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ベトナムAPECを前に戦後の極東を振り返ってみる

2017-11-08 09:34:27 | アジア情勢複雑怪奇

一昨日だったか、ゼロヘッジの記事をだらっと読んでいたら、金融を専門とする人の記事に、どうしてこんなに北朝鮮で騒ぐんだ、そんなに怖いという話じゃないだろうと僕は思っていたが、最近気がついた、これは結局中国を脅かしているという話なんだろうと、というのがあった。

ようやく関係がないフィールドからも気がつく人が現れたかぁとか思って面白く思った。「マスコミに載らない海外記事」さんが多数の翻訳をされているポール・クレーグ・ロバーツなどは、最初から北朝鮮が問題じゃない、これは中露とアメリカの関係の変数という立ち位置で、北の中味については全然興味を持てないと前に断言していた。

私も基本はそう思ってる。単純に、日本の対応があるからそうは言ってられないというだけ。

で、最近ベトナムが台風で被害を受けて、日本も人道的な立ち位置からと支援を申し出たし、ロシアもプーチンが予算を割当てて対応しろと昨日命令を出していた。緊急支援物資を積んだイリューシンが出るみたいなことも読んだ。ロシアはここのところずっとベトナムとの関係に気を使ってる。というかベトナムは非常に親ロシアなので気を使うといっても綱渡り的な感じではない。

そんなこんなで、北朝鮮、ベトナムと並んであらためて思うのは、結局現在やっていることは1950年代と非常に似ているということ。南シナ海はベトナムの前の海ですから。

そういえば、最近、インドネシアの共産党のせいだと言われていた大虐殺ストーリーに関するCIAの文書が開示されていたが、これも極東の戦後の重要なユニット。

ケネディ氏暗殺の捜査資料、解除か延長か &インドネシア1965

 

並べて考えると、中国共産党68年目の勝利って感じではあるわけですよ。だって、朝鮮戦争からベトナム戦争の入口あたりでは、中国は、朝鮮、台湾、ベトナムの3方から攻められるんじゃないかとビクビクものだったわけでしょ。(チベット方面もある)

その後、いわゆる「自由主義」側というかアメリカ側というか、当時の言い方でいえば帝国主義の側が、インドネシアは取ったが、ベトナムを落として、朝鮮を引き分けた、みたいな感じで80年代を超え、アフガン戦争があって、その後ソ連がお終いになる時が来た。ここで、いわゆる社会主義陣営は敗北したのだということになった。

中国がもったのは、回りでずっと長い戦争があったからとも言えそう。そしてその収集のためにアメリカが中国に譲歩し、そこから発展ルートに乗ったんだから、なかなか凄い身のこなしとも言える。

その意味では、北朝鮮が、1カ月ぐらい前、アメリカに譲歩しまくる中国を強烈に批判したことは理解できる。

ロシアには特に苦情を述べていないし、むしろ互いに理解していると強調しているようなことを北は言っているが、中国に対しては2週間ぐらい前、長い間こうやって俺らがかんばってたことを忘れて、お前らと来たらアメリカに譲歩しまくって恥ずかくないのか、お前らがはじめて核兵器を持った時誰が最初に賛成したと思ってんだ、キッシンジャーの訪中を白旗をあげていると言ってやたのは誰だか忘れているのか云々、みたいな物凄い檄文というか特大の非難を中国に向けていた。実際これもそうでしょう。現在の中国は強くなったけど、混乱していた時代のことを考えると北朝鮮の言い分には理はある。

北朝鮮外相とTASS通信のインタビュー

北から見たら、ロシアにも苦情はあると思う。お前がふらつくからこないになっとるんや、と思ってると思う。でも、ソ連は、倒されたというより、内部統一を失って勝手に倒れた、その過程でたっぷり敗戦を味わった側だから、北は温情をかけているのだろうかという気もする。凄いね、北朝鮮。いやしかし、倒れず立ってるわけだからそう言えるとも言える。プーチンが何と言うか知らないけど(笑)。


で、現状は、この先のグルーピングでまた揉めているということなんでしょう。

しかし、よく考えてみると、別に最初からイデオロギーで対立しているわけではないし、そうする必然性もなかっただろうにな、とか思う。

つまり、いわゆる「自由主義」側、なんなら金持ち側が、李承晩だのジエムだのという人望のない人を持ってきて旧利権層の利害を温存するみたいなことをしなけりゃもっと上手くいっただろうに、など思うわけですよ。なんでこの人たちってこういかにもダメな奴をトップに持ってくるんだろうか。最近のイラクのクルドのバルザイとかもだらしないおっさんだし、コソボ、ウクライナはマフィアとナチという冗談のような奴らだ。金になびいて大多数の国民を裏切る奴しか使えないという法があるのだろうか、the West には。

