、高野連。

こうやってカットしたり、多くの打者がフルカウントまで粘って投手を疲労させて勝とう、というのは、主に中四国地方の野球の名門校で発達していったもので、昔から今に至るまで別にダメだという話は聞いたことがない。多かれ少なかれプロでもある。ただプロでは分業制が確立して以降あまり意味がないというだけ(全くないわけではない)。

しかも、これはやろうと思ってもそうそうできるものではない(良いピッチャー相手に三振せずにフルカウントにするって、そう簡単でない)。

高校野球の古典的マニアにおける有名事例は元カープの達川選手の時代の広島商業の江川対策で、普通これは高校野球の一つの典型例として賞賛ケースと考えられていると思う。このチームは夏には9回裏のスリーバントスクイズで優勝した。

(じゃあ彼らが非力かというと、確かクリーンナップは強い時代の法政で活躍した選手が複数いたので特別に非力だったわけではなく、このチームはこういう野球が好きだったんだろうと思う。迫田監督の好み説が強力だろうけども。)

これは時代が変わったからで、今はダメなのか?

いえいえ、つい4年前、堂林クンがからくも優勝した時、相手の日本文理にもファールで粘ってくる打者がいましたよ。9回の連打の中に。で、そのファールごとに甲子園がどよめいていた。みんな彼は打ちゴロの球が来るまでカットしていると明確にわかっていてどよめいて、むしろ賞賛していた。

じゃあなんで今回はダメなのか。高野連に聞いても多分曖昧な返事しか来ないと思うな。だって、上でも書いたように、はっきりとした理由を述べられるのなら、個別具体的にその場でスリーバントアウトを宣告すればよかった。しかししてないんだから。

百歩譲って、いやいやこの選手のフォーム、構え方はダメなんだ、ついでにいえば彼の態度も嫌いなんだぜ、と高野連が判断していて、それはそれで適正だったとしましょう。しかし、だったら、そのダメ出しは、千葉選手はフォームを変えてるわけでなし、態度がそう変化しているわけでもないんだから、もっと早い段階ですべきでしょう。準々決勝までずっと良くて、準決勝を迎えた今になって考え直せ、反省しろってのは、ルールを守っているようでいて法の精神を曲げている行動だと思う。

まとめると、

(1) 主審は、試合中にアウトにする、つまり線引きする判断はできなかった(そこまですべきなのか判断できなかった、もしくはそんなものだったから)。

(2) 当該主審はやっぱり連続カットはダメだと思っている。または、それに加えて高野連だか審判部だかはこれは止めさせるべきと考えてる。

(3) そのため、準々決勝の試合直後でも最初の試合後でもなく、準決勝の試合の前になってわざわざ注意に出かけた。

私としては、(1)が出来なかった時点で、今回の高野連の審判部の判断とするしかなかっただろうと思う。早い段階で注意できてないんだから。しかし、おそらく(2)が、思いかげず(?)強力になったのではないのか? そのため、突如(3)に出た。メディアもこれを囃し立てた。これはいかにもおかしい、フェアでないと考える。花巻東かこの選手を狙い打ちしていると思われても仕方がないほどだ。

■ 高野連こそ疑惑の行動をしたと自覚すべき

あわせ技で、高野連はその意図がどこにあれ花巻東にプレッシャーをかけるために大きな貢献をした。ネット上のあちらこちらでは花巻東を罵倒する語が飛び交うような状況があるが、高野連は自ら進んでそこに燃料を投下したに等しいことをしている。上下関係を使って花巻東の高校生相手に単なる脅しをかけたとさえ言えるだろう。

なぜそんなことをしたんだろう?

それは謎だが、いずれにしても、高野連は、メディア関係者の中に何か意図をもった人たちがいて、そこに引きづられているようにコメントをぼろぼろ出しているというのも問題だと思う。今回東スポは最低。

とはいえ、高野連という組織は、影響力のあるメディアに守られているので自分たちが窮地に立たされるなんてことはないだろうと思う。

かわいそうなのは高校生。花巻東の生徒さんたちは、この間ネットなんか見てなきゃいいなと思うし、お友達の人はネット上の意見に翻弄されないでもらいたい。ネット上というのはおかしい人がいますから。

■追記:

「ルールはルールですから従うべきです」といった批判をしている人が散見されるし、テレビでもそう言っていたそうだ。

しかし、上で考えた通り、今回の高野連の審判さんたちは、ルールはルールだというジャッジをしていないことがむしろ問題。

個別具体的な判断を避けて、試合中に血相かえて注意に向かってみたり、次の試合の前になって急に警告を出したりして子どもを脅しにいって、間接的に、子どもに自粛をさせたというのがその構図だ。ある意味、完璧な無責任体質というべきでしょう。

(サッカーでいえば、レッドカードを出す度胸はないので、試合後にあの選手はルールを守ってない、よくないとメディアに向かって言い散らかす、みたいな感じだ)

高野連も怖いし、マスコミという集団も本当に恐ろしい。


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