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甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実

2013-08-26 20:46:58 | 日々雑感
甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実 (新潮文庫)
 
新潮社

久しぶりにじっくり見た高校野球で思わぬ憤激をしてしまって先週は疲れた。

その後結構野球好きという友達と話した時にこの話題をふってみたが、あんまり知らない人もいた。ネット上といくつかのスポーツ紙が狂ったように騒いだだけということなのかもしれない。

実際、昔の松井秀喜さんの5打席連続敬遠事件のような社会事件のような騒ぎにはならなかった。あれは本当に凄かった。特に、私のまったくの主観では朝日新聞が勝手なことを言い出して、さらに騒ぎが大きくなったような気もした(その論評に反論する人が増えて、騒ぎに第二波が来た。)

甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実

は、1992年夏の星稜vs明徳義塾の試合による騒動について、主に両校の選手たちの動向を中心に描いたノンフィクション。関係者の動向がわかって興味深い。

この本によって知った、あの騒動の関係者の中で印象に残るのは、まず、明徳の学長(というのだったか、なんせ人事権のある人)。

あの騒ぎを監督に押し付けて、自分も被害者めいたことを言いそうな人っていると思うんだけど(お前のせいで学校が傷ついた、首や、みたいな)、そうはならなかった。

もうひとつは、明徳が松井率いる星陵に勝って後の試合で対戦した広島工業の保護者の方々。

「高校野球」というある意味でかなり危険な興行は、こういう人々によって支えられている。

※主観だが、この本は星陵ファンで野球ファンには飲み込めるかもしれないが、星陵ファンにとってはあまり納得がいかないかもしれない。

■ 地域主義を前面に出すのを止めたらどうだろう

危険な興行だという意味は、一般大衆が勝手なきれい事を言い、勝手な応援をすることはいいとしても、時としてそのまったく勝手な、単なるマジョリティの好悪にすぎないものを社会正義か何かのように持ち出されることがあること。持ち出すのは、もちろん在京の声の大きなメディア。地域で収まってる話ではすまないことになる。

そういう「事件」に巻き込まれると単なる高校生たちが単なる高校生なら受けずにすむ気苦労をさせられる。有名選手になりたい生徒およびその関係者にとっては、これも宣伝なのだろうが、大多数はそうではない選手だ。

思うに、地域対決という側面を全面に打ち出すようになったことが間違いだったのではなかろうか。地域の学校が出ている以上地域対決には違いないから、どこまで行ってもある種の「地域ナショナリズム」(語義矛盾のあるたおかしな語だが)は避けられないだろう。

だけど、NHKが取材から放映まで全部、ふるさとがらみを前面に打ち出すようになったのはそう遠い昔ではないと思う。確か、80年代真ん中ぐらいだったような。

しかも最初は、控え目な学校紹介だったと記憶する。その後、いつの間にか「地域ナショナリズム」の祭典みたいになってる。

NHKがほとんど野球に関係ない、○○市出身者としてはうれしいです、がんばってくださいみたいな応援コメントを試合中に読み上げるというのも、野球への興味ではなく地域への興味、無条件に応援したくなっちゃう心情というのを鼓舞している。

そうすると、野球に詳しい、興味がある、好きといった人の人数よりも、○○県だから熱烈応援の人の方が上回る。すると、このスポーツについての議論が出来にくくなる。

こういうことを止めていくことも考慮に入れていいのではなかろうか。
(というか、なんでこんなことはじめたの、NHKと聞きたいものがある)


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