DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

物が動くから金が要る、物を動かすよう金を使う

2017-09-20 17:44:21 | アジア情勢複雑怪奇

昨日のエントリーで、日本が最近のめり込んでいるらしい、アジア・アフリカ成長回廊なる地図を見ながら、

で、これによって日本はサウジ、オーストラリア、アメリカに資源を依存する構造となり、一方チャイナはオーストラリアとかも当然付き合いは濃いが、海洋勢力がなんとかして中国への輸入を止めようとする、いわゆるイギリスが得意としてきた海上封鎖が起こっても大丈夫なように、ロシアからの輸入割合をゲロゲロに増やす構造にしましたよ、と。

なんてことを書いた。

チャイナにロシアからの輸入を増やそうとする強い風が吹いているというのは、地政学的に本当に重要だと思う。

で、ちょっと前になるけど、「マスコミに載らない海外記事」さんが訳してらした最近のロシアと中国間のいわゆるドル離れの問題が安定的に成り立つ一つの大きな要素は、この風だろうと思うわけですよ。このサマリーはRTとピーター・ケーニッヒというエコノミストの対談。だから読みやすく現在起きている重要なことをよくまとめていると思う。

ロシアと中国間の金取引 - ドル離れに向けて前進?

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/--a618.html

ただ、この中では紙面の都合もあるだろうけど、基本的に、ロシアと中国間の資源取引の話が中心だが、これが大きなインパクトをもたらすのも、ユーラシアの幅いっぱいに起きている資源取引があってこそ、だと思う。

ロシアが、中国、トルコとの間で大きくて長期的な原油、天然ガスの供給契約を結んでいくことによって、その分がドルオンリーの体制から外れていく。しかも短期間のうちにやってるもんだから、サダムフセインのように潰そうったってそうはできない。そして、そこに中露が中止になって資源持ちのイラン、カタールの採掘プロジェクトを持ちかけて、地域の安定につなげていく、と。

そこから、ケーニッヒの、

予見しうる将来、通貨制度を裏付けるのは、金や他の鉱物ではなく、経済そのものだろうと予想させて頂きましょう。通貨制度を規定するのは、国家や国家連合の強さ、社会経済です。経済の強さは、単なるGDPを遥かに超えた諸指標によって規定されるでしょう。そうした指標には、教育や医療制度などの社会的価値観や、社会が環境や天然資源や紛争解決にいかに対処するかなどの行動上の価値観が含まれます。

という発言につながっていくんでしょう。

でもって、その経済を支えるのはそこに住む人々で、そこに住む人々にとって必要なのは、金というより交易だ、って話だと思う。金の都合で交易するんじゃない、交易するから金が必要なんだ、金とは所詮媒介なんだ、という着地点というかファンデーションの上にこれを画策している人々は立っていると思う。

そして、物が動くから金が要る、物を動かすよう金を使う、すなわちインフラの整備、と繋がって現在のユーラシア安定化プロジェクトがあるんだと思うな。

 

■ トルコの動向

ということでトルコなわけですよ。って脈絡おかしいですが(笑)、でも、トルコの動向はものすごく重要だと思う。

トルコとロシアは、既存のブルーストリームというガスパイプラインの他に、トルコストリームというのを建設している。(欧州側に直接乗り入れるサウスストリームをEUが止めたのでこんなことになった)

そして、トルコへの天然ガス供給国ナンバー1はロシアだが、ナンバー2はイランというのもなかなかどうしてってところでしょう。シーアとスンニのいがみ合いより共通の利害と安定の方を取っている、と。

さらに、トルコはロシアからS-400という超長距離地対空ミサイルシステムをホントに買った、と言っていいんだろうと思う。この前、もう前金は払ったと言っていた。そして、当然のようにアメリカからは非難ごーごーだし、誰だったか上院議員がトルコに制裁を課せと騒いでいる最中。

私が思うに、これはトルコにとって、一つの大きな賭けでありカードなんだろうと思うんですよね。トルコがどうしてアメリカと一蓮托生になれないかというと、クルド問題があるから。クーデーターの頃から同じテーマ。

「新中東」マップ再び+都議選

クルドを使って、シリアとトルコの間からイスラエルイラクにかけて第二のイスラエルを作るつもりじゃないか、という話。イラクも警戒している。トルコにとっては、近隣諸国と一致して外来者アメリカ(&イスラエル)を敵視するしかない状況ですね。

で、どうしてもアメリカ&イスラエル、というより、アメリカ&イスラエル&各種傭兵(含む西側参謀本部)、みたいな感じの人たちと折り合えないなら、トルコはSCO(上海協力機構)の方に参加せざるを得なくなると思う。その一歩がS-400でしょう。

足元では、ロシア(JSC Zarubezhneft)、トルコ、イランが組んで、イランで採掘事業をするというプロジェクトがあったり、そのトルコ企業が韓国企業と組んでこれまたイランにガス火力発電所を建設するプロジェクトが進んでいるらしい(ウィリアム・イングダールの最近のレポートで見た)。

トルコと韓国の動向は地政学的に非常に重要。韓国企業が結構な数ロシアに行き、わけても北極海航路の船を造ったというのは結構なインパクトがあった。

三国プロジェクトと「日本語版鎖国」

 

ああそれで、東芝の半導体を日米韓で食いましょう、みたいな話になっているのだろうか? 東芝は原発で嵌められてこの3国の共有財産になってるようなもんで、どういうことなのこれと思わずにはいられない。経産省、何かいえよって話ですよねこれは。

 

ということで、今週のユーラシア動向でした。(週刊化しようかしら)


 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大連で日本人スパイ容疑で拘... | トップ | 冷却水は「ほぼゼロ」とリベ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『韓国に売られる東芝』 (ローレライ)
2017-09-20 19:49:58
『アメリカ資本』で『韓国に売られる東芝』と言う絵で『ソウル炎上の朝鮮半島有事の絵』は消えた。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事