ハンザ同盟と鉄道基軸について書きたいのはやまやまなんですが、それは後にすることにして(コメントくださった皆さん、ありがとうございます)、シリア情勢。
2日前、東アレッポの最終段階で外国軍オフィサーが拘束されたというニュースが地味に流れていた。真偽は未だに謎と言えば謎なのだが、辿っていくと発信源はシリアの国会議員のFacebookと、もう一つはちょっとわからない。
こういうことは櫻井さんが書いてらっしゃるに違いないと思って見に行ったらまとめてらしたので引用させていただきます。
シリアのアレッポを政府軍が制圧した際、反政府軍側で戦闘に参加していた14名以上の外国人将校をシリアの特殊部隊が拘束したと伝えられている。その報道によると、出身国はアメリカ、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、モロッコだとされ、名前も掲載されているが、こうした作戦に参加する将兵は偽造書類を携帯していることが通例で、詳しい調査が必要だろう。また、別の情報によると、拘束された将校はアメリカ人22名、イギリス人16名、フランス人21名、イスラエル人7名、トルコ人62名だという。
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201612180000/
そう、携帯IDによる特定は罠かもしれない。いずれいしてもこういう場合の問題はこの人たちの身柄を誰が拘束しているのか、そして尋問、引渡しはどうなるのか、でしょうね。
この情報がよくまとまっているのはこのへんか。
BREAKING: At Least 14 US Coalition Military Officers Captured by Syrian Special Forces in East Aleppo Bunker
http://21stcenturywire.com/2016/12/16/reports-at-least-10-nato-military-officers-captured-by-syrian-special-forces-this-morning-in-east-aleppo-bunker/
で、全体としては嘘、間際らわしい情報の可能性は一応あるわけですが、しかし、傭兵軍団がいる限りその司令軍団はあるはずなので、こうした類の人たちが存在することは当然推測される。だから、中身に違いはあっても、そういう人たちが戦闘の最終局面で拘束される、または全滅させられる、というのも当然予想される。
でもって、多分西側のオフィサーなんだろうなと誰しも思うわけだけど、特に、国連の特使が、わたくし目が随伴するから出てくださいと「テロリスト」に語り掛けるという一幕があったわけで、誰なのそれは、と考えざるを得なかったことも西側将校説の傍証みたいなものではなかろうか。
これらのオフィサーが最後まで抵抗していた、ある種の「ジハード作戦参謀本部」みたいな人々だったんでしょうか。
■ NATO&CIA&MI6
ぶっちゃけ、「ジハード作戦参謀本部」組織の構成がどうなっているのかは明らかにならないでしょう。
とはいえ、強く疑われるのは、NATO、CIA、MI6、モサドあたりをみんなまぁデフォルトで疑っている。このうちモサドの話は最も出ないでしょう。
で、アメリカに絞れば、CIAがマジで問題になっているんだろうなと思えるのは、デマ情報の発信源になっていることもさることながら、元CIAのアナリスト、オフィサーだったという人たちがあちこちで、シリア情勢を鎮静化させる方向で書いたり、発言したりしているからってのもある。
つまり、何が起こっているかわかっている人たちが、これは潰さないとならないと決意して、悪質オペレーションに対するカウンターインテリジェンスを提供するみたいなことをしているんだと思う。
例えば、The American Conservativeという、ブキャナンを発起人とする共和党アイソレーショニスト系のウェブによく書いている Philip Giraldiなんかもその一人だろうと思う。彼は駐トルコのロシア大使が射殺された後、素早く、トルコでのテロを恐れるな、としてトルコのロシアと和解したポジションはそのまま行くだろう、といったことを書いていた。
Don’t Fear the Terror in Turkey
Relations between Ankara and Moscow will likely continue to improve, despite the assassination of a Russian diplomat.
