いやいやいや、全体的に不安定な世界状況ですが、そんな中ベイルートでは大爆発が起こった。
ベイルートで大規模爆発 死者78人、負傷4000人近く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62305810V00C20A8000000/
映像がたくさん落ちているので見たけど、すごい大きな爆発。硝酸アンモニアが2700トンぐらい積んであったところに引火して最後のデカい爆発が起きたという話。
これによってベイルート港の港湾施設がダメージを受けているので、それでなくても経済危機に陥っているベイルートはさらに大変なことになることが予想される。
Deadly Beirut Blast: All You Need to Know
https://sputniknews.com/world/202008051080067996-deadly-beirut-blast-all-you-need-to-know/
■ だって変化中だもの
で、これは何なのかとつい考えたくなるわけだけど、私としてはこの話の反射かなと思った。今後何が出てくるかわからないけど当座の考えとしてメモしておきたい。
ということで、これはもう、西側の一極支配勢にとって悪夢のような成り行きではあるまいか。
東西に中国がイランを目指し、南北にロシアがイランを目指して、中国とロシアがイランで握手しましたみたいな話。
イラン・中国ビッグディール&イラン外相ロシアへ行く
中国がイランにより一層深くアプローチして、さらにロシアとイランの関係が壊れないというのは何を意味するのか。
いろいろあるだろうけど、ムジャヒディーン協賛同盟の終了という切り口で見てもいいでしょ。
1980年モスクワ五輪とムジャヒディーン協賛諸国
これを確実にしていったのが、去年2019年6月のこれ。
再び歴史的なモメントを迎えた中露 by 習
つまり、中国共産党は冷戦時代の後半にはアメリカにくっついてソ連を敵視してた。だから、日本はかなり気安く中国との関係を構築できた。ここ重要。
だがしかし、現在の習近平体制は、ソ連が中華人民共和国を支援したことを無視しない。→ 中国はもうムジャヒディーン協賛同盟ではない、と言ったとも言えるでしょう。
■ コロニアリストの敵だったソ連
で、ムジャヒディーン協賛同盟とは何かというと、表面的には反ソ連の団体なんだけど、その本意は、コロニアリストたちが東地中海から中央アジアを手放したくない、って話だと思うなぁ。
ソ連に付くと国民国家になる確率が上がる。そうなると「支配層」の力が失われる。これこそ支配層の反ソの主たる動機だと思うな、私は。特に、土地制度とか私有財産制度とかに変更を加えられることが何よりイヤなのが旧支配層。そりゃもう古今東西どこでも一緒。
20世紀にあっては、東欧がこの好例ではないのだろうか。東欧は、前にも書いたけど、一定の時間ソ連の影響下にあったから初めて一般のハンガリー人とかポーランド人、ブルガリア人の国になったと言うべきではなかろうか。
それまでは、一般住民は現地の民族だが、支配層は基本的に近代以前からのドイツ系の人たちが強かった。ブルガリアなどはまさにそれ。WWII中のブルガリアの王家はザクセン=コーブルク=ゴータ家の分家。つまり、ドイツ貴族で、イギリスやらベルギーと親戚の人たち。
だからブルガリアは、ドイツ側、すなわち私たちと一緒の枢軸国になったが、ソ連を攻めに行ってない。なぜなら、正教徒のスラブ人主体の国民がロシアを攻撃するというアイデアに大反対だったから(そんなことをしたら王家の方が潰れそう→ ソ連攻撃には不参加となる)。
これはもう過ぎたしソ連のような大きな存在はないからこういう対立が存続しているわけでもないけど、でも似たりよったりのところはあると思う。グローバリストとナショナリストの対立はそのバージョン2だと言えるかもしれないわけだし。
どうなるのかわかりませんが、
2015年末に西側のシリア侵略構想が大破綻をして、ロシアのS-400がシリアに配備された時から、東地中海は50年ぶりの大混乱中。
シリア情勢雑感と地中海に出てるロシア
■ オマケ
ロシア緊急事態省、人道支援用の機材を積んだ航空機5機レバノンに発出した模様。
Russia sends 5 planes with humanitarian aid to Lebanon
https://www.almasdarnews.com/article/russia-sends-5-humanitarian-aid-planes-to-lebanon/
移動病院、医師なども含まれているという。シリアの時と同じようにまたロシア人が苦労するんじゃないのかとちょっと悲しい思いが脳裏をよぎるけど、悪いイメージを振りほどいて、大きな幸運を祈りたいと思う。
もちろん、旧(または依然として)宗主国であるフランスもヘルプを急派。
BEIRUT: French aid and resources are being sent to Lebanon to help it recover from the deadly bomb blast that flattened large parts of Beirut Tuesday and killed dozens, French President Emmanuel Macron said.
http://www.dailystar.com.lb/News/Lebanon-News/2020/Aug-04/509857-france-says-ready-to-help-lebanon-following-blast.ashx