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シリア雑報 Nov25

2015-11-25 23:03:48 | アジア情勢複雑怪奇

どこの並行世界の話なんだろうという気持ちで読んだ。

産経新聞ってほんとに笑える。実はかなり楽しく読んでいたりする。

プーチン露大統領の逆鱗に触れる 実現遠のくロシアの孤立脱却 トルコ利害軽視のツケ
http://www.sankei.com/world/news/151125/wor1511250065-n1.html

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア軍機がトルコ軍に撃墜された事件は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」打倒の大義で米欧と手を組み、国際的孤立から脱却することを狙ってきたプーチン露政権への打撃となった。ロシアはトルコへの軍事的報復は行わないとみられるが、この一件がプーチン政権の逆鱗(げきりん)に触れたのは確かだ。この問題が両国の経済関係に影響を及ぼし、ロシアが一層の閉塞(へいそく)状況に陥る可能性が高まっている。

ひとことでいえば、この産経さんの解説では、ロシアは一層の閉塞状況に陥るらしい。

私の考えでは、トルコ指導者層の一層の極悪さが明らかになって、トルコはマジで苦境に陥っている、だと思う。今見えなくとも。

そもそも欧米世界は別にトルコが好きで仲間に入れているわけではない。トルコこそ the West という人たちが何を狙って軍事同盟を持っているかの証拠でしょうね。

つまり、すべてのthe Westの方針は東欧からロシア欧州部、カスピ海、黒海あたりを支配下に入れたい、取りたい、俺のものにしたいという欲望に根差していることは、トルコが、どんな国であれ、どれだけ極悪でも the West にとっての「良い国」であるという事実が物語るんじゃないっすかね。

つかね、その前に、トルコってオスマン解体後にthe West の奥ノ院が使いやすいように作り直した国ってことだと思う。オスマンは別にトルコ人の国では全然なくて、さまざまな諸民族が一応支配領域の中にあるにはあったが。が、知られている通り宗教には寛容で、税金さえ払ってればそれで良しみたいな体制。いずれにしても、オスマンは中欧・ロシアとの戦いの中でばらけていった。その一方で、英仏・一部ドイツが組んで、ギリシャあたりをオスマンから外していってこのへんを欧州側に取り込んだってのも見逃せないと思うなぁ。それによって「ヨーロッパ」というアイデンティティをギリシャに繋げたわけだしね。

まぁそこは今はどうでもいいんだけど、でも、今回のトルコの行動を喜んでいるのはネオコンの一部で、残りは、さすがに庇えないってのがいいところで、あとはみんなトルコに対してこれまで以上にネガティブといって構わないと思う。

というか、ぶっちゃけ、ヨーロッパ&アメリカの一般人が密かに心に宿しているのは、ロシアと組んでトルコをやっつけたい!じゃなかろうか。前からアメリカにはいるんだけど、増えることはあっても減ることはない傾向になっちゃったりして、とか思ってちょっと不気味。

ここに大きな文明の区分がある。

しかし、一方でイスラム世界もトルコ指導層を歓迎しない。なぜならNATOの犬だから。


■ トルコこそISのスポンサー

この事件によって、トルコこそISを支援している、そして、石油泥棒で儲けているのもトルコの指導者だというのも広く知られるようになったのは、全体としてみればいい傾向じゃなかろうか。

さらに、ロシア軍パイロットがパラシュートで脱出したところを撃って、どうやら1人を殺害したらしく、その後パイロットをなぶりものにしている映像が流れ、これがオバマの大好きな「穏健な反政府勢力」なの・・・になっちゃったのもかなり大きい。思えば、内臓を食うテロリストというネタもありましたね。

ちなみに、「穏健な反政府勢力」とはNHKが使ってる語で、英語圏その他では、moderate rebels。そもそも、rebelとは反抗者のことであって、反政府という意味は全然ない。どこの国から来たかわからん外国人もここに含まれても全然問題ないので、反政府勢力という訳語は明確に事態を見誤らせると思います。

そして、この「rebel」とかいう外国人の民兵こそが問題の核心ですから、NHKはわさと日本人を騙す意図がないのなら、直すべきです。


それはともかく、トルコこそジハード作成の実行部隊ってのは知っている人にとっては全く常識の部類なんだけど、あんまり知らない人も多かったと思うので、このタイミングで広がったのはよかった。

昨夜からRTはまる一日、これまでに同局で識者が語った、トルコとISは繋がってるという話を流し続けていた。

それによって、ISと戦うというトルコは、実はISのスポンサー
ISと戦うと言っているトルコを同盟としているNATOも、どうやらスポンサー

ってのがより一層パブリックになったという感じ。

つまり、トルコにとっては明らかにマイナスの状況。

しかし、トルコ支配者層は、そんなことはまったく問題ではなくどうせ俺らをNATOは批判しないと思っているので強気。それがまた欧州&米の一般人の神経に触る。


■ トルコの話の信頼性

その上、トルコは、ロシア軍の度重なる領空侵犯に対して警告を行った上で撃ったのだという話をしていたが、これが相当にあやしいように見えるっても、最初っから問題だけど時間が経つにつれさらに問題に見えて来た。。

