偶然読んでしまったのだが、テレ朝のテレビのスクリプトが分けわかめなことを言っている。
中国の習近平国家主席の特使が今、北朝鮮を訪れています。金正恩委員長の側近らと相次いで会食をしています。北京から報告です。
中国は、アメリカが年末年始にも実際に軍事行動に踏み切るのではないかという観測も出ていたんです。ですから、対話に踏み切るならこのタイミングしかないと判断した可能性があります。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000114887.html
テレ朝の解説では、アメリカが軍事攻撃しそうで恐ろしいから中国の特使が北朝鮮に行ったらしい。
じゃあ、ロシア共産党の議員を代表者とするロシア議会団しか出さないロシアは危機感がないのか。
さらに北朝鮮と中国はここ最近、相当関係が冷え込んでいました。この状況が続けば、北朝鮮の核・ミサイルの対象が中国にも向いてくる可能性が出てくるわけです。中国は、自らの安全保障のためにも、ここはいったん、北朝鮮との関係を修正局面に持っていかざるを得ない事情もありました。これに関連して、中国は最近、関係が悪化していた韓国との関係も急激に関係を改善しています。これは、ある関係者は、日本とアメリカが結びつきが強くなってきたためだと言っています。つまり、日米と一緒に思われないためにも中国は韓国と近づき始めたと解説しています。
もはや何を言っているのか理解できない(笑)。
関係が冷え込むと北朝鮮は中国向けに核ミサイルを打つらしい。
この人たちって、一体全体、ミサイルとか核というのを何だと考えているんだろうか?
もはや、日本の報道で何か話している人たちって、本気で考えているのか、それとも机上で適当に作文するとこうなっちゃうのか、もう何がなんだかわからない。
そんな中、ロシアと北朝鮮では、イーゴリ・モルグロフ(Igor Morgulov)外務副大臣が、週末から韓国に行っている。
Russia's top envoy on N. Korean nuke to visit Seoul this week
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20171120000266
モルグロフさんは多分極東専門の外交官。
で、その対話の相手となる韓国のリーさんは、アメリカとしょっちゅう話しているわけだから、ここは、韓国を通してロシアはアメリカの意図を確認するとも考えられるし、ロシアと中国はこの件では共同歩調であることは大将2人が揃って示しているわけだから疑いをはさむ必要はない。
というわけで、単純に言って、中と露はそもそも外交関係があるんだから北朝鮮と直接話すが、中韓、露韓も対話するということで一つのフレームワークができてる気がする。つまり、5か国で外交してますがなというところ。
ということは、日本が出ちゃいましたという話ではなかろうか。だから、テレ朝みたいな、わけのわからないことを言い出している、と。
で、18日付けの朝鮮中央日報では、1905年の日本式に言うところの第二次日韓協約は日本帝国がでっちあげたものなので違法だ、無効だという主張をしていた。何かの記念日なのか?と思って調べると、11月17日が締結日だった。すみません知りませんでした。
Rodong Simun Slams Japan's Fabrication of "Ulsa Five-point Treaty"
Pyongyang, November 18 (KCNA) -- Rodong Sinmun Saturday carries an article on the lapse of 112 years since the Japanese imperialists fabricated the illegal "Ulsa (1905) Five-point Treaty" against the Korean people.
まぁ日本が朝鮮から外交主権を取り上げて保護国化した条約なので、そりゃ朝鮮民族にとっては忘れられない屈辱の条約といったところでしょう。
で、納得しない高宗が主要国に手紙を書いてこの条約の無効を訴え、その上でハーグに使いを出したいわゆるハーグ密使事件が発生する。
日本の右派はこれを長い間、無駄な抵抗をした朝鮮人として笑いものにしてきたが、植民地主義者だらけのいわゆる列強の後裔国が、いつか、ごめんんさいをする可能性もあるよなとか思ってみたりもする。
ちょうど、ほぼ同時期に主に英仏が中東を分割していったのと似てるし。
で、そういえば、この高宗が使いを出したハーグでは、戦争法規を詰めるための会議が行われていた。いわゆるハーグ陸戦法規ができる会議。
この会議は、1899年に最初の会議が行われたのだが、これを呼びかけたのはロシア皇帝ニコライ二世。前から書いてますが、この皇帝はいい人すぎたと思う、しみじみ。で、集まって約束をしてそれを法の形でまとめることに大きな信頼を置いているという点では今のプーチンも似てて、それが故に時々不安になっていた私でございました。
二回目は日露戦争があったので2年遅れて1907年に開催。会議を呼びかけたのはセオドア・ルーズベルト。この項の英語版はかなり詳しい。
Hague Conventions of 1899 and 1907
日本語版は陸戦の中身しか書いてない仕立てのものなので、背景や成り行きがない。
こういう書き方をしていると、どういう考えからこういう法ができたのかがわからなくなるので、したがって法の精神も理解できなくなるっつーわけで、あまりお勧めできない。
で、北朝鮮と国交を回復することになると、これらすべての過去の苦情をこじ開けることになるので大変だと思う。韓国は、冷戦体制の中でまるめちゃったも同然だったがこれからはそうはいかない。
多くの日本人にとっては今更何を、という感情が先に来るだろうとは思うが、しかしですね、私が思うに、私たちはもう一度教育される必要があると思うな。特に、どうしてここまで朝鮮に拘って、ほとんど蛮行に次ぐ蛮行を重ねながらもゲットしようとしたのか、その理由をしっかり考えたような日本史は提示されていない。されるべき。
つか、日本史の近代史業界は一体何をしているんだろうと真剣に思いますね、私は。去年何度も書いたけど、シベリア出兵についてわかりやすい本が出たのは、実に事件後98年目ですからね。しかも、日本史分野の方ではなく、ロシア史の方がお書きになった。これって異常でしょ?日本史屋さんは一体こんな大きな出来事をどうやったら考慮に入れないでいられたんでしょう?
シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書) | |
麻田 雅文 | |
中央公論新社 |
日本に限らず、第一次世界大戦の戦後処理は現在も謎(というかタブーだと思う)が多いので、今後が楽しみではある。中東がからっとしてくると多分いろいろ出てくるんじゃなかろうかなど思ってみたりもする。まぁ、日本人としてはまず間違いなく楽しくないことしかないとは思うけどね。
ポーランド孤児を救え!~日本とポーランドの友好を育んだ物語を多くの人に伝えたい
https://shuchi.php.co.jp/article/1812
侵略戦争を教えないで、ホワイトヘルメットの人道援助を教えているようなもん。
そうそう、ポーランドと日本は多分同じような人々にハンドリングされていたのであろうと私は思ってます、この時期から。中東問題も関係あり。
ローレラインさん、
ゴルバチョフはそこまで善人とも思えないんですけど、でも妙な大義を勝手に感じていたという意味ではリアリストではないですね。したがって、そのパラレルは有効だと思います。
ま、こう、プーチン集団という本来裏方で業務をこなすエキスパートらが前面で仕事したのはよかったですね。言えることあるからな、という脅しにもなったし。