いやいやいや、昨日3人の憲法学者が現在審議中の安保法制は違憲であると述べた余波が全然おさまらない。先週は志位さんの国軍擁護演説としか思えない質疑でゆれたので、これで2週間連続ということになる。
さらに今日はその3人の憲法学者のおひとりの小林節先生が金曜日夜の国会前デモに参加した模様。本気だな、ですね。
それに対して、与党自民党は
「最高裁の論理踏まえて」 違憲の考えに谷垣氏反論(15/06/05)
https://www.youtube.com/watch?v=cmJXsliwwrk
憲法の有権判断は最高裁がするもので、私たちは最高裁の判例に基づき法案を作っている云々とおっしゃる。これは、谷垣氏というより高村氏がおっしゃっていたことではないかと思う。最高裁の判断を根拠にといっているその判断とは、砂川判決のこと。
個人的には、これって、ほんとにほんとにマジでそう言っているのかどうかかなり相当、ええええ、的に疑問だったりはする。
私の素人疑問はおいておくとして、小林先生が前にこのようにご指摘になっていた。
砂川裁判は在日米軍基地内に立ち入ったデモ隊を裁いたもので、その際に在日米軍の合憲性が問われたのです。米国が集団的自衛権を行使するために在日米軍を置いていることが、日本国憲法9条で禁じている戦力に相当するかどうかが問われたもので、日本の集団的自衛権の有無とは関係ない。さらにこの判決で最高裁判所は統治行為論に立ち、「日米安全保障条約のように高度な政治性を持つ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を司法は下すことはできない」として判断から逃げたのです。最高裁が逃げた判例で、最高裁から集団的自衛権のお墨付きを得たという理屈はおかしい。
慶大名誉教授・小林節氏 「解釈改憲は憲法ハイジャックだ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150288/1
要するに、日本の裁判所は在日米軍の合憲性なんていう国家の一大事みたいなものは僕らには判断できませんと投げた。それを、みんなその、穏便に、いわゆる統治行為論と呼んで、なるほどと納得したことになってる。
しかし、この話にはどうやら裏があって、1950年代どんずまりの時点で在日米軍がいなくなるなんて困ると考えた日本とアメリカの支配グループが、裏で考えて最高裁にそういう判例を出させた、ということであるらしい。つまり、これは一国の司法権にとって嘆かわしい事例なわけだし、日本は独立などしていないという根拠みたいな事例として挙げてもまぁ不適切ではない。
この本で最近また有名になった話。wikiにも概要が出ていた。ここ。
検証・法治国家崩壊 (「戦後再発見」双書3) | |
吉田 敏浩,新原 昭治,末浪 靖司 | |
創元社 |
で、それを今般の集団的自衛権の解釈的自由拡張みたいな狙いを持った、立てつけの悪い法制度に適用しようとはどういうことなのか。
またまた「支配層」の判断でどうにか押し切るぞ、ということなの? それって、独立国あるいは法治国家としてどうなのそれ?って感じで、わたしとしてはなんだか与党自民党がかなり手筋の悪いことをしているようにしか思えない。
だって、安保法制の法律の立てつけの悪さがここまで露呈してしまったら、仮に、
強行採決、法案成立 万歳
↓
なんらかの事例をとらえて違憲訴訟
↓
最高裁 統治行為論を言い出す
なんてことをしたら、それって、日本国にあるのは一定の独立であって、統治に関しての権限はありません、在日米軍はもちろんのこと日本の国軍の統帥権さえ日本国民にはありません、の事例をライブでお届けするような話になるのではなかろうか。
(天皇陛下にあった権限がアメリカに移譲されたと考えると筋が通ってしまうのがちょっと面白いけど ^^; いや、笑えない)
いや~しかし、小林先生やら柳沢氏 etc.の今回の安保法制に反対の、別に左翼でもなんでもない、むしろ右派だろうって感じの方々がこれまでに何度もおっしゃっている通り、個別的自衛権でハンドルできる事例を延々ならべながら、なぜ今集団的自衛権の行使容認を求めるのか、むしろ知りたいのはそっちになってきた。
安倍政権の閣僚を見ていると、なんかこう、言いたくないけどキエフ政府を連想させられるものがあるなぁ。法を作って解釈して運用するのは自分たちだという偉い自信があって、それが無茶であろうがなんであろうが無問題だと思っているところなんかそっくりで、法の安定性とかその行為の帰結にまったく無頓着なところも似てる。
■ おまけ:言っちゃだめだろー
あはははは。思わず本音というか、本当のスキームをばらしちゃったってことでしょうか?
なんつーか、もう、大変な状況だと思う。
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