By Philip Giraldi • December 19, 2016
http://www.theamericanconservative.com/articles/dont-fear-the-terror-in-turkey/
Paul Pillarもコンソーシアムニュースに書いていた。今回は見てないけどRay Mcgovernなんかも同じ。ウクライナがらみではこの人が大活躍だった。みんな元CIA。
つまり、彼らは、CIAやらMI6という諜報機関が多くの場合やっているのは、ナラティブ管理、つまりこの話をどう読むのかを人々に植え付ける作業だ、ってのをよく理解している。
だから、主要メディアが偽の筋を固めてしまう前に、解毒剤みたいにして、こうも読める、あるいはそう読むな、そっちじゃない、というのを出してきている、ということでしょう。
また、イギリスの元外交官という人たちの発言も目立つ。この人たちも上と同じようにこれはマズイと思って動いているんだろうと想像。
■ インテリジェンスの政治化
Alastair Crookeというイギリスの元外交官が、3日前に情報機関の腐り具合がもたらしたと思しき現状について、失敗のまとめみたいなものを書いていた。
Politicized Intelligence Kneecapping Trump
https://consortiumnews.com/2016/12/16/politicized-intelligence-kneecapping-trump/
(中略)
インテリジェンスサービスの政治化は新しいことではないし、西側の機関がブラックプロパガンダ(つまり、偽情報を入れること)をすることも新しいことではない。しかし、今回米国の次期大統領にしかけられたような規模のものは、おそらくそれに応じた結果を伴うことになるだろう。
どうしてこうなったのか。シリアでの戦争はCIAとMI6のような機関を大きく腐らせる効果をもたらした。
まず、見かけ上テロリズムと戦うと言っておいて、ひそかにそのテロリストたちに支援をするという欺きが維持されていたことが問題。
次に、スンニ派を被害側に見立てるが米はどちらにもつかずオフショアで構えるという恰好を原則にしていたが、実際にはそのスンニ派から簿外で資金を得ている(クリントン財団の影)。
三つ目として、武装集団やその資金源が投下する偽情報を、どれほど馬鹿げていても拡大し、繰り返した。
これらによって、情報機関は、観察するという仕事を放棄して、自分たちが投資家になってしまい、捻じ曲げた現実、偽情報、次第に高まる傲慢さが織りなす迷路に迷いこんで、負けたのだ。
ということなんですが、いや実際その通りでしょう。情報機関とメディアが結託して、ブラックプロパガンダをやるのは以前からあったことだろうけど、このスケールは異常。
観察する人、リサーチャーの仕事は第三者的に見ることにあるのに、投資家、つまり利害の直接の当事者になってることが、今回の情報機関の作戦失敗の本質だってことなんだろうと思う。
現実を「メディア上の真実」に変えることで、要するに「人の認識上の真実」を真実と思わせてしまう、というテクニックを多用しすぎて、コントロールしているつもりの側も現実と偽の区別がつかなくなって、偽の現実に引きずらている、という言い方もできるように思う。
日本でよく言われている、「希望的観測」が横行してしまう状態と似てる。あれは、ただバカなんじゃなくて、自分たちの嘘の上にものを見ないと自分たちの立場がない、という状況に陥った時に、そうとしか観察できない、という実に認識論的な問題なんだろうと思う。
なんか、オウム臭くさえある。仏教は、使い方を間違うと現実と虚妄の区別をなくしまうから要注意なんだけど(あなたが信じていることは空である、ただそれはあなたが妄想しているだけだ、恐れるな、として使えば善なる使い方だけど、ここに妄想を吹き込むとそれと現実の差異も失われ、妄想に引きずられることを正当化してしまう)、現在のメディア状況はそれっぽくて怖い。
問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書) | |
エマニュエル・トッド 堀茂樹 | |
文藝春秋 |
グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書) | |
エマニュエル・トッド | |
朝日新聞出版 |
ケリーが武装勢力を解放するように懇願していた。
人数とか国籍等詳細が出ている。
この捕虜たちはお宝と呼ばれている。
彼らがこもっていた場所はリークされそこに特殊部隊がいって逮捕したようである(投降するわけいかないので何らかの取引がなされたんだと思う、激しい衝突があったとか、死者負傷者が出たという話がない)
シリアのバシャール・ジャファリ大使は、12月19日、アレッポ市の東部に14人の外国諜報部員が残っているとの声明を発表し、その名前と国籍を明らかにした。
シリアの特殊部隊がアレッポで14人の外国諜報部員を捕獲したと主張し、同じ名前が報告書に掲載された。
実数は14人以上捕まっているので、表に出せない人間も多数いるらしい。