緊張の高まるNATO/US vs ロシアですが、昨日はバイデンとプーチンが電話会談をした。
どうしたわけだかNHKをはじめとする日本の工作機関が記事を書いていた。
米ロ首脳電話会談 ウクライナ情勢 主張平行線も協議継続で一致
まず、「ウクライナ情勢」を巡っているという設定の仕方がプロパガンダですね。
これは、NATO東方拡大問題の最先端部がウクライナという広義ロシアの中に入っている、つまり、NATOの東方侵略行動がこれ以上出たらマジものの大戦争になる、というところまで達したことから問題が巨大になった、ということです。
したがって、問題は、NATO東方拡大問題であり、とりわけ、ウクライナ、グルジア、モルドバという旧ソ連だったところ、もしくは、広義ロシアとして存立していたところに手をかけだした決定にあるわけです。
東方拡大問題:「ほんとはずっと戦争してました」
で、
会談後にホワイトハウスのサキ報道官が発表した声明によりますと、バイデン大統領は緊張緩和を重ねて呼びかけたうえで、ロシアがウクライナに侵攻すれば同盟国と連携して断固とした対抗措置をとると明確に伝えたということです。
一方、ロシア大統領府のウシャコフ補佐官によりますと、これに対してプーチン大統領は欧米が前例のない制裁をロシアに科すことになれば双方の関係を完全に壊しかねないと警告したとしています。
一方、ロシア大統領府のウシャコフ補佐官によりますと、これに対してプーチン大統領は欧米が前例のない制裁をロシアに科すことになれば双方の関係を完全に壊しかねないと警告したとしています。
というのがNHKのまとめですが、これではどうしてバイデンがロシアによるNATO東方拡大を止めろ運動に応答しているかわからないのではないのだろうか。
そこから多分、バイデンは弱腰~、みたいな声がきっとあがっていることでしょう。
しかし、そういうことではない。これは、もし、NATO/USが東方拡大を続けるなら、ロシアとNATO/USは、正式な敵対関係になる、という構図が現前した、ということで、NATO/USの大将である米は見過ごすわけにかいかないということですね。(オマケ2参照)
もしバイデンがこの状態を是認するなら、戦争の相手方にエネルギーを供給する意味はないわけだから、ロシアは正式に貿易関係を見直すということでしょう。
それは、ロシアにとって、稼ぎ先を失うことを意味するので悪い話だが、安全保障には代えられない。では、NATO/USにとってはどういう意味なんでしょう?
となると、そうだそうだ、ロシアから石油、天然ガスなど買うのがいかんのだとかいう大声が幅を利かせるんでしょうが、ヨーロッパはロシアから比較相対的に安価で非常に安定したエネルギーの供給を受けてこれまで成り立ってる。
これを全部取っ払うのか?ということですね。また、アメリカも実のところ、ロシアから石油、天然ガスをしばしばスポット買いしていてその量は、決して小さくない。2020年は7%ぐらい(このへんで書いた)(ベネズエラから自分で買えなくしたので、余計にロシア産を買ってる。これは量じゃなくて石油の質の問題が大きい)
さらには、主要紙はほとんど言及しませんが、アメリカはロシアから原発の燃料を買っている。ロケットエンジン、チタン、etcと、実は重要産品を買い続けてきたのがアメリカ。
だいぶ前に書いた通り。
対ロシア制裁が見せてくれるロシアの多段階対応能力
つまり、ロシアを自分のところの支配下にあるエネルギーの供給先にしておく、というのが西側の戦略目標でしょう。だから、戦争するぞ、するぞ~とかいって相手(ロシア)を安定させず、いずれ軍門に下らせるつもりだった。
まぁみんな一緒。
だがしかし、そうは問屋が卸さないとプーチン率いるロシアが覚悟をし、ついに、西側は二兎を追えない状態となった、ってのが2021年の総括だと思う。
この様子は、結構見えている人が多くて、この間、イギリス人のおっちゃんはこれを「ロシアを雪の降るナイジェリアにしようとしている」と言っていた。
遡れば、確か2018年のスクリパル親子事件のあたりだったと思うけど、中国の環球時報が、西側はロシアをカナダにしたがった(言うことを聞く資源供給先)が、ロシアにはロシア人としての連帯と優秀な人たちがいたもんだからできなかった、といったまとめをしていたのを覚えている。
ということで、NATO諸国は、NATO東方拡大という名の侵略行為と域内諸国民のエネルギーから見た時の安定を天秤にかけて、現在、東方拡大を取っている、という状況。どこまで行けるんでしょうか。
状況によっては来年は核戦争でみんな一緒に死ぬ年になるかもしれないし、インフレをしかけて弱い国を困らせる作戦にでた米・欧・日の邪悪の3極が、自分のところのインフレに対応せざるを得ないことになるかもしれない、どうなるのか全然わからない年になりますね。
■ オマケ
NHKの記事が、EUのボレルの発言を拾ってるのがなかなか興味深い。
EUの外相にあたるボレル上級代表はドイツの新聞に29日に掲載されたインタビューで「ロシアがヨーロッパの安全保障の在り方などについて話し合いたいのなら、それはアメリカとロシアだけの問題ではない。EUも交渉の場にいなければならない」と訴えました。
EUなんかいなくたっていいわけですよ。ドイツとかフランスとかルーマニアとかとかの各国があれば。
そしてこのボレルは今年2月に、ロシアのラブロフ外相に、お前とは信頼関係は結べないと言われた当の本人。
EUはロシアにとって信頼できないパートナー by ラブロフ
で、EUこそ混乱の元凶だ、だいたいなんでこいつらにこんな権限があるんだと腹を立てているヨーロッパ人も少なからずいるので、EU代表がわめいても支持は集まらないのでは? EUとNATOというのが、各国から飛びぬけた存在になっているところが現在のヨーロッパの混乱要因。
なんだか、EUが、正教のコンスタンチノープル総主教庁みたいになっとる。正教には法王ポジションはないので、総主教とかいっても全然偉くない。むしろ、信徒がすくないので立場が弱いとも言える。にもかかわらず名前が大きいのでそれを使って勝手にふるまったというので、最大信徒を抱えるロシア正教会から、お前とは縁を切ると言われる顛末となってる。
ロシア正教会、コンスタンチノープルと断絶
■ オマケ2
わからない人が多いかもしれないので、もう一度念を押しますね、といった記事がTASSに出てた。
西側が新しい制裁だのなんだのという新しい混乱(時間稼ぎ)をするのなら、ロシア・米国間は完全な手切れになりますよ、とプーチンは言ったのだ、とウシャコフさんというベテラン外交官が言ってる、と。
Putin said new sanctions could cause complete severance of Russian-US ties - Kremlin aide
物価が上がるのは燃料価格の高騰は需給の問題であって本当のインフレではありません。
本当のインフレは通貨の価値が下がる事です。
似ている様で対策は全く違います。