北朝鮮メディアが安倍首相や河野外相を非難しているというのが話題になっている。
朝鮮中央日報が書いたものだと思う。さっき確認した。
この成り行きは中国も新華社、Global Times等々で報道している。
と、それを見ながら思うのは、しかし、安倍&河野だけでもないだろうとも思う。カナダのフリーランド外相も立ち位置は似ているんじゃないかな。
この人については、
「西側ではナチズムが生きている」カナダ編
で書いた通り。
そして、河野外相は、オルブライトの弟子筋にあたるらしい。
河野太郎外相、恩師のオルブライト元米国務長官と再会
http://www.sankei.com/politics/news/170817/plt1708170016-n1.html
で、今日は今日とてこんな記事が。
北朝鮮の漂流船は「制裁効果」=米国務長官、日本の説明明かす
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011800331&g=use
【ワシントン時事】カナダで16日に開催された北朝鮮核問題に関する外相級会合で、日本政府が北朝鮮籍とみられる船の漂流・漂着が急増していることに関し、「制裁が効き始めている結果」との趣旨の説明をしていたことが分かった。同会合に出席したティラーソン米国務長官が17日、カルフォルニア州での講演で明らかにした。
これってつまり、河野太郎はブレジンスキー&オルブライト路線を踏襲しているという話でしょ。
マデリン・オルブライト元国務長官は、イラクへの経済制裁で50万人の子供が死んだ(医療品に制裁していたことが大きかったんだと記憶)、どう考えるのかと問われた時に、難しい問題だったがやる価値はあったと答えた。
今だとこういう発言は場合によっては平気なのかもしれないが、90年代のアメリカではこれを人道的でないと感じるセンスを持った人は多数だったため、ものすごい非難を浴びた。
で、つまり、日本はこの路線を行きたい人たちになるわけね、と唖然とする。
カナダ外相フリーランドと河野外相が会って、その一方で、安倍首相が東欧を訪問するというのは、私には禍々しいことにしか思えないとは前にも書いた通り。もうかんべんしてくれよって感じ。
イージス・アショアで東西挟撃&三海プロジェクト
■ 妄想のタカ派は右とは限らない
こういうリベラル系と目される人たちのタカ派というのは、結局こんな感じになる。
宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長
これはヒラリー・クリントンたちが、シリアをなんとかして取りたくて、no-fly zone(飛行禁止区域)を設定しろと米軍に迫っていた時に、本職の参謀本部議長が議会で、
上院議員:シリア上空を支配するというオプションはどうですか?
ダンフォード将軍:シリアの上空すべてを今支配するということになると、それは私たちに戦争することを求めます。シリアとロシアに対してです。それはかなり根本的な決定です。ですからもちろん私は決定できません。
と語ったという一幕。
つまり、米+NATOは、シリアという他国になんの根拠も法的資格もなく入り込んで、つまり侵略した。すると、その他国はロシア(+イラン+ヒズボラ)に支援を求めた。その状況で、制空権を取ってやっちまえ、と無茶苦茶乱暴なことを言っている議員さんたちがいたわけですよ。ヒラリー・クリントンはその主犯格。
しかし作戦自体ものすごくハードル高く、どれだけエスカレートするかもわからないし、大量の人間の犠牲を伴うことは目に見えている。軍人とすれば、そりゃやれといわれりゃ俺らは軍人だからやるしかないけど、でも、その被害に耐えられるのかお前、と本職が言う、となったのがこの一件。
今の北朝鮮に対する軍事侵攻妄想もこれとまそっくりだと思う。
今の安倍政権と一部の海外の同調者というのは、朝鮮戦争を再開したらどんなことになるのかを理解せずに、そして、そこまでやる意味が果たしてあるのかもわからず、強く出ろ、強く出ろと叫んでいる。これはシリアを取れと騒いでいた人たちと同じだな、と。
しばらく前から、軍事評論家の田岡俊次さんが、平和ボケのハト派はうざいだけだったが、平和ボケのタカ派は戦争のリアリティがないから怖い、ってなことをおっしゃっている。
「北朝鮮と戦争をやるなら向こうで」
昨日はその意見がメジャーな媒体で紹介された模様で読んだ方も多いでしょう。
「平和ボケのタカ派」は日本を核戦争に向かわせる
http://diamond.jp/articles/-/156198
田岡さんは朝日新聞の人だった人だし、いわゆるリベラル側にまわっている人で、かつ、ここ十数年の動きを鑑みても、矛先は前原以下の右の人たちを、平和ボケのタカ派認定することになる。
が、しかし、上で見たように、一つのアクションが生み出す破壊的な結果を理解しないで突っ込めと騒ぐ人は決して右にしかいないわけではない。右でも左でも上でも下でも同じで、想像力のない人というのはいる。
そして、私が思うに、リベラルの方がタチが悪いこともまた多いとも思う。なぜなら、彼らは、そのアクションを取るに際して、相手が民主主義的でないとか、自由を認めていない等々の理由をくっつけてきて、さもそれが相手国の個々の個人を粉砕する、餓死させる、殺す正当な理由であるかのような議論をするから。
シリア、リビア、ウクライナを滅茶苦茶にしたのは、オバマ政権というリベラルが担いだ政権、ユーゴを惨い解体の仕方で壊したのはクリントン夫の政権だというのを忘れるべきではないでしょう。
そして、主要メディアは一般にリベラルなことが多いという点も考慮すべき。リベラル政権が作戦を主導すると、主要メディアが攻撃オペレーションの一部にビルトインされる確率が高い。そして、失敗しても、悲劇が起ころうとも、カバーアップして事実関係さえまげてくる(例:シリアのアレッポ陥落、ウクライナのクーデター後の政権の大混乱、リビアの金はどこにいったか言わない)。
主要メディアが敵視するトランプだとこれができそうもないってのは、世界の平和と安定にとっては良いことかもしれない。
でまぁ、なんでこうなるのかというと、戦後のアメリカ覇権下においては、ネオコンとトロキストが表裏一体となって動いていたからと言えるんじゃないですかね。で、どっちも同じように非常に侵略的で、ぶっちゃけナチの政策を引き継いだも同然だったという話。このへんは一昨年あたりさんざん書いたけど、そのうちまとめていきたいと思う。
■ 全球覇権は不可能、ましてモラルなくしては
フリーランドを出して来たこともあり、久々にこれを言いたくなる。
で、私は、こういう、ナチス残党をかばって70年もアメリカ、カナダで反共勢力とか、冷戦という名の下に、やばい歴史観を持った人たちを育ててきたアメリカ、カナダ(実際の手配はイギリスじゃないかとう説もあるが)には、なぜこうなったのかについて説明する責任があると思う。
なぜなら、
「米国、そしてその忠実な同盟国であるカナダとウクライナは、国際標準とは異なるリアリティをもつ「トロイカ」を組んでいる。カナダのことは理解しよう。カナダにはウクライナ系住民が多く、彼らが施政方針を左右するから。しかし米国は、反ヒットラー連合の一員として、ニュルンベルグ裁判を開き、その主体となり、数十年来、少なくとも言葉の上では、ヒットラーのイデオロギーに反対する旨を叫んでいたのに、バラク・オバマ時代になって、あまりに立場を急変させ、今やナショナリスト、バンデラの末裔ども、武装親衛隊どもと並んで、バリケードの向こう側に立っている」
http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_11_24/280434532/
だから。これはロシアの国会議員さんの発言。まったくとっても正しいと思う。
覇権にモラルは不要なのか