パリの虐殺とでもいうべき酷い有様から1日たって、世界中のいわゆる「主要紙」なるところは、ISだ~、イスラム国だ~といった騒ぎをしているけど、また犯人のパスポートが見つかるんですか・・・と引いている人も散見できる。まぁね~、ですね、これは。
で、アメリカの共和党系保守派、一般に孤立派と言われている系統の主要紙であるThe American Conservativeでは、スコット・マッコーネルがトップ記事で早くも意味深な記事を書いていた。
This Time, Fight the Real Enemy
The Islamic State is the threat to West—not Assad or Iran.
By Scott McConnell • November 14, 2015
http://www.theamericanconservative.com/articles/this-time-fight-the-real-enemy/
今度は本当の敵と戦え
ってことですよね。つまり、なんというか、その、そうなんですよ(笑)。
文書は、フランスを含む the West には、イスラム国と戦う以外の選択肢はないと思ってる、このグループが、シリアをぐじゃぐじゃにして、何百万ものシリア人をホームレスにして、欧州に途切れなく流れ込む難民を作り出した、という「事実認定」から書き始められている。
その上で、この事態は、イラク戦争がもたらした、と。
911の直後、ネオコンたちはディック・チェイニーを動かし、ブッシュ大統領を介して彼らが長いこと抱いていたイラクに対する攻撃を開始した。イラクは911と何の関係もないというのに。ISという存在そのものが見当違いの回り道に由来するところがある。米国はイラクという国を壊し、何十万というイラクのシーアスンニ派を過激化、イスラム化する素地を作った。ISの軍事指導者は破壊したイラク軍の残党だ。
というこのこの因果関係こそ大事。
で、この因果関係は、今日数多くのアメリカ人にとって別に目新しくもない。むしろ、911への疑いにまで及ばないという意味で穏当な言明でさえあるだろう。
そういうわけで、911の時のように、さぁテロ退治だ~とかいう掛け声と共に、あられもない方向に攻撃しだしたりすることを筆者は恐れているんだろうと思う。
それは、ロシアものを見ている人たちも同様の認識っぽい。
つまり、フランスというNATOの一員が「テロ行為」に遭遇したと言明した以上、加盟国はこぞって報復措置をとると言い出しても不思議でない形になってる。NATOは自動参戦が基本だから、あってもおかしくない。
もしそうなった場合、イスラム国なる実体が何なのかわからないターゲットを狙って、シリア、イラクの破壊を狙うことになるだろう、ってこと。
まぁあり得る話ではあるけど、今現在アメリカ人がそんなことで燃えるとも思えないので、無理じゃないっすか、と私は思ってるけど、なんせネオコンは道理の通じる人たちじゃないから何が来るかみなさん息をひそめているところなんじゃないですかね。
私は、アレッポを奪還されそうなことから、無茶なことしか手がなくなったってことですか、と思ってる。
しかし、昨日書いた通り、ウィーン会議は続行されたのでここに一つ、911時代とは異なる装置がありましたね。つまり、話し合いの場があった。そして、911の時と大きく違うのは、ロシアが大きく出張っているし、イランが一歩ロシア側に加担することで全体が動きにくくなっている。そして、その後ろには中国がいる。
今後も、ワシントンが勝手に決めて、来るか来ないか、来ない奴はテロリストだとかいうアホなことを言いだすチャンスがないことを祈りましょう。
ほんとの敵と戦えますように。
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いやぁ、第三世界とかなりの西側諸国では過去2、3年間幾度となく、ロシアが強くてよかった、ありがとうロシアという発想をする人がず~っといる(総数として増加した)と思われます。あちこちで表現されているのを見ますし。