あと、朝鮮戦争の成り行きを見ていて思うのは、米軍は陸上戦が下手だし、混乱の最中に入って決定的な行動をして勝ったこともなかったので、人々の反抗に本質的に恐怖を覚える集団なんでしょう。だからこそ、バカみたいに火力を投下して、人も物も一緒に殺すという作戦に出てしまう。コントロールする意思もの能力もなかった。その意味で、覇者の資格はなかった集団なんだと思います、私は。(よく考えてみれば当然なんですよ。ユーラシアの大国じゃないんだから)

 

■ 引きこもりが価値を生んだ

で、この間の日本のことを思うと、考えれば考えるほど、あるいは知れば知るほど、日本の立ち位置は相当微妙だったんだろうなというところ。

つまり、すわ冷戦だ、ということは対中ソで俺らは生き延びられる、よーし俺はアメリカ様につくぞ、といきなり思えた人々もいたことはいたのだが(主に軍関係者、そして岸信介)、一般人の理解としては、例えば、南ベトナムを支援する気になれたのだろうか?

あれは普通にフランス、イギリスが旧来の利権を主張して、日本の敗戦後独立を宣言したホーチミン率いるベトナムを切り崩していったという話ですよね。

これに対して、日本人の元一般兵士には残留日本兵という存在が知られているわけだけど、その中のいくばくかの人々の心情を支えたのは、そういうフランス、イギリスのやり方に腹を立てたからこそだったと思われる。俺らは現地民に独立を約束したのだ、といった心情も同根。(どうあれ日本のためのスパイという人もいたのかもしれないが)

インドネシアでも同様。中国は若干別の理由ながら、でも基本線は一緒だと思う。

残留日本兵

ということは、これらの人々は別に思想的に赤かったわけではまったくないが、結果として赤い方に味方することになっていった。(ここで戦われているのは意識的には反・帝国主義戦争みたいなもの?)

あと、これは現在かなり相当に厳重なタブーになっている気がするのだが、パレスチナ側についた日本赤軍の一部の行動もこれに連なると考えるべきなのかな、とも思う。

それに対して日本の一般国民はどういう態度だったか。基本的に多くの人は経済の復興以外に特に興味はなかっただろう。もともと大陸の複雑な関係線の中で生きて来た民族ではないから、離れたことでむしろホッとしていたでしょう。しかし、じゃあそれでアメリカ頑張れ、フランス植民地奪還しろ、と思ったかというとそれは相当に微妙。毛沢東万歳の人たちがいたことも知られている(これは日本には限らない。結構世界的な現象だと思う)。

ということは、少なくとも70年代ぐらいまで、日本は、全体としてみれば、到底対米従属の国ではなかったし、周囲もそうは見てなかったのではなかろうか。アメリカは、日本人の動向から考えて、いつかアジア側に立ったら困ると心配している側面さえあったと思う。

表面的、あるいは公式には、吉田内閣が頭を垂れて米の言うことを聞いているわけだが、1960年ぐらいまでというのは1945年からまだ10年、15年しかたっていないわけだから全体として実践の体験者がまだ若い。こういう人間のボリューム感というのは、外からの少数者支配にとっては恐怖でしょう。

 

で、立ち位置によって異なるだろうが、アジア諸国一体で、戦後、日本は悪くないと言った人があるとすれば、それはこのあたりの「意」を汲んでのことではなかろうか。

つまり、いろいろあったが、心情的に、英米のやり口に付き合いたくないと日本さんだって思っているんだろう、しかし彼らも今は占領されている、が、よく見て見ろ、彼らはアジアに銃を向けはしないのだ、みたいなところに価値を置いていたんじゃないのかしら。

逆のことを考えてみればいい。南朝鮮に兵を出し、南ベトナムに兵を出して、欧米と共に北に侵攻して大陸側を切り取ってわが物とせんとしていたのなら、それがつまり大日本帝国の真の意味となり、奴ら(日本人)とはそういう人々なのだという評価が確定していただろう。

本当をいえば南朝鮮には出兵していたし、台湾にも軍事支援しているし、沖縄の基地なくしてベトナム戦争は戦えない。しかし、本筋において日本は引きこもった。引きこもりはそう簡単な決断ではない(米に付く方が簡単だったとも言えるでしょう)。それを日本は実行した。そしてこれが戦後日本の新しい価値を生み、その反射として全体としての日本に対する感情を緩和していたことだろうと思う。

ということを考えて来た時、現在、ネトウヨあたりが盛んに1945年までの日本軍の行動が称賛されたかのようなことを言ってまわっているのは、おそらくプロパガンダ、それも特別に悪質なプロパガンダではあるまいかと私は考える。


 


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2 コメント

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『グルカ傭兵国は拒否した日本』 (ローレライ)
2017-11-08 14:42:19
『グルカ傭兵国は拒否した日本』と言う『戦後の民意』を忘却させて『グルカ傭兵国』にしたいのが『現在の日本上級国民政府』。『カースト制化した日本』。
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まさにグルカ兵 (ブログ主)
2017-11-08 15:23:40
東インド会社の傭兵ですから、まさにグルカ兵を指向しているという、まったくもって驚愕の時代ですね、ほんと。
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