ちらちら見るに、日本のメディアではロシアによるシリア空爆をどこかとがめだてするような論調であるらしい。まぁ構造的には西側のポチ助だからそうなるに決まっているので驚きはしないが、でもその西側本体ともいうべき英米では、批判一色ってことは全然ないので、ここで日本の世論なるものがまたまた西側本体とずれていくんだろうなぁとか思う。
私たちってとっても独自な世界に住んでます!
状況レポートとしては、この間引用したプーチンの国連総会の演説は、RT(ロシアの海外放送)が出したyoutube動画で、2日ぐらい前だったかに100万ビュー達成、現在1,093,995とあった。だいぶスローになってきたけど。
このへんで書いたことの続き。
プーチンの国連総会スピーチ動画とアメリカ人
あと、今朝見たのは数日前のピーター・ヒッチンズの記事。何度も出してきてるイギリスのジャーナリストというか知識人というか、独特な人というべきか、ってな人。
Daily Mailというイギリス大衆紙の中で一人全然違う路線を行っているって感じ。要するに、メインストリームが排除した人が日刊ゲンダイに行くというのと似てるようにも思う。思うんだが、しかしヒッチンズはイギリス的中産階級の家庭の人(一定の資産があって家系に軍歴のある人がいて、みたいな)BBC的な世界にもずっと食い込んでるようにも見える。
それはそれとして、ヒッチンズが今般のシリア問題におけるロシアの行動に対する英米の反応について語っているのは、
で、俺らはこのおぞましい戦争でどっちの味方なんだ?
Which side are we really on in this war of the awful against the evil?
http://hitchensblog.mailonsunday.co.uk/2015/10/which-side-are-we-really-on-in-this-war-of-the-awful-against-the-evil.html
前から書いてるけど、まさにこれがツボなんですよね。
ヒッチンズも、世界中の多くの人にもここが不分明、不可解。
アメリカ政府、イギリス政府は少なくとも公式にイスラム国なるものに抗しているはずなのだが、そこと最も熱心に戦っていたシリアのアサド政権を嫌い、国家存亡の危機に瀕したシリアを助けに入ったロシアを蛇蝎のごとく嫌う。
そして、ヒッチンズが書いているけど、どうみたってアメリカ政府もイギリス政府もイスラム国と本当に戦っているとは思えない。彼らは戦ってるように見せたがっている、としか見えない。
I don’t think the British or American governments really want to fight the Islamic State. They just want to look as if they are doing so.
I judge these people by what they do, not by what they say. And in recent months I have noticed them doing – and not doing – some very interesting things.
で、じゃあ俺らって何よ?というのがアメリカ人やイギリス人に突き付けられた問題でございます。
■ なんで穴を掘ってるの?
で、アメリカのネオコンあたりが言い散らかせば言い散らかすほど、あんたら何?みたいなことになってしまうよね、これ。
これってほおっておくと、イスラム国 ←← アルカイダ という変容に目が行く人が増えてくるんじゃなかろうか。
ということは、911って何よ問題に行き着いてしまうのではなかろうか。
で、これはつまり、現状、
トルコ、サウジ、カタール、イスラエル vs シリア、イラン、ロシア
で、英米は前者を支援しているという意味において、英米さんチームはサウジ、トルコに引きずられているとも言えるわけで、そうであればこそなおさら、911の件でサウジを追及できないでいる自国政府にいら立つアメリカ人たちがなおさら現状に不信感を持つ、って感じでしょうね。
もう一つ、今般の件で、トルコに対する西側メディアのインチキ臭さも明らかになってきてると思う。
そもそもトルコがそれなりに多少なりとも、いくばくかでも理性的に振る舞えていたら、シリアがこんな多国籍民兵による襲撃に遭遇する確率およびスケールは低減していたでしょう。
ついでにいえば、トルコはロシアが空中戦に参入してきたことはドキドキだろうなぁとか思ってみてる。トルコ軍は、シリアが混乱の極みにあった時、シリア領内にわざわざ侵入してシリアの確か爆撃機だったと思うけど撃ち落としてた。で、汚いトルコはいつものように、シリアがトルコ領内に領空侵犯したんだとか言って、それを西側メディアは採用してたけど、最終的には墜落地点から考えてもあり得ないだろうとなって、トルコも認めた。
ここから考えるに、軍のある種の掟からすれば、トルコ軍機はシリア軍に撃墜されても文句は言えない。
トルコは、自分がNATOに入ってるから誰も手出しできねーぜー、と思ってたんだろうが、シリアにロシアがついた以上、この不均衡は崩れた。
そう。そう考えてくると今般の取り組みで最も苦境に陥ってるのは、トルコ、サウジ、カタールで、そのうち最も問題なのはトルコでしょう。サウジはどのみち得意な存在だからどうでもいいが、トルコは大きな人数の国民を抱えているんだから、どこかで身ぎれいにしないとならんと思うんだよね。
というわけで、世界の目がシリアに向いている中、ちまちまクルド攻撃に余念のないエルドアンの命運はいかに、という感じですね。
■ トルコ、エルドアン首相の来日
と思ったら、トルコのエルドアン首相が来日していた。
そして、安倍ちゃんが無茶苦茶物騒なことを言っていた。
冒頭に触れましたマルマライ開通式典において、私は、日本とトルコは広いアジアを東西から支える二つの翼である、と申し上げました。エルドアン大統領と共に手を取り合って、日本とトルコが作るその二つの翼を、より強く、より大きく、羽ばたかせていきたいと思います。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201510/08turkey.html
日本とトルコは広いアジアを東西から支える、って、それってどんな構造体が頭にあるんでしょう? 聞いたこともないんですけど。
むしろ、日本とトルコは、ポーランドと共に、西側奥深くに潜む勢力による、ロシア攻撃の前進基地です、ってのが歴史的な真実だと思うけどなぁ。
だからこそ、何度それってあんまり本当じゃないという話が流れようとも、トルコは親日国だと言い続けて百数十年なんだと思うよ。別に皮肉じゃなくて。
さらに、NHKによれば、
安倍総理大臣は、トルコのエルドアン大統領と会談し、多くのシリア難民が流入しているトルコ南部を中心に、インフラ整備について、今後も必要に応じて追加的な支援を行うなど、両国が緊密に連携しながら対応していくことで一致しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151008/k10010263591000.html
ええ~、なにこの厚かましさは!
自分でシリア攻撃に参加しておきながら、シリア難民が来て大変だから日本からの支援を、ってバカじゃないのこれ!!!
アサド打倒の急先鋒に支援をするという意味を理解して日本はそう行動しているんだろうと思うんだけど、これって勝算あるの?
日本ってなんか、反社会的な団体に低利融資を続けるブラックな銀行みたいな国になってる気がしてきた。
罪もなく殺される味方に立つのではなく、まったき加害者の側に立って、「あなたの苦境をお察しします」と黙って札束を握らせる、みたいな。
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「トルコ」ってネガティブリスト的にしか存在しないようなnationだからこそ、偏屈な民族教育やってんだろーなー、と思ってみてるんですが。
日本ってどうしてもこの世界戦略から切れないんでしょうかね。もっと晴れ晴れと地味に存在したいもんです。
さていきなりですがロシアへバッシングで残念なお知らせがあります。
ノルウェーがネトウヨレベルのテレビ番組を放送しました。
http://jp.sputniknews.com/europe/20151010/1014934.html
「ロシア、ついにノルウェーを「占領」?