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「クルド&新中東マップ」のドン詰まりかなって感じ

2019-10-14 09:17:11 | アジア情勢複雑怪奇

シリア軍が、トルコが侵略してきた北東部に向けて動く模様。

https://www.rt.com/news/470859-syria-army-turkey-agression/

Syrian Army to enter several SDF-held areas in northern #Syria to protect against Turkish offensive

https://twitter.com/TheArabSource/status/1183578073280720896

 

他方、静かな動きだし唐突感はないわけだが、ロシア空軍はイドリブをこの地のものとしては結構な大きさで攻撃中。

Russian Air Force unleashes major overnight attack in Idlib

https://www.almasdarnews.com/article/russian-air-force-unleashes-major-overnight-attack-in-idlib/

 

ここの取り組みを見る際に忘れちゃいけないのは、

ロシア、イランは、シリア国に頼まれて、招待されて、承認されて、共同でシリアに入り込んだ他国の、または他国の支援する軍事組織を壊滅するために軍事行動を行っている。

アメリカ(またはNATO諸国)、トルコ、イスラエルは、シリア支配を目論む全くの侵略者。こっちはillegalである、とアメリカの主流メディアは決していわず、逃げ回ってるがこれこそ大事な違い。(しかし、アメリカ国民の多くは既に気づいている)

2015年当時は、米露の代理戦争だとか抜かしてましたね、各紙(シリア:アメリカは誰を代理しているのか?

 

現状はこんな感じの現地。トルコが正面きって侵略行動を起こしているので非難されるのはもちろん重要で、当然そうあるべきだが、問題なのは、トルコだけが侵略者じゃない、ってところですね。

また、別に庇ってるわけじゃないですがトルコの今般の侵略行動は、無軌道にシリアに向かって突っ走ってるんじゃなくて国境線上の道路、中でも一部の区間120キロぐらいを集中的に叩いてクルドがトルコ国境線にずらっと支配的にならないようにぶち切ったって感じ。

「turkey kurds」の画像検索結果

 

そして、この図のイラクがイラクじゃない、ってことですね。つまりそこは米軍支配下で、ここからシリアをコントロールしようという野望こそここの問題。クルドはそのツール。

ISはオバマ&CIAのツールで、クルドは米軍のツールというのが基本形でISはほぼ潰されたことになってるが、片方は現地民だから潰せない。

ISとクルドはそれ自体仲がいいわけではないし、そうなる義理もないもんだから、2015年、16年ごろには成り行きで敵対して戦闘してたこともあった。これはつまり、アメリカの2つの代理人が戦闘しているという実に実に馬鹿げた、アメにとってカッコ悪いにもほどがあるという状態だったこともある。

U.S. Proxies in Syria Are Attacking Each Other
By Daniel Larison • February 20, 2016, 12:10 PM
http://www.theamericanconservative.com/larison/u-s-proxies-in-syria-are-attacking-each-other/

 

トランプは今になって、俺たちはISを倒した~とか言ってますが、ISはアメリカが作ったんだし、ISを倒す倒すと嘘ついて実はシリアのインフラを破壊していたのはとっくの昔にバレバレ。だから、ロシア軍がISとその支援者が作っていった各種の施設を、ごくごく小さい空軍のユニットで6週間で壊滅的にぶっ壊した時、つまり、マジで「テロとの戦い」をした時、この地における「テロ創出国家」であるアメの顔はなくなった。

なくなっているのに、アメリカ国内の左右を問わずの国会議員だの、シンクタンクだのの研究員だのという人たちが全く態度を変えない。ここが現状最も問題なわけです。しかし、彼らに外交方針の再考を促しても促しても促しても、もう無理。

つーことで、現地のパワーたちが会合しつつ、何かやってると思ってみてればいいかな、と思う。

 

■ クルドはどうするつもりなんだい

で、これは結局、シリア内のクルドがアサド率いるシリアの中に入ることにしませんか、どうですかという話の続きだろうと、先週書いた通りまだそう思う。

次の動向は、シリアのクルド人はどうするのか、でしょうね。

これはもう、前にロシアのロスネフチ(石油屋)が出て行って、クルド支配地域の油田開発をもちかけた時に、クルドは折れればよかったわけだわな、としかいいようがない。

シリアの中で身の立つようにしてやるから馬鹿なことは止めろ、ってのがこの提案の意味だったでしょう。

しかしあくまでアメリカ(というか、実際にはイスラエル系だと思うが)に着いて行って、アメの方は守りきれず、撤退となりました、従いまして、クルドは今回も盛大に馬鹿をみておりますといったところ。

米シリア北東部から撤退、トルコ軍爆撃開始

 

トルコの考えはずっと一緒。シリアをクルドの本拠地にされちゃかなわん、という話。つまりアメリカ支配のイラクから続いた恰好でクルドを隠れ蓑にして中東の地図を塗り替えたい勢力とはこれ以上一緒にできません状態。

それが誰かって、まぁしばしばネタニヤフが~とか言われてるけど、まぁ普通に、中東地図を塗り替えたいネオコン/ネオリベ一式、みんな一緒でしょう。

つまり、ペンタゴンはトルコの敵

しかし、CIAはトルコの味方。

というわけで、実はトルコにとっては、ロシアだのシリアだのよりも、アメリカの一部がクルドを表だって支援しているという状況が一番の問題でしょう。

最終的にトルコが気にし続けているのは、本当はISもシリアもロシアもどうでもよくて、クルドでしょ?

