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トルコのクーデター:当日の感想戦

2016-07-17 00:01:30 | 欧州情勢複雑怪奇

よく考えずに一日のうちにいろいろぐじゃぐじゃ書いたけど、寝る前に一応自分なりの決着をつけておこう。いらないって ^^;

朝、まっさきに思ったことはこれ。

(1) エルドアンに我慢がならなくなったトルコ軍が思い切ったのか、

(2) ロシアにごめんなさいなんかしてるエルドアンをCIA的にお仕置きしたのか

どっちなの?ってのが現実的な判断かしらね。

 

これに対する答えは、そりゃどこまで行っても謎だろうけど、今日の私が考える限り(2)だったんだろうな、って感じ。

そう思ったのは、キーパーソンだろうなと書いたユルドゥルム氏のこの間の発言にとりわけ重要なのがあったと思うから。

トルコ政府はクーデターの首謀者をギュレン(Fetuallah Gulen)であると最初から言っているのだが、その人は現在どこにいるかといえばアメリカ。

で、ユルドゥルム氏は、

ギュレンを援助する国は、どこであろうともトルコの友ではないだろうし、トルコと戦争状態にあるものとみなされるであろう

と語った。

あちこちに出てるけど、直近のBBCの記事では、この発言を引用しながら、トルコとアメリカの関係は24時間前とは異なったものになっている、と書いている。

Fetullah Gulen, who Turkey blames for the failed coup, lives in the US. Prime Minister Binali Yildirim said any country that will "stand by" Mr Gulen "won't be a friend of Turkey and will be considered at war with Turkey".

http://www.bbc.com/news/live/world-europe-36811357

 

Turkey says US is 'no friend' for harboring 'coup planner' Gulen
Published time: 16 Jul, 2016 14:21
https://www.rt.com/news/351611-turkey-us-friend-coup/

 

また、クーデータの実行者が、軍の人であって、トルコが誇る(誇ってるのかどうか知らないけど)諜報機関じゃなかった、ってのも大事なんじゃないかと思う。

トルコは過去何度かクーデーターを成功させているけど、それらはすべてMITという情報機関が筋書き書いて実行して、ということなんだそうだ。

そこが、どうして今回クーデターに気付かなかったのかというと、トルコ人ジャーナリストが今日語ってるところによれば、エルドアンはかつては強固だったMITを内側から崩していたから、みたいだ。つまり、彼とその周辺に忠誠を誓うものに変質させていた模様。

 

■ 想像できる成り行きは多分こんな感じ

上の(2)の意図で、CIAかNATOかEUかわかりませんが(NATO/EUのような気もする)が軍を焚き付けた。もとよりトルコ軍は元々世俗的志向が強かったので、エルドアンとは必ずしも上手くいってない。だから、乗る可能性は高い。しかし冷静に考えて無謀だろうと普通は思う。しかし、ここで、もし、なんらかの強い力が後ろにあるとみえればどうなるか・・・。

具体的にいえば、トルコには米軍基地があって1500名かそこら駐在している。ここを使ってシリア攻撃に出かけてる。オフィシャルには、最近は、ISと戦っていると書くべきなのかもしれないけど(笑)。

ここが、軍の動きに警戒していないと見える行動を取れば、それは黙認とみえるのでは? もしくはもっと積極的に乗せた奴がいたかもしれないし。

このへんはどうなのかよくわからないけど、とりあえず軍の一部かかなりの部分かはわからないけど行動を起こした。

エルドアンは、上で書いたように諜報機関をしっかり握っていてそこが権力基盤を支えているので、これに気付く(どこからかの情報があったという線も捨てがたいが)。同時並行で軍の高級参謀とかを説得するなりして、政権側に取り込む、とかもあったでしょう。

で、勃発。首相は早々と、政権は無事である宣言をし、エルドアンは、報道を通して無事である旨を国民に伝え、一般人多数と警察他の治安部隊が動き、クーデター派は負けた、ということではないかと思う。
 

■ ある種の見どころ

今日のみ見どころとして、私がおおおと思ったのは、エルドアンが人々に表に出てクーデター軍と戦え、と言ったところ。

これって、もう、現在の西側各国ではほとんどあり得ない展開だと思う。だって、危ないもの(笑)。相手は本職の軍人なんですよ? ただ、国軍は基本的に自国民に銃を向けたくないから国軍なのであって、住民に囲まれると意外と弱いというのもある(売国奴の国軍はこの限りではないが)。

で、多数のトルコ人は本当に外に出て戦った。っつっても銃撃戦というより通りに出て戦車を止めて、そこから兵士を引きずりだしてぶん殴ったりという、最近どこかで見たようなことがあちこちで起きていたようだ。どこかというと、2年前のウクライナ東部。

東部ウクライナでも、キエフ軍がバカみたいに戦車を出してきて一般人の住まいするところに繰り出して、意気揚々と脅かすつもりだったんだろうと思うけど、一般人のおじちゃん、おばちゃんの抵抗にあった。怒ったおばちゃんが戦車に乗ってる若造に向かって「出てきなさい」と怒鳴って、出て来た若造に説教してた動画が懐かしい。

そういうわけで、信じられないことに、エルドアンは、ついこの間まで民主主義の敵だったんだけど、今現在は、民衆の支持を受けた強いリーダーです、になってる。

 

■ まとめ

一つ前のエントリーで書いたように、実際エルドアンは焼け太った。226のように。

しかし、エルドアン・トルコの場合、ただに焼け太っただけでなく、実は獅子身中の虫を整理したという可能性がある。

思うに、これは、長い間トルコを支配してきた限りなく西側に近い支配者層ってのを、エルドアンが排除している、少なくとも今は勝ってるという話なのではあるまいか? 

で、その場合、西側ってか、NATOはどうするわけ? 

(西側の反応は、クーデータが明らかに失敗してから、そうよねそうよ、民主的に選んだ体制こそすべてなのよ、と各国が口を揃えた、とみえるのは、ここでトルコを怒らせるわけにもいかないから、ではなかろうか?)

個人的には、エルドアンはますます評価の難しい人になってる。つか、ある意味で、これってプーチンとかスターリンみたいなポジションにいるわけ?という気もしてきた。

だって、ぶっちゃけ、トルコってオスマン解体以降なんのかんのと西側の犬の位置におかれていたわけですよ。だもんで、周辺のイスラム諸国に対して西側の犬として振る舞うことで揉めるわけだし、トルコ人の多くもそれが嫌だったのね。

だからこそ、イラク戦争の時も米軍はイラクを北からトルコ支援で攻めずに(ってかトルコの反対にあって出来なかった)、南からやったわけでしょ。それでも基地を貸してくれなかったりして、以降アメリカとトルコの間はあちこちで実はぎくしゃくしてる。

これが変わるわけでしょうか? どうなるんでしょう? 今後がますます楽しみになった。

 

■ 捕捉 (1)

エルドアンは会見で、

・軍の参謀は裏切者、軍のクリーンアップを徹底的にやる

・ギュレンはペンシルベニア(アメリカ)から指示を与えた

語っている

これは本当に大変なことになった。

 

■ 捕捉(2)

ロシア草の根の反応。

プーチンにクーデターを仕掛けられたらどうしよう、そうだ、みんなして通りに出ればいいんだ!!

となってる模様。そうだよね、最後はそれだと私も思う。そして、その通りだよ皆の衆と天国のコサックの人たちも言ってくれるでしょう。

 


 

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1 コメント

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『昨日の同志ギュレン』 (ローレライ)
2016-07-17 06:03:46
『昨日の同志ギュレン』による『拗れた離婚騒動』とエルドアン自身が意味ずけている。
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