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ロシアが初の対抗措置 農産物輸入を制限

2014-08-07 19:16:12 | 欧州情勢複雑怪奇

ロシアが初の対抗措置 農産物輸入を制限
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140807/k10013611521000.html

ロシアが対抗措置を取るのは今回が初めてで、アメリカ産のすべての農産物とEU産の果物と野菜を輸入禁止にする構えですが、制裁には日本も加わっていることから、ロシアで人気があるすしなど日本料理の食材や、日本産の高級な果物が対象となる可能性もあります。

とNHKは書いてるけど、EU産の果物と野菜だけじゃないみたいです。メドヴェージェフがサインしたのは、タス通信によると次の通り。

・オーストラリア、カナダ、EU、USおよびノルウェーからの

・牛肉、豚肉、鶏肉、魚、チーズ、牛乳、野菜、果物

Russian Prime Minister Dmitry Medvedev signs government resolution banning beef, pork, poultry, fish, cheese, milk, vegetable and fruit imports from Australia, Canada, EU, US and Norway for one year.

http://en.itar-tass.com/world/743874

入ってない食品はお菓子とかお酒とか? 穀物はユーラシア関税同盟(ロシア、カザフ、ベラルーシ)は輸出する側だから量的にはものそもたいして輸入していないんじゃないかと思うので考慮外か。

あと、日本向けは関係ないとタス通信は言っている。

Ban on agricultural import to Russia to have no impact on Japan, the government said.

■ 制裁されたから制裁したんですよ

制裁されたから制裁したんですよ、とロシア政府は言うだろうけど、いや~、このご時世に大手を振って保護主義的政策を採ったも同然なわけで、利益ありとみてやったんじゃないでしょうか。いやいや、なかなか上手い政策ではないのか、と思ったっす。多分3つぐらいの意味から。

1 そろそろ保護してもいいかな

もともとロシアの経済というか国体は、必要な資源、原材料はだいたい自分んちにある、穀物自給率100%近い、守るための武器はほぼ自前、という形になっていて、それ以外のセクターはかなり相当、これでもかと自由市場的だった。だから、このあたりで、農業に手を入れてもっと自給的になるのもいいよな~と思っても不思議じゃない。

土地はあるけど農業の近代化が遅れていることに自覚的だったと思うので、今後のことを考えたらいいチャンスじゃないの? でもって、ここで折からの遺伝子組み換え食品に反対という姿勢が生きて来る余地があったりするのか。ロシア産はオーガニックですよ、ってやつ。いずれ欧州に輸出できるかもよ?

6月頃だったか、プーチンがロシア国内の農業団体を視察してて、かなり気合が入っていた(プーチンがかわいいシャツを着ていたので印象に残った)。私は、いざとなったら戦争の時代になるかもしれないから自給率を高めるために叱咤激励してんのかな、と思ったものだったけど、この政策のための実行可能性を見ていたのかも。

2 どうせなら仲間に市場を開こう

アメリカなんかはどうでもよくて、欧州が問題。ロシアは欧州とは仲良くしたいんだとずっと言っていたのに欧州は、誰が得するのか不明な資本規制に乗り出した。技術もやんないしお金もやんない、ロシアは貧乏になるだけだ、わはは、と自分から言いだした。

そう来るならもう今後も仲良くできるところとの間でwin-winになるべきだよな。

というわけで、欧州分をトルコとか、ユーラシア関税同盟内とか旧ソ連の中央アジアから優先的に輸入できるようにしたらいいわな、ってことなんじゃなかろうか。

ベラルーシ、トルコとか喜んでると思う。イスラエルあたりも輸出可能品あるね。

あと、アルゼンチン他の南米の食糧をロシアと中国が抑えるという形になるのかなぁ・・・という気がする。

肉類、乳製品なんかの輸入量が確保できないとインフレになりそうで、そこはリスクなんだろうけど、例えば穀物の大放出をしてともあれ安価な麦を食え(パンね)、キャベツを食え的になんでもいいから国内生産分を途切れなく放出しておくと混乱しないで済むんじゃないかとも思う。まずはパンだよ、パン。(ライ麦パン大好きな私にも分けてほしい。)

