これはなんか凄い。
天皇家と安倍政権が対立!? 護憲姿勢強める天皇・皇后を首相の側近が批判!
http://lite-ra.com/2014/11/post-605.html
それは、安倍首相に対して発せられたとしか思えないものだった。10月20日の誕生日を前にした文書コメントで、美智子皇后が「来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい」という質問に、こう答えたのだ。
「私 は、今も終戦後のある日、ラジオを通し、A級戦犯に対する判決の言い渡しを聞いた時の強い恐怖を忘れることが出来ません。まだ中学生で、戦争から敗戦 に至る事情や経緯につき知るところは少なく、従ってその時の感情は、戦犯個人個人への憎しみ等であろう筈はなく、恐らくは国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場があるということに対する、身の震うような怖れであったのだと思います」(太字、ブログ筆者)
で、記事の考えとしては、このご発言は、おそらく安倍政権がやっていること、殊にいわゆるA級戦犯とされた方々を「昭和殉難者」として慰霊する法要に安倍首相が参列して彼らを「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と賞賛したという行動に対するものではないのか、という。
つまり、国と国民という、個人を越えた所のものに責任を負う立場、として責任を取った人たちを一般人と同じ立場に引き戻すということについて、深く考えているんでしょうか、現在の政権は、という意味だろうか。
とりあえずこのご発言は本物なのかを確かめようと宮内庁のサイトに行ったら、本当にありました。
皇后陛下お誕生日に際し(平成26年)
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h26sk.html
拝読させていただき思うに、安倍首相のいちいちの行動というより、現在の日本人はこの戦後というのをどう考えるのかについて、現在のトレンドをおそらく危惧 されているように思う。この感じは過去数年か、いやもっと前から両陛下のご発言から私も思うところがありましたので、上の記事のA級戦犯の下りは、ついに ここまで来たかという感じで受け止める。
皇后陛下のお書きになったものを読むと、大陸から引き上げた方たちや、民間船として徴用された船舶が非常に多数あったお話とか、要するに戦争を遂行し、それを終わらせるにあたって苦労をした民間人、一般人、つまり国民をねぎらってらっしゃる。
A級戦犯の語と重ねてみるに、戦争を遂行した責任者ではない人々と責任者を分けて考えるべきではないんですか、本当にあなたそれでいいんですか、国家を背負うというのは思い任務なんですよという示唆を投げかけてらっしゃるとも言えると思う。
一 般に立場のある人(ましてご皇室のような存在では猶更だが)は、直接的には言うと角が立つので、読み手が、言及されていないもののうちから、あるいは条件 を全部満たすと残るのは何か、みたいな読み方で意図を見出すように工夫されて発言されるものと思う。その点から考えると皇后陛下のご文章は、もう一歩明瞭 の方に踏み出しているように思う。切迫感をお持ちだということでしょうか。
■ 「右派」の反応
両陛下がリベラルな考えをお持ちだというのは、今では誰も疑問を持つ人はいないでしょう。で、一般人はそんなに違和感なく、むしろその寛容で徳の高いあり方がとても好きで、であるからこそ現在の皇室の人気は高いというのが私の観察なのだが、実のところ、日頃ご皇室と共にある日本国は云々という方たち は、こういうリベラルな両陛下を快く思っていない。というより、私の観察では、無視してる。
チャンネル桜の水島さんなんかが典型だと思うけど、今上陛下のお人となりではなく、「天皇陛下」を尊敬し、「天皇陛下」と共にあることが嬉しい。そして天皇とは公なのだ、なんて言っちゃう。
せ んじ詰めれば、昔の国体論の中にすっぽり入ってる。そして、敬して遠ざけるが故に象徴天皇論を言う人たちよりも、自分の考える天皇像を随意に生身の天皇陛 下に投影している、つまり対象化してしまっている(かくあらねばならない存在に固定している)という点で、そっちの方がずっと図々しく、かつ、人として無 礼だという点に全然無頓着だったりする。
ついに、こんな人が出てきていたのねぇ~と感慨深い。
今年4月、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめるなど、安倍首相のブレーンとして知られる憲法学者の八木秀次が「正論」(産業経済新聞社)5月号で 「憲法巡る両陛下のご発言公表への違和感」という文章を発表。そこで、天皇・皇后に安倍内閣の批判をするな、と説教をしたのである。
「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」
「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」 (太字、ブログ筆者)
googleしたところ、
憲法改正は対立のあるテーマだ。その一方の立場に立たれれば、もはや「国民統合の象徴」ではなくなってしまう。宮内庁のマネージメントはどうなっているのか。参照
という文脈でこの発言があるようだ。つまり、この方は、両陛下のご発言を自分は気にいらないので宮内庁は陛下を管理しろと言っている、と。ビジネスと同じ感覚で皇室を語る人が政権のアドバイザーというのはなぁ・・・。昭和の人は天皇について一般に辛辣だった人も多数いたけど、しかしそれにも拘わらず一定の尊敬は絶対あり、その辛辣さはむしろ過度の愛着の故であったように思う。しかしこの人にはそういうものがない。誰、あなた、みたいに思っちゃうなぁ、私は。
皇后さまが書かれた文章を2度読んだけど、私は、皇后さまよくぞおっしゃってくださいました、という感じがしている。戦中戦後を生きた私たち、という視点を忘れずにいらっしゃることに感銘を受ける。
それは「平和」というものを無上の価値とされているのだと考えます。
それは安倍内閣としても変わるところがないと思います。
陛下の間違いは「改憲」=「平和を乱す」というふうに理解してしまっているところにあるんじゃないですか?
それに、やはり改憲派の数はもはや無視できない状態であり、改憲を是として選挙によって自民党が第一党になっているわけですから、陛下もお立場をお考えになってもよいのではないですか。
なので、八木さんの言われることは小生には十分納得できるし、勇気ある発言と思います。
何もかも陛下のおっしゃる事は正しい、とか半藤一利みたいな「天皇陛下は無謬である~!」式の感覚こそ嫌悪しますね。
あと、「改憲派の数はもはや無視できない状態」とおっしゃいますがどのような憲法なのかによっては、変えない方がマシだ、ということだってあると思います。要するに契約内容が詰められていないのに改憲が先に走ってることへのウォーニングを投げられる人は必要じゃないですかね。
さらに、やっぱりタイミングは重要だと思います。私は戦前の日本が失敗したのは、欧州各国+米の投げてるシグナルをことごとく無視したことが大きいと思ってますので。