DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

韓国、日米韓の3ヶ国同盟は求めず

2019-06-09 17:59:49 | アジア情勢複雑怪奇

これは良い記事。

とてもわかりやすく現実を解説してる。

ウラジオストクで開かれた極東露韓フォーラムの開会式で、宋永吉(ソン・ヨンギル)韓国大統領北方経済協力元委員長は、日米韓の軍事同盟形成は好ましくないとの認識を示した。宋氏は現在、北東アジア平和協力特別委員会の委員長を務めている。

韓国、日米韓の3ヶ国同盟は求めず 中国が理由か?

https://jp.sputniknews.com/opinion/201906076337655/

 

これについて、韓国、中国、ロシアの専門家の意見を紹介している。

朝鮮に詳しいロシア科学アカデミー極東研究所のキム・ヨンウン氏の意見。

「米国は10年以上にわたり、米日韓の3ヶ国同盟結成を試みている。だが結果は一切ない。しかし、韓国と日本は個別には米国の戦略的同盟国だ。しかし、3ヶ国同盟には障害がある。朝鮮人の歴史的記憶だ。韓国では精神的なレベルで、日本の軍国主義時代において過去、植民地化した国の苦い記憶が消え去っていない。

これに加え、韓米日の同盟結成は本質的にはアジア太平洋地域における『アジア版NATO』であり、日韓での米高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を強化する。韓国上層部は、ロシア側、そして何より中国側から極めて否定的な反応が届くことを良く認識している」

 

そう、アメリカは一枚岩ではないんだけど、基本的に極東をハンドリングしている人たちの中で強いのは、米プラス日韓を使って極東NATOを形成することでしょう。

そこにオーストラリア、フィリピンも加わる。

実際問題、1945年直後から動いていたのもこれですよね。極東側のNATOを作りたかった。しかし当時はオーストラリア、NZが日本と同盟することに拒否感があって同盟にはできなかった。そこで、各国とアメリカの1対1で各同盟を作っていって、仮想の車輪の真ん中にアメリカがいるという恰好でこの地域を支配している。

この仮想軍事同盟の主敵は中国&ロシア以外にはない。

さてそこで問題になるのが朝鮮半島南部の人たち。彼らはこの構図からいくと、朝鮮半島を動乱に追い込んで大陸に進行しようとする海側勢力の「引き込み役」になることになる。

それうれしいの?って話ですよね、そりゃ。

韓国の世宗研究所の研究員、鄭載興氏はこういう。

「韓国政府は静観的態度をとろうとしており、米中関係が改善し始めるまでは、以前通り、容易にどちら側にも傾かないように心がけていく」

 

これはつまりバランサーになろうとしているということ。スプートニクの論説はこうまとめる。

韓国政府は日米韓同盟の結成を避けようとしている。こうした軍事同盟がアジアで成立した場合の深刻さをはっきりと理解しているからだ。同盟は新冷戦を引き起こしかねず、そこで韓国は対中・対露同盟に加盟することになる。

 

■ 叩かない、バランスさせる

バランサーというのは、現状維持はできるが現状打破はできない。その意味で韓国の役割はどっちつかずにも見えるかもしれない。

しかし、そのバランサーの周囲がどうなっているのかを加味すると、ここ数年か10年ぐらいの間におけるこのバランサーの役割は、実は海側からの攻撃を防ぐ試みの中にあると言うべきだろうと思ってみたりする。

つまり、この仮想NATOの大陸攻撃の強度とその可能性を下げれば、仮に仮想NATOが存在しようとも、受ける側にとっての被害可能性は小さいということ。

スプートニクの韓国の立ち位置の現状分析はこれ。

中国は現在、韓国にとってナンバーワンの貿易相手国であり、代替国はいない。だが、米国に対する同盟国としての義務は常に優先されてきた。そして米国が推進する日米韓の3ヶ国戦略同盟でブロック的な規律は強まるばかり。北大西洋条約機構(NATO)のような軍事政治ブロックはどんなものでも、共通する政治経済・軍事的課題解決のため設置されるからだ。

 

そうこの軍事ブロックは、危機をあおりながら、現実には経済政策の手足を縛って、ブロックにとってのアジェンダに合わせるよう運用されている。そのため、ブロック内の各国の自律性は時間と共に失われる。現在の欧州にマシなリーダーが消えていったことがその証左と言えるでしょう。