3 欧州内にもいろんな国があるよね

欧州は一般に農業の強い国が多いわけだけど、ロシアへの輸出比率が高い国はやっぱり地理的にロシアに近い国なわけで、おそらくポーランドあたりは青くなってると思う。既に衛生上の問題から豚肉禁輸とかされていたし、果物農家も今後はどうなるのか・・・。肉類、乳製品、果物等々、1億人以上いるロシア市場を失うのはそう小さい話じゃないでしょう(そもそも周辺国がみんなドイツ並みに大きいわけじゃないんだから相対的なダメージ比率は大きい)。

そういうわけで、欧州内の不和の種を撒いたともいえますね。

EUの政策の犠牲になったとして各国から補助金、賠償金の請求がEUに来る展開になる可能性ありますね。

いやぁ、グルジア、損なことをしたと思ってると思うなぁ。グルジアはロシア市場よりもEU市場の方が大きいんだとロシアとの関係を断っても無問題とか言っていたんだけど、EU内でロシアに向いていた分がキャンセルされればEU内の競争が強まるわけで、グルジアは勝てるのか? そもそもロシア市場で長年非常に好まれいてた製品を作っていた、ロシア国内に手堅いマーケットがあったのにそれを振り切ってEU参入するのはロシア市場を失う分損じゃないのかと判断するエコノミストも結構いたんだよね。

EUって、アメリカにせっつかれてグルジア、モルドバ、ウクライナの面倒を見るらしいですけど、どんなことするんでしょうね。

■ オバマの回りは利口なのか?

アメリカの報道とその下のいつものコメント欄の大騒ぎを見ていて思ったんだけど、こんなことをするとロシアの一般人は飢えるんだ、食糧難になる、あるいは価格が急騰して一般ロシア人が困るだけだ、とか書いている人が結構いて驚いた。

アメリカ人は、ロシアをどんな国だと思ってるんだろう? なんかあれだ、貧乏で食料自給率が低くてとても小さな国だと思ってるんじゃないかと思う。そりゃアメリカと比べれば貧乏かもしれないけど、90年代にインフレ率2000%とかいうものすごい年まであったけど乗り切った人たちだというのを忘れてると思う。

さらにいえば、ロシアは欧州にとってはお得意様の国なわけで、売ってくれるところを探すのと、買い手を探すのがどちらが大変かといえば普通は後者ではなかろうか。何か、とんでもないバカな人が世の中には多いんだなと思った。市場を無くす方が、や~い、お前ら飢えるぞ、とか言ってる。いやしかし、だから、ロシアは基礎的な食べものはある国なんだってば・・・。

で、むしろ、市場を無くす方が、お前ら凍え死ね、とは言えるのがエネルギー市場じゃないのかとも思う。冬に向かうのに、なんで欧州人たちが、ロシアはバカなことをしていると言えるのか不思議だが、それを助長しているのがもちろんアメリカ政府による「ロシアは何もできない」キャンペーン。ひっかかってるって思わないのが現在の欧州クォリティなんだろうか?

でもって、アメリカの方針についても疑問が残るなぁ。EUと日本という資本はあるし技術もあるけどそもそも資源が乏しい国を家来にしてロシアに制裁をかけるという政策は果たして妥当なんだろうか? オバマ政権の外交アドバイザーの姿が見えないと再々言われているけど、どうなんでしょうこのあたり(グランドデザインはブレジンスキー一派だろうとは言われているけど)。

多分、オバマ政権の政策立案者って、頭の中が金融屋に毒されてるんじゃないかと思うのよね。

金融屋さんにとってはすべて数値なので、個別の国の個別の農家集団の利益は、他の何かで相殺されてしまうわけ。でも、個別の農家集団、個別の企業集団こそ「現実」の存在なわけで、そこへのダメージは本物のダメージでそう簡単に相殺できない。

そこが根本的に理解されていないのがオバマ政権だと思うなぁ。オバマ政権は見たこともないほど金融屋に毒されているといのが私の認識。


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