何を話したのかものすごく知りたくなる会談が行われていた。
US attempt to ‘lecture the Pope’ before Putin meeting a ‘big responsibility’ to take – Kremlin
http://rt.com/news/266434-pope-putin-vatican-meeting/
私としては、
プーチン「まだやるの?」
法王「いやまぁ、俺の代でやめるってわけにはいかんし…」
プーチン「ふ~ん。大変だと思うよ」
だと面白いなぁ。プーチンの含み笑いがかわいいというか、怖いというか。
この会見が行われたのはプーチンがイタリアを訪問しているから。イタリアの首相に会って、ベルルスコーニにあって、法王に会うという、なかなか楽しそうなツアー。ミラノのエキスポに行ったところの映像が出ていたけど、プーチンが本当に楽しそう。
法王との会見は、単なる一国の代表者がご挨拶しました、みたいな感じで取る向きも多いかもしれないけど、でもウクライナでの紛争を前に、西ローマ教会の代表者と正教会の第一の守護者を任じるロシアの代表者が会談するというのは、ひょっとしたら当事者の会合だっていう示唆がある。というか、マジでそうかもしれん、という恐れすらある。
まず、過去500年ぐらいで考えてみればわかる通り、西ローマ教会には東方拡大の傾向がある。押してるのは西から東であって逆ではない。だから、上で、プーチンが「まだやるの?」って言ったら面白いなと思ったわけ。
で、現実にウクライナ西部のいわゆるウクライナ正教会・キエフ総主教庁というのは、正教会と名乗っているけど、このユニットは、正教会全体からは承認されていないし交流もない。
しかしながら、ウクライナ正教会・キエフ総主教庁は、モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会を含む、他の全世界のコンスタンチノープル総主教座との一致にある教会からはまだ承認されていない[6]。また、ウクライナ正教会・キエフ総主教庁はキエフ総主教に率いられているが、同教会のキエフ総主教位を承認している正教会は存在していない。(wiki)
これはつまりモスクワ総主教側、つまりロシア側のいじわるなんじゃないかと私は最初思っていたんだけど、しかし、キエフ側のウクライナ正教会が承認されないであろう感じもわかる、というのが私の感想かな。あまり芳しい感じがないわけです、はい。
で、現地民の推測では結局これはカトリック側の偽装だろう、みたいに思われている模様で、それならわかるなぁとか思った。結局、ポーランドあたりをカトリックにする時もいろいろあったが、現在のウクライナは、やり方として東方典礼カトリック教会バージョン2ですか、みたいな感じなんじゃないの?と考えてみてもいいような。
総じていえば、まぁその、西ローマ教会側が正教会を駆逐していくというのは the West への露払いになるというのが歴史でしょう。要するに、他人の文化圏、文明圏の秩序感を破壊させ、復元させないために教会等の指示系統を作る、って感じですかね。ミッションってやつですね。そういうのを含めて「まだやるの?」だとさらに面白いね。
2つ目に、折から、70年前のナチの残党というかその子孫の人たちがアメリカ、カナダでコミュニティーを作り過激な反共、反ロシア主義者となっていたという問題が既に明らかになってしまっているわけで、ということは、その当時旧ロシア帝国周辺からドイツ系との混在地、境界地で起きた、明らかに常軌を逸した行動について、カトリック教会はこれと無関係とはとても言えない。このへんで書いた通り。
冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた
ソ連はしばしばバチカンを「ファシストの伝道者」とか呼んでたらしく、おそらく冷戦下では、無神論者の共産主義者がどうしたこうしたという線で話されていたんじゃないかと想像するけど、このへんの事象 カトリック聖職者のウスタシャへの関与 なんかを見ると、そういうことじゃない、少なくともそれじゃすまない事情があったことがわかる。
ということからも、今この2人が会談して何を話したんだろう、ってのは実に興味深い。
■ 法王にも命令しちゃうアメリカ政府
興味深いからなんだろうが、その法王に対して、アメリカ政府はまたまた、いや、もはやルーチン化してると思うけど、在バチカンの米大使が法王に対してプーチンとの会談の数時間前に、法王はプーチンに懸念を示して、できればウクライナの領土的一体性について言及してくれるだろうと希望してる、みたいなことを言ったらしい。
お前なぁ~って感じだよね。一応10億人の信者を抱えるホーリーな人に向かって、よくぞそんな小国の大臣か何かに小言を言うような真似ができるものだとあきれる。やるにしても、ロシア当局にさらさら抜かれちゃうみたいなやり方をするなと言いたい。アメリカは万能感の果ての恍惚感状態なんだろうかね。裸でいても気が付かない、みたいな。
しかし結局法王さんは、人道支援が必要だとかなんとか言って、特に政治的なことは言及しなかった模様ではあるけど、何を話したのかは誰にもわからんでしょう。しかし、その結果としてロシアのRTがプーチンの含み笑い写真をトップに持ってきたという点は記憶しておきたい。
アメポチ産経新聞の記事によれば、
ローマ法王、プーチン大統領に「誠実な努力」促す ウクライナ情勢めぐり
http://www.sankei.com/world/news/150611/wor1506110025-n1.html
2人の会談は2度目で、ウクライナ危機発生後は初めて。法王はプーチン氏への表立った批判を控えつつ、欧米との協調を促した形。出迎えの際はプーチン氏が理解できる独語で「ようこそ」と語りかけた。
「法王はプーチン氏への表立った批判を控えつつ、欧米との協調を促した形」って、誰の判断なんだろうね。法王は、関係するすべての当事者が~と言ってるっすよ。
う~ん、なんで西側報道が法王とプーチン会談についてここまで気にして、狂ってるのかと考える方が面白いような気がしてきた。つまり、法王庁が過去を悔い改める→適宜ロシアに情報開示、みたいなことを恐れていたりするのではなかろうか、なんてことを想像してしまう。この法王フランシスは、前の2人と明らかに異なるバックグラウンドだし。楽しみだ。
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