しかし、中国がナンバー1の貿易相手国であり、スプートニクは書いてないけどロシアが資源持ちで、かつ、軍事的な能力が高いことが現在の北東アジア情勢に拭い去れないパワープロジェクション(力の投影)が行われている。

したがって、韓国が朝鮮半島を戦場にしてでも海側に付くメリットは30年前に比べて低下している。

 

この様子は、言ってみれば、中露がスターリングラード攻防戦におけるウラヌス作戦を決行していると考えると楽しいような気もする。焦点となっているところで接近戦で時間を稼ぎつつ、周囲を大きく包囲していった名高い作戦。

その場合、韓国はドイツ側の弱点になっていたルーマニア軍か、といいたくもなるだろうが、今回の場合は韓国の文さんがチュイコフで、北朝鮮の金さんがザイツェフみたいなものなのではなかろうか。

つまり、朝鮮半島は、その地勢が示すように当然大陸側だということ。

しかし、じゃあ構図的に受けて立つことになっている日本が敢然と大陸侵攻を目論む海側勢力になっているのかというと、確かに日米軍事同盟をかつてないほど強力に、かつてないほど協力し、かつてないほど称賛し、かつてないほど(任意に)、と言ってはみるものの、本当なの?という感じもある。

 

ということで、ウラヌス作戦参謀本部は、北東アジアで戦争などできない構造にもっていこうという感じなんだろうと思う。

 

 

■ ダレス兄弟的世界

前に、戦後世界というのはダレス兄弟が暗躍して作ったわけだよね、みたいな話を書いたことがあった。

ダレス兄弟の半世紀

今壊れているのはこの世界なんだろうと思うわけです。オバマ、トランプはこの崩壊に抵抗している、抵抗しつつなんとか切り抜けたい、等々の試みだと考えると筋が通る気がする。両方とも、あたかも救世主のようにデビューさせてるがやってることはどちらもあまり実りがない。

 

で、ダレス兄弟的世界というのは、1945年の終戦に向かって動いていた各国民のあずかり知らない間に作られた秩序。

日本のことを見ればわかる。日本国民は確かに次にどうなるのかをちゃんと考えらえるほど世知にたけてはいなかった。終わったはいいけど、次にどんな政体になったらいいのか誰もよくわかっていなかったし、実際あんまり考えられる能力もなかった。

が、しかし、だからといって講和条約を結んだのかと思ったら、体育館の裏手に呼び出されるようにして日米安保条約を結ばされてた、なんてことも、相当に異常な状況。

また、民主主義の世になったのです、などと宣伝しつつ、実は軍事の窓口は児玉誉士夫、資源は田中清玄、総じていえばCIAが日本を作って、操って、ほんとの実力者は日米合同委員会でした、昭和天皇は折々に政治に口出ししっぱなしでした、みたいなフザケタ話になっているとも99%の日本人は気づいていなかった。

また、欧州側でも、ソ連の伸張に抗するために既に終戦以前からイタリアでマフィアと話をつけて、後のグラディオ作戦に繋げて行っていったおかげで各国の政治は常に堕落を伴った。また、イスラエルの軍事的勝利のためにはアメリカの中の軍(とマフィア)が武器の横流しをしてた(そうでなかったらどこから軍備が来るんだよ、という話)ことが、今日に繋がるイスラエルとアメリカの切っても切れない腐れ縁となり、プレーヤーが怖い人ばっかりなので誰も手出しできないという深刻な事態を迎えている。

 

こういうことをやってきたはいいけど、なんかいろいろ限界に来てるという話じゃなかろうか。

冷静に考えてみれば、ダレス兄弟的世界って西側世界に従属させられた各nationにとっては凋落を呼び込んむ機構だったな、とかも思う。暗躍プレーヤーのタチが悪すぎる。

いってみるなら、児玉誉士夫を三代育ててみたところでプーチンは生まれないといったようなもの。

 


 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 再び歴史的なモメントを迎え... | トップ | 安倍イラン訪問、中露はSCO »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ローレライ)
2019-06-09 20:40:08
日米韓の弱い輪となる日本の壊れ具合!アベノミクスと原発禍で戦えない国になった。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事