週末にかけてミュンヘンでセキュリティー・サミットが行われていた。それにあわせてギャロップ他が行った66か国を対象としたアンケートがなかなか面白い。Bloombergに出ていた。
Four NATO Nations Would Pick Russia to Defend Them If Threatened: Poll
https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-02-17/melania-trump-s-slovenia-would-pick-russian-over-u-s-protection
質問は、
誰があなたの味方か?
軍事危機が起こった時、あなたの国の最も好ましい同盟国はどこですか?
青がアメリカ、水色が イギリス、薄い水色がインド
薄いオレンジが米/ロシア、ピンクが中国、濃いオレンジがロシア
記事の中でもハイライトされているように、ポイントは、
- ロシアは中国を、中国はロシアを最も重要な同盟者と考えている
- トルコ、イラン、ブルガリア、ギリシャ、スロベニアがロシアを選んだ
- トルコ、ブルガリア、ギリシャ、スロベニアの4か国はNATOなのにロシアを選んだ
あたりでしょうね。
(1)は、中露は同盟してないですが事実そうだってのが日々確認されている今日この頃ってところです。
(2)は、トルコは新しいけど、ギリシャ、ブルガリアがロシアよりアメリカを選ぶというのは最初からわかりきっていたこと、って感じですね。だってこの両国にとっての脅威はトルコですから。
Bloombergの記事ではハイライトされていないけど、トルコでロシアと答えた人がNATOと答えた人より多かったというのが、実のところ西側さんチームにとっては最も憂慮すべき事件でしょうね。
(多分、ここから各種NGOが活躍して、次のアンケートまでにはなんとかする、とかいうバカな取り組みが活性化すると思う。馬鹿々々しいけどでもやると思う。ウクライナでもさんざんやってた。)
さらに、米/ロシア、となっているのはウクライナ、イラク、ラトビアで、これは両方好きよというより、両方に割れているという意味。ただどのぐらいの数値で割れているのかはこの記事では不明。そのうちギャロップのホームページに正式なのが出るだろうからその時になったらまた書きたいと思います。
イギリスという謎の答えは、アメリカ。アメリカにとって最も頼りになるのはイギリスと答えるというのも、歴史的に考えればヘンな話なんだけど、これはアメリカが頼りにしているというより、アメリカに最も敵対してこないのはイギリスだ、といえばなるほどとも思う。そもそも、アメリカと英グループ(イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドがいわゆるファイブ・アイズで、ここだけが本当の情報共有をしていると考えられている。
というわけで、ここからわかることは、私のまとめですが、
- 過去20年ぐらいのNATOの東方拡大によって、中露同盟ができた
- NATOは巨大になればなるほど周辺部に矛盾を抱えて結束できなくなっている、
ということですかね。
そして、根本的な問題は、
- NATOはソ連と対峙しようとして作ったが、ソ連側のブロックのワルシャワ条約機構はとっくに解散してる。
- それをNATOは平和のために使うのではなくてチャンス到来と捉えてほとんど騙しのようにして東欧諸国をNATOに入れ東方拡大した。
ウクライナ動乱:NATO東方拡大問題
http://fanblogs.jp/dtj3/archive/11/0
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中露も大きいけど、イランも大きいですね。あとモンゴル。やっぱりカスピ海っしょ。ここでイランが上海側に加わったことで、内陸側がほんものの内陸になっているような恰好。で、このグループはロシアがミサイルもの全般に強いってのが非常に効いてるなとも思います。