というのは、トルコが自分で説明した説明を基に考えると、ロシア軍の問題の飛行機がトルコ領土を侵犯したのは17秒。

当然、この間に警告を10回ってのはできない。

さらに、17秒も問題で、侵犯したとされる場所の幅とこの秒数を考えると、ロシア機は失速するほど遅かったということになると計算して人が出ていて、万に一つトルコが示した図が正しいとしても、領空侵犯は5秒ぐらいじゃないのか、ということらしい。

となると、当然のことながら警告どころの話じゃないし、判断して行動するという時間的余裕もない。

ではそれは何か。

それは待ち伏せ攻撃だろうって話で、ロシアの外務大臣ラブロフは、会見でplanned attack、計画した攻撃の可能性もあると思ってると話した。

つまり、ここでラブロフはさりげなく、しかししっかりと問題を大きくはしないが、強く異常性を強調したってことになると思う。言わんですまそうと思えばすますチョイスもあるだろうに、と思うのね。


■ 領空侵犯問題ではない、ISであり過激派だ

ではなぜ言ったか。異常性を強調することによって、これはただの領空侵犯問題ではなく、ISを攻撃しようとするロシアに対する、ISのスポンサーからの反撃である、という点を浮き彫りにしようとしてるんでしょうかね。プーチンが、ISの共犯者からロシアは背中から撃たれたと言ったのと平仄があう。


その結果かどうかわからないけど、とりあえずロシアは対抗手段として、
S-300をシリアの基地に配備した模様。

Putin: Russia will move S-300 air defense systems to its base in Syria
Military & Defense
November 25, 13:21 UTC+3
"We will take the most serious attitude to what has happened and all of our means will be employed for maintaining security," the Russian president states
http://tass.ru/en/defense/839096

さらに東地中海側にはミサイル巡洋艦モスクワも到着。こっちもS-300装備してるから、いよいよ守りが固くなってきたってところでしょうか。


多分、次のフォーカスは、問題のシリア、トルコ国境ってことになるんでしょう。

そこで、トルコが言い張った「どの国にも国境を守る権利がある」はゲットですね。

シリアにだって適用されないと困りますね。

シリア国境を守らせるための措置をどうやって構築していくかにおいて、シリア側にトルコ系の人間をわんさか入れて、ある意味人間の盾を作っていってシリア側を取ろうとしていたのがトルコ。で、このトルコ系とアルヌスラという凶悪系の過激派(温和な過激派って何よ、だけど)が、もし、ほぼ同質か、かなり緊密であると証明されれば、トルコは凶悪系過激派をかくまっていたという話になる。というか、そうなんだと思うけどね(笑)。

そういう意味で、今回の事件はトルコ・シリア国境に再度フォーカスが戻されたという意味になるのかも。

サリンを使ったのはアサド政権ではない、という話も解決ついてないし、セイモア・ハーシュの説では、トルコ政府は重大な関係がある。(このへんで書いた通り。イギリス、シリア攻撃続行、多分無理

■ ロシアのパイロット1人は無事生還

そうそう、撃墜されたロシア機のパイロットは2人死亡とNHKは書いていたけど、1人は生還した模様。昨夜、シリア軍とロシア軍が作戦チーム作って奪還して、無事基地に戻ったそうだ。

プーチンは、亡くなったパイロットにはロシア英雄賞を贈るといっている模様。また、パイロットと作戦チーム従事者に勇気をほめたたえる賞だかなんだかを出すとも言っているらしい。

昨日だけだと墜落はショックのままだろうけど、ここで奪還、生還となったので士気が上がるというか、気持ちが締まると思う。軍にとって最も重要なものは大義に裏付けられた士気ですから。

Commander of Russia’s crashed Su-24 jet to get Hero of Russia title posthumously — Putin
http://tass.ru/en/politics/839094

 

■ 続報

パイロットが生還したことで、証言者登場でもあるわけですよね、と追加しようかと思う間もなく、救出されたパイロットは、トルコからは警告を受け取っていない、と語った模様。

https://www.rt.com/news/323431-saved-pilot-turkish-su24/

 


 

自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!
小林 節,伊藤 真
合同出版




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2 コメント

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『シリアトルコに壁を造る』 (ローレライ)
2015-11-26 02:09:07
トルコ機のシリア侵入で『シリアトルコに壁を造る』必要がクローズアップされて『ベルリンの壁』をロシアが構築する口実ができた!
返信する
あはははは (ブログ主)
2015-11-26 14:13:05
トルコはシリア、イラクのみならず、ギリシャへの領空侵犯の常習犯でしょうに、何をやってるんだ状態ですよね、しかし。

逆にいえば、トルコに「領空侵犯はまかりならん」と言わせたというのは大きいでしょう、多分。
返信する

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