他の問題は単なる冒険だけど、クルドの問題はトルコの分断に即つながる問題だから。

シリア:停戦できるのか 51:49:0(4)

 

■ クルド&新中東マップ

そのクルドさん。ピンクのところがクルド人の分布図。圧倒的にトルコ領内が多い。だからクルドを隠れ蓑にしたペンタゴンというのは、トルコにとっては分離派を焚き付けられてるのと一緒ということになる。

「kurdistan」の画像検索結果

 

その上で、こんな図を2006年にNATO関係者が大っぴらに使って、それを「新中東」などと呼んでいたことが知られている。もちろん、トルコは大激怒。

Free Kurdistan(自由クルディスタン)というのが見えますね。もう1つはシリアを1/3ぐらいにしてイラク側にスンニ派の領土を作ろうってのも見える。また、シリア北部の港が奪われてる。

「new middle east map」の画像検索結果

 

こっちが現状。

「new middle east map」の画像検索結果

 

■ まぁ冒険だったなと

ということなので、このマップ、あるいは、アメリカ好みに国境線を引き換えるという戦略というより願望は、現地を混乱させ、最終的に現地大名群に拒否されました、といった感じが現状と思ってみてるとそう間違ってないんじゃないかと思う。

シリアに関しては、基本的に、オバマ時代のNATO諸国が異常に入れ込んでたことが実に問題だった。

シリア国内に勝手に石油の取り込み施設を作って、道路引いてそこからトルコに運んで輸出する恰好を作ってたことが名高い。

これですよ、これ。

 

その石油を買っているのはG20諸国の中にもいるとプーチンに言われてみたり、ロシア軍にそれらの関連施設をぼこぼこに空爆され、ISをカバーに石油を売って儲けてたのがエルドアン一族だとばらされたのが2015年。

勝手に他国内に普通にしっかりとしたインフラが作られていた(笑)。もちろんトルコだけじゃないNATO各国は共犯。

露国防省のブリーフィング エルドアンとISの関係を暴露

ロシア国防省、エルドアンとIS問題の資料を出す

 

しかし、オバマ政権だけの問題でもないでしょう。単に、ブッシュとオバマは、硬軟取り混ぜて同じ作業に従事していたって話でもあり、NATOの東方拡大という名の東方侵略構想だったなという話でもある。

そして、その行動が暴かれても暴かれても、ナチ・リベラルのメディアが、プーチンが~、プーチンが~のオンパレードで交わしてきた。

オバマが任期末に、ロシアとの関係を滅茶苦茶にしていったのもわかるというもの。なんとか、まだ盛り返せるチャンスもあると考えたんでしょう。

 

■ 裏切者

で、米国内はそれでも揉めているわけだけど、米(NATO)がかついだ自由シリア軍とかシリアのクルドとかが、トランプがシリアを撤退すると言ったことを、裏切りだ、裏切りだと語り、それをCNNなどが拾ってる。

要するに、トランプ叩きにしようという魂胆も見える。

結局、クルドをはじめとした現地人たち、あんたたちどうするつもりなの?このままCNNだのワシポだのの論調を真に受けてると要するにツールを出ないわけなんですよという問題が横たわってるのが、これでもかと見え始めたとも言えるでしょう。

そして、SDFやらシリアのクルドはアサド政権と話し合って和解する可能性もあるわけで、ロシアがそれを仲介しているが米とその仲間たちがこれを妨害しているんだろう(そしてクルドのリーダーなどはそっちに付いて行っていってしまう)という構図も既に指摘されすぎるほどされてる。

そういえばここ数日のzerohedgeにも出てた。アメリカ人ももういろいろ知ってる話ですからね、このへん。

Indeed according to a number of reports, the US coalition has for months been blocking attempts of SDF and Syrian Kurdish political groups to negotiate and potentially reconcile with the Syrian government, which would have been essential for the Kurds withstanding the current assault. Now with the sudden withdrawal of US backing against the Turks, the SDF is all alone with no external state support of anyone.

https://www.zerohedge.com/geopolitical/france-germany-halt-arms-exports-turkey-eu-wide-ban-considered

 

ということで、シリア、クルド、トルコのそれぞれの出方に注目ですね。だってその人たちのこの先の話ですから。

 


 

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