ついに無観客五輪なる状況になるらしい。いっそのことCGにでもしたらいいんじゃないか。
そんな馬鹿げたイベントに振り回される中、馬鹿げたイベントの後始末がおそるおそるなされているといった趣なのが現在の国際状況なんだろうと思う。
それはつまり、アメリカ＆NATO諸国がアフガニスタンから引き上げつつあるということ。
バイデンは8月末までに完了すると言ってる。
アフガン撤退「8月末に完了」 バイデン氏が正式表明
タリバンは国土の大半以上をコントロール下に収めたと言われている。ただ、まぁ今までだって実のところNATOコントロール下ってごく限られたところしかなかったので面積比較はあまり意味はない。
そうそう、西側メディアおよび米政府は、20年越しのアフガニスタン戦争に終止符を打とうとしているのだ、といった感じで報じてますが、アフガニスタンの混乱は、1979年にカーター政権がムジャヒディーン作戦の予算を付けて、騒ぎを作って、当時のアフガニスタンの親ソ政権がソ連に支援を求め、ソ連が軍を派遣したところから始めっているので、実際には、40年超の大迷惑に一区切りつくのかなぁ～といったところ。
何度でも貼りたいこの動画。スペースシャトルの打ち上げを自由の戦士ムジャヒディーンに捧げるレーガン大統領。
Ronald Reagan dedicates the Space Shuttle Columbia to the Taliban
誰だかわからない、ひたすらソ連を憎むなら誰でもOKといった調子で軍事訓練を施し、銃を預けていったこの作戦の大失敗を見ているということですね。ブレジンスキー＆カーターからレーガンにかけての気持ち悪い戦略のツケを今頃払ってるようなもの。
それはつまり、
2014年の、プーチンによる「テロリストは傭兵なんだよ」発言から7年、傭兵をもりもりかき集めて、事件化して楽しく世界中を混乱させる作戦にとうとう陰りが出たといったところだとも言えますね。
Putin Tells Everyone Exactly Who Created ISIS
テロリストは傭兵なんだよ by プーチンから2.5年
この記事でリンクしたプーチンの2014年の動画は、1300万ビューを数えていた。しかし、いやしかし、イスラム過激派というテロリスト集団は自発的なものというよりずっと多く傭兵である、って、冷静に考えれば知ってた人は多数いただろうに、主流メディアが語る「正史」みたいなものに殆ど誰も逆らえなかったわけですよね。世の中って、とってもいい加減にできている。
■ だらしない撤退
で、まぁ、撤退の仕方を見つつ思うのは、なんというか、なんとだらしない撤退だろうかってところですね。
今まで居座ったということは、米軍の側についた人たちは、今後はアフガニスタン国内で、敵の味方だった悪い奴になるのが戦争の常道なので、その人たちをどう世話するのか、ってのも考えないとならない。もし、全員、首かっきられたってかまわないだろ、と思わないんだったら。
ソ連は、アフガニスタンから撤退する際に、アフガニスタンの政府を立て直して、ともあれ秩序を作って撤退した。（アフガニスタン政府が潰れたのは、ソ連が潰れて援助がなくなったから）
そして、その時には、親ソ連で目立つ人とか、反ソ連で問題ありそうな人たちをロシアに連れて行ったそうだ。つまり、アフガニスタンにおいてもろくなことにならないから、自分んところで管理する、って発想でしょうね。
他方、米はこのアフガニスタン内のアフガン政府≒米側についていた人間を、周辺諸国に逃してる。迷惑もかえりみず。この壮絶なだらしなさ。
アフガニスタン国内では、米大使館を護衛する兵士を650人だか残し、後はトルコから500人ぐらい借りて一定のユニットを作って、管理をカタールからするらしい。つまり、CENTCOMだね。
状況的には、その前に、旧ソ連のスタン諸国に米軍基地置きたいんですけどぉとオファーをして断固断られ、パキスタンにも断られたので、これしかないとも言える。
若干名をトルコから借りて（トルコから兵隊が来るってことはイランが通過させるってことでしょう）、後は、カタールの基地からのミサイルで対応するんです、みたいな発想か。どうあれ、爆弾落とす権利は手放したくないわけね。
タジキスタンあたりの国々は、当然のことながら混乱させられる可能性があるので、ロシアの方を向いて、ロシアはCSTO（旧ソ連の構成共和国の集団安全保障体制）の枠組みで条約加盟の同盟国を支援する。
As Taliban reaches Tajikistan border, Russia says it's ready & prepared to defend its close ally against Islamist terrorist group
米＋欧州＋日本という三極は、ソ連をばらばらにすることを目指し、とりわけ、中央アジアをソ連から離すことに熱心だった。アフガニスタンはこの旧ソ連のかたまりの真南。
で、それは確かに達成されたんだろうけど、だけど、資源がほしいだけの欧州やら日本はどうやってタジキスタンの平和と安定を守るんですか？ 行って、タリバンやらジハード主義者残党と交渉してみろよ、外務省、といったところ。上の地図は日本の外務省のページから。
結局のところ、誰がタジキスタンの安定秩序を守ってくれるのかとなったら、ほんとに協力してくれるのはロシアしかいない。
今年の5月、モスクワのビクトリー・デーに参加していた、タジキスタンのラフモン大統領。旧ソ連の多くの人は流れを読んでるね。
■ 予測がつかない
そうそう、イラン、パキスタン、中国も無問題じゃない。前から書いてる通り、40年前にムジャヒディーンを作り出して、アフガニスタンにソ連軍を引き寄せるという、不道徳作戦に賛成したのは、米だけじゃない。むしろ、ブレジンスキー＆キッシンジャーという、不実を絵に描いたような男たちによる米中共同作戦でしょう。
1980年モスクワ五輪とムジャヒディーン協賛諸国
で、ここらへんの話をしっかり開けたくないのは、米も中もイランも一緒なので、みなさん知らん顔して、単に、アメリカは悪い奴だの線だけで語る人が世の中たーくさん。
それはそれとして、今後この地域がどうなるのか、誰にも定かなことはいえない。
アフガニスタンは、当面タリバンが主体になるが、しかし、みんながタリバン支配に納得するとも思えないし、タリバンも自分が万能だとは思ってないでしょう。どうなるんでしょうか。いずれにしても、アフガニスタンの人たちが、ぐだぐだやりながら、多少きな臭いことも起こしながら、次を考えるって恰好になるのではなかろうか。
タリバンの代表者は現在モスクワで、ロシア当局者とお話中。
Taliban delegation is currently in Moscow, representative says
タリバンの代表者は、
アフガニスタンの領土をロシア攻撃のために使わせない
アフガニスタンを武力で制圧するようなことは考えてない
アフガニスタンとタジキスタンの国境付近を攻撃しない etc.
といったことを語っている模様。
Taliban vows not to allow Afghan territory to be used for attack on Russia
Taliban has no plans to take over Afghanistan by force, says spokesman
Taliban won’t attack Afghan-Tajik border, says spokesman
（全部TASS）
他方、話し合いのテーブルとしては、上海条約機構（SCO）が、落ち着かせるためのフレームワークとして機能することになるのでしょう。来週、タジキスタンのドゥシャンベでSCOアフガニスタン連絡グループの外相会談が行われる。
Afghan top diplomat to take part in SCO-Afghanistan Contact Group meeting - Russian envoy
アフガニスタンとイランはSCOに加盟したいと申し込んでいる模様。
■ 関連記事
米、タリバンと撤兵プランの合意文書に署名
NATOの迷走＆アフガニスタン
ボルカー：ペトロダラー→アフガン→ソ連崩壊→911→今ここ
そして核のパリティーがリストア。ネオコン/介入主義者の夢砕け散る
バイデン×プーチン初顔合わせ ＆ 目覚めない日経
せめて車の鍵ぐらい残しておけ