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シリア:停戦できるのか 51:49:0(4)

2016-02-23 01:56:04 | 欧州情勢複雑怪奇

シリアは停戦できるのかの続き。

今日はシリア南部ダマスカスの自爆テロが恐ろしい被害者を出していた。

全般的には先週までと変わらず、やっぱり注目されているのはトルコでしょうね。もちろん金だしえる、リソース出しててるイスラエル、サウジの問題だけどトルコが隣接シリア向けの出入り口になっているということが実に実に問題だから。

さてそのトルコのエルドアン大統領は他国領土にテロリストを送り込んでもOKから一歩進んで、どこであれ世界中に踏み込む権利があるのだと主張した模様。

エルドアン大統領、トルコ軍が外国で軍事作戦を行う権利を主張
http://jp.sputniknews.com/politics/20160222/1655450.html#ixzz40uvdx6YM

「トルコにはシリアなど、トルコに脅威をもたらすテロ組織がいる諸国において軍事作戦を行う権利を有す。この状況で自分の領土保全を守ることのできない国の主権については言うに及ばない。どこから脅威がこようと、それはどうでもいい。トルコがテロリストを前にして自分を守る権利は誰も阻害できない。トルコにこの措置をとるなとは誰もいえない。」

これは理念的にはわからなくはないですが、テロ組織が存在する諸国に自分が出て行って勝手に入って戦うというのは、自衛を根拠に侵略行為を繰り返します、という、ああ、昔に戻るの、ねぇ・・みたいな感じ。でも、ある意味でブッシュは正しい宣言でもある。

で、問題は、自作自演で相手国を混乱させて、その上で自衛を宣言するってどうなのそれ、でしょうね。

もう、まんま関東軍を思い出さずにはいられない。いやしかし、関東軍ってプロト・ネオコンでしたね、しみじみ。ナチもそうだけど、でもナチより類似性高いかもしれない。

■ CIA vs ペンタゴン

前から、シリアでアメリカは割れているようだと書いてきたけど、どうもそれが準メジャーな言論空間でもだんだん普通に語られはじめているっぽい今日この頃。

昨日見つけたのは、しばしば書いてるアメリカン・コンサーバティブのウェブ。


U.S. Proxies in Syria Are Attacking Each Other
By Daniel Larison • February 20, 2016, 12:10 PM
http://www.theamericanconservative.com/larison/u-s-proxies-in-syria-are-attacking-each-other/

アメリカの代理人同士がシリアで互いに戦っている

CIAが武器を与えて訓練してたやつらがクルドYPGから攻撃されている、で、YPGはペンタゴンが武器を与えて支援してるやつらだ、つまり、CIAが支援しているやつとペンタゴンが支援しているやつらがシリアの現場で敵同士で戦ってる、というリポートを引用しながらあきれてる。アメリカのシリア政策は joke だと言い切ってる。

何度も書いてますが、American Conservativeは共和党支持者の集まり。パット・ブキャナンなんかが作ったグループといっていいんだと思う。こういう人たちが一貫して存在しているのが共和党なんだと知っておくのは重要だと思う。

で、シリアの話に戻って、アメリカの軍、治安当局がどうも割れてるってのはずっと前から一部では観測されていたけど、表にいる人たちの言論に載ったのは珍しい。

ざっくり言えば、CIAのアセットがアルカイダ系他その他多数のテロリスト、ジハードってな人たちで、それに対してペンタゴンは前からクルドを仲間扱いしてたので、こうなる。

そうするつもりなのか。誰もわからない。

■ ここにトルコが絡む・・・

で、ここにトルコが絡むとどうなるのか。

トルコの敵はクルド。

クルドが現在戦ってるのはIS。この意味においてクルドはアサド政権の敵ではなくむしろ仲間。そしてそれをペンタゴンが支援する。ということは、クルドは、ロシアとペンタゴンから支援されている。これはつまり、ロシアとペンタゴンはここではまったく敵ではないということになる。

つまり、ペンタゴンはトルコの敵

しかし、CIAはトルコの味方。

というわけで、実はトルコにとっては、ロシアだのシリアだのよりも、アメリカの一部がクルドを表だって支援しているという状況が一番の問題でしょう。

最終的にトルコが気にし続けているのは、本当はISもシリアもロシアもどうでもよくて、クルドでしょ?

他の問題は単なる冒険だけど、クルドの問題はトルコの分断に即つながる問題だから。

という事を考えた時、去年ロシア機を撃墜した頃から、トルコって自分で墓穴を掘ってると思ってる私がいる。

 

■ そこで新中東地図

そこで10年ばかり前から密かに出回っている新中東マップなる謎の地図が改めて思い起こされる。

で、この中でいえば、クルドはやっぱり一番強く独立に至る可能性が大きいんですよね。なぜなら、クルド人、アルメニア人はむしろトルコ人よりも正統なこのへんの人々だから。オスマン崩壊後、アルメニア人、ギリシャ人という大集団を外におい出したけどクルド人がそのままになっちゃったってところが問題のはじまり。

「新中東」マップの話はここ。(物置に入れてあります)

 

で、シリアを3分割して、クルドに割く分とスンニ派の旧イラクにしちゃって、それを入れることで、イラン-イラク-シリアというシーア派ラインを避けたかった、って感じなんでしょう。

そういうわけで今後はアサド体制のシリアがどこまで領土を回復すると主張するのか、ってのが密かなテーマなのかな、って気もする。もちろん国際法的には現在のシリア政権は全部と言っていいんですよ。が、しかし・・・ってことになるんじゃないのかなと想像。

しかし、いずれにしても上の地図の通りにはならないに3000ルーブル、って感じ。

 


 

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2 コメント

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トルコの自滅作戦 (ローレライ)
2016-02-23 07:52:50
『新中東地図』は『トルコの自滅』が前提になるので『トルコの愛国者』はエルドアンの自滅作戦に抵抗する事になる。
返信する
トルコ (ブログ主)
2016-02-23 19:24:53
でも「トルコ」の愛国者は「東トルコ」(クルド)をどうするつもりなのか、が問題でしょうね。

オスマンはロシア帝国にぼこられて崩壊した。そのままそれまでと同じような地域住民の攻防にしておけば今頃現在の「トルコ」はなかった。つまり、現在のトルコとは西側の所産。
